オカムラデザインスペースR 第7回企画展「透明なかたち」

展示会
2009年6月16日 ※記載内容は発行時のものです
タイトル 「透明なかたち」
企画主旨 オカムラデザインスペースRは「建築家と建築以外の領域の表現者との協働」を基本コンセプトに毎年1回開催されます。昨年(第6回)の伊東豊雄氏に続いて今年(第7回)も現在世界的に活躍する建築家、妹島和世氏をお迎えします。
 建築家には毎回最初に、「できれば」とやんわり、一つのことをお願いします。普段の建築設計ではむずかしいが、この場所と条件だからこそ、そして協働者がいるからこそ可能になる「あなたが今、実現したい世界の姿」をインスタレーションで示して下さい、と。妹島氏はしばらく考え(予想以上に長く、実行委員会としては焦るほどでしたが)、協働者に構造家の佐々木睦朗氏を指名し、ほぼ同時に、建築設計の中でずっと探求してこられた「作品(建築)=構造」と「透明」をメイン・テーマとする案を出されました。「厚さ3mmのアクリルを使ったインスタレーション」です。大判のアクリルを曲げて自立させる、まさに「極限」への挑戦ですが、むろん妹島氏の関心は、その極限まで行き着いた先に現れる「不思議な、未知の世界」にあります。
 さらに妹島氏は荒神明香氏を協働者に指名しました。これほど研ぎ澄まされた妹島+佐々木の世界に、荒神氏がどう取り組み、何を開示するのか。開場の時が待ち遠しい。
(企画実行委員長/川向 正人)
企画アーティスト 荒神 明香(こうじん はるか)氏
アーティスト
佐々木 睦朗(ささき むつろう)氏
構造家・法政大学教授
妹島 和世(せじま かずよ)氏
建築家・慶應義塾大学教授
開催期間 2009年7月21日(火)~8月7日(金)
10:00~18:00(日曜、祝日は除く)
会場 オカムラ ガーデンコートショールーム
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町4-1
ニューオータニ・ガーデンコート3F アンカーテキスト[地図]
TEL: 03-5276-2001
ギャラリートーク
荒神明香氏 × 周防貴之氏(妹島和世建築設計事務所所属)

お二人が展示作品について語り合います。
日時:7月30日(木) 16:00~17:00
会場:オカムラ ガーデンコートショールーム ニューオータニ・ガーデンコート3階 予約不要
入場料 無料(展示、シンポジウム共)
主催 株式会社 岡村製作所
後援 日本建築家協会、日本建築美術工芸協会、東京インテリアプランナー協会

企画アーティストからのメッセージ

アクリルでできた立体物は、はっきりと目に見えたり全く存在を消したりする。
そこにあるのに、ないような、でも、確かにそこにはある。
パントマイムのように、見えない壁の続きを手でそっとなぞりたくなった。

私は、アクリルでできた壁を境に、モチーフを対象に並べていった。
人々の動きによって、壁がまるで鏡面になったかのように見えたり、または反射によってくっきりと写り込み、壁の向こう側にあるモチーフに像を重ね始める。
このインスタレーションは、遠くで見ると単にモチーフが目に入り壁の存在感が消えてみえるが、近よって見ると、逆にそのモチーフの配列によって透明の壁の存在を浮かび上がらせることができればと思っている。

目に見えないあいまいな境界線が、実はたしかに空間を横切っているということを、目にうつる物体を追って行くことで確認することができる。このことは、私達の身のまわりの環境の中、風景の中でも起きていることかもしれない。限りなく曖昧な推測だが、私はそう確信している。

荒神明香

厚さ3mm のアクリルを使ったインスタレーション。
高さ2520mm のパネルを曲げ加工ができる厚みで、極限まで薄くしたアクリルを集合させ、形をつくっていく。 幅1660mm のアクリルピース1 枚では自立するのがやっとであるが、それらが集合し、平面的に閉じた形となることではじめてより安定した全体として成立する。
3mm の透明なアクリルはものとしての存在感が希薄になるため、アクリルの表面における反射と視線の透過が強調される。そのため、この薄いアクリルの集合が反射と透過を繰り返し、刻々と変わる光の状態や周辺の環境と体験する人々の動きによってつくられる現象のようなものだけが現れ、実際にあるものと反射してアクリルの表面に映し出される像が混じり合いながらあいまいな全体をつくりだす。
周辺の環境を受け入れながらできあがる空間とも彫刻とも見える、透明なかたちのようなものをつくりだせればと思っています。

佐々木睦朗+妹島和世  
(文責:妹島)

企画アーティスト プロフィール

荒神 明香(こうじん はるか)

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アーティスト
1983年 広島県生まれ
2009年 東京藝術大学 先端芸術表現科大学院修了

2007年に卒業制作が買い上げ作品となる。同年、ART AWARD TOKYOにてグランプリ受賞。東京都現代美術館での「Space for your future」展、ミヅマアートギャラリー主催の「Eyes and Curiosity Vol.2」に参加。2008年、サンパウロ近代美術館「ライフがフォームになるとき」展、東京都現代美術館所蔵作品展など、作品発表の場が広がっている。現在、トーキョーワンダーサイト青山のレジデンスにて滞在中である。

佐々木 睦朗(ささき むつろう)

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構造家・法政大学教授
1946年 愛知県生まれ
1970年 名古屋大学大学院工学研究科修士課程修了
1970-79年 木村俊彦構造設計事務所勤務
1980年 佐々木睦朗構造計画研究所設立
2002年 SAPS (Sasaki & Partners)設立現在、法政大学教授

主な作品に「せんだいメディアテーク」、「金沢21世紀美術館」、「まつもと市民芸術館」、「福岡アイランドシティ中央公園中核施設ぐりんぐりん」、「瞑想の森市営斎場」、「トレド美術館ガラスパビリオン(アメリカ)」などがある。現在、「豊田市生涯学習センター逢妻交流館」、「ROLEXラーニングセンター(スイス)」、「パリ十六区の公営集合住宅(フランス)」、「カリフォルニア大学バークレー美術館/パシフィック・フィルム・アーカイブ(アメリカ)」などのプロジェクトが進行中である。

妹島 和世(せじま かずよ)

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建築家・慶應義塾大学教授
1956年 茨城県生まれ
1981年 日本女子大学大学院修了
1981-87年 伊東豊雄建築設計事務所勤務
1987年 妹島和世建築設計事務所設立
1995年 西沢立衛とSANAA設立現在、慶應義塾大学教授、日本女子大学客員教授

主な作品に「梅林の家」、「金沢21世紀美術館※」、「鬼石多目的ホール」、「トレド美術館ガラスパビリオン※」、「有元歯科医院」、「成城タウンハウス」、「大倉山の集合住宅」などがある。現在、「豊田市生涯学習センター逢妻交流館」、「(仮)犬島アートプロジェクト第2期工事」、「すみだ北斎美術館」、「ROLEXラーニングセンター※(スイス)」、「ルーブル・ランス※(フランス)」、「パリ十六区の公営集合住宅※(フランス)」 などのプロジェクトが進行中である。
※印は妹島和世と西沢立衛の共同設計。

OKAMURA Design Space R~アート、建築、デザインの協働の場とし 

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OKAMURA Design Space R
それは、ニューオータニ・ガーデンコートのスペーシャスなオカムラ・ショールームの一画に、年に1度、全く斬新な企画で創出される展示とトークのための空間です。
毎回異なるジャンルの複数のアーティストが、アートの枠組みを超えサイエンスとインダストリーの新領域にまで踏み込む意欲的なコラボレーションを展開し、その知と美の新たな形式によって多領域に向けて確かなインパルスを発信します。

全体企画 OKAMURA Design Space R企画実行委員会
委員長 川向 正人(建築史家、建築評論家、東京理科大学教授)
企画委員 赤松 邦彦 (建築家)
芦原 太郎(建築家)
北川原 温(建築家、東京藝術大学教授)
内藤 廣(建築家)
中村 喜久男(岡村製作所 代表取締役会長)
各企画展アーティスト
実行委員 各企画展アーティスト側責任者
岩下 博樹、岡村 経夫、大田 友祐、花田 正彦(岡村製作所)
開催場所 オカムラ ガーデンコートショールーム内
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町4-1
ニューオータニ・ガーデンコート3F
Tel: 03-5276-2001
主催 株式会社岡村製作所
〒107-0052 東京都港区赤坂2-14-27
国際新赤坂ビル東館10F
Tel: 03-5561-4091
入場料 無料

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