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2016.01.04  取材・文/山下久猛 撮影/守谷美峰

朝市を開催

──他にはどんな活動があるのですか?

神明社あさいち

朝市の実行委員を立ち上げて、2013年から地元の氏神の神明社で「神明社あさいち」を1、6、8、9月を除いた月の第1日曜日に開催してます。最初の頃は8時に集合したらすぐお参りをしていましたが、飲食店の人はギリギリまで仕込みに忙しくてなかなか全員そろわないので、最近は9時の開始直前に全員で参拝をしています。

朝市にはお店をやってる人もそうじゃない一般の人もいろんな物を売っていて、老若男女で賑わってる。私は自分のお店の商品を出してるんだけど、洋服を出しても売れないから朝市用のものを出品してるの。

同時に、今は忘れ去られようとしている日本の伝統行事も開催しています。2月は豆まき、3月は七段飾りのお雛様を飾って、5月は鯉のぼりを立てて、7月は七夕、10月はお月見のお飾りやお団子を作って飾ったり。そしてそれぞれの行事に合ったワークショップもやっています。こういうことを通して、子どもたちに日本の伝統行事を伝えていきたいと思ってやってるの。

朝市の様子。毎回たくさんの人で賑わっている
朝市の様子。毎回たくさんの人で賑わっている
朝市の様子。毎回たくさんの人で賑わっている

朝市の様子。毎回たくさんの人で賑わっている

──なぜ朝市をやろうと思ったのですか?

葉山周辺に暮らしている人々は大きく2つのグループに分けられます。葉山は御用邸や民間の別荘がたくさんあるからおしゃれなリゾート地というイメージがあるけど、元々は古い漁師村なんですよ。幹線道路から細い道を入ると漁師さんの生活がわかるようなお家がけっこうあるのね。家系をたどれば江戸時代までいっちゃうような人たちがたくさん住んでる。

一方でここ数年、30、40代の子育て世代のファミリーがどんどん引っ越してきてる。でもこの狭いエリア内で、古くから住んでる人と新しく越してきた人たちとの接点が全くないんですよ。そのことに私も引っ越してきて気づいて、古くから住んでる人たちと知り合いたいし、彼らの話をすごく聞きたいという思いもあって、何とかこの2つのグループを繋げられないだろうかと思ったのが朝市をやろうと思った最初のきっかけです。

朝市では出店だけではなく、様々なワークショップも行われている
朝市では出店だけではなく、様々なワークショップも行われている

朝市では出店だけではなく、様々なワークショップも行われている

──なぜ2つのグループを繋げたいと?

3.11の東日本大震災で、大災害が起こったとき、地域にどのくらい知り合いがいるかが生死を分けるくらい重要だということに、私を含めてたくさんの日本人が気がついたと思うの。だから災害時にスムーズな助け合いができるように、地域で知り合いをたくさん作っておくことかがすごく大事だなと思って、まずは1人でも多くの人と知り合おう、せめて顔見知になろうっていうのが朝市の第1の目的なんです。また、そういう人たちと知り合って古い昔の葉山の話を聞きたい。自分が住んでいる地元の歴史を知りたい。そしてそれを子どもたちに伝えていきたいなと。


──具体的にはどのようにして始めたのですか?

まずは商店会の会合で朝市をやろうという話をもちかけたら、ぜひ一緒にやりたいと言ってくれた30代後半の男性がいて、取りあえずその人と2人でやることになりました。いろんな人に参加してもらいたかったから神明社あさいち実行委員会を作って商店会のメンバーじゃない人も出店できて、実行委員にもなれるようにしたの。今の実行委員は3人です。

川崎直美(かわさき なおみ)

川崎直美(かわさき なおみ)
1951年神戸市生まれ。レパスマニス店主/地域活動家

神戸に暮らしていた10代は、ヒッピー文化の影響を受け自由な生き方にあこがれる。16歳で高校中退後、アルバイト生活。大阪万博のアルバイトで知り合ったスウェーデン人の女性に触発されて20歳のとき世界一周の旅へ。途中で立ち寄ったバリにハマり、バリを拠点に生活スタート。23歳のときタイで出会ったアメリカ人男性と恋に落ち、24歳で娘を出産。生活拠点をハワイに移し、バリとハワイを行き来する暮らし。28歳のときパートナーと離別、日本に帰国。様々なアルバイトを経験後、東京で外国人タレントのマネジメント事務所で働くようになる。計2社で約4年勤務した後に自ら外国人タレントのマネジメント事務所を起業。バブル景気に乗り、大成功を収めるも、12年経営した後に廃業。1994年単身、アメリカに渡り古い中古車を購入し、中西部のネイティブアメリカンの土地をめぐる。半年間で1万6000キロを走破。帰国後は逗子に移住。渋谷に自然生活雑貨店「キラ・テラ」を開店。2年後、大手自然食材企業に吸収、社員となり、横浜の店で勤務。12年勤めた後、退社。地域活動にのめり込む。2011年に葉山に移住、自然生活雑貨店「レパスマニス」開店。現在はレパスマニス店主を務めるかたわら、葉山町をみんなが暮らしやすくする町にするために様々な活動に尽力中。

初出日:2016.01.04 ※会社名、肩書等はすべて初出時のもの