"道草"からアイデアがあふれ出すオフィス
――革新的なひらめきを生む「コミュニケーション×機能性」の設計とは
"道草"からアイデアがあふれ出すオフィス
――革新的なひらめきを生む「コミュニケーション×機能性」の設計とは
わたしたちはデジタルの力でお客様の事業の成功をご支援すると共に、社員と社会の明るい「ミライ」を創る企業を目指しています。 その実現のために、オフィスを革新的なアイデアがあふれ出す場にしたいと考えています。 しかし現状のオフィスは画一的で、創造力を刺激する環境ではありません。
そこで社員一丸となって「わたしたちらしいこれからの働き方」の検討を重ね、新オフィスに必要な3つの要素を導き出しました。 それは「活発なコミュニケーション」「クリエイティブの推進」「働きやすい機能性」です。
今回の改装に期待するのは、社員が「ミライ」を描けるオフィスです。 また就職・転職活動中の方々にも、「ここで働きたい」と思ってもらえる印象的な場になれば嬉しいです。
お客様は明確なご要望をお持ちで、旧来のオフィスイメージとは異なる「ナチュラルで温かみある空間」と「創造性を刺激する場」を併せ持つ職場環境をつくりたいとお話しされていました。 わたしたちはご要望をしっかりと実現したうえで、お客様が思い描く多様な働き方を叶えるオフィスをご提供したいと考えました。
着想したのは、自ら働く場所を選択し移動することで出会いを紡ぐ「CONNECT」のコンセプトです。 曲がりくねった主動線がオフィス全体をつなぐレイアウトで、レセプションエリアから始まり、リビングライクなカフェエリア、フリーアドレスのワークエリア、遮音ブースを備えた集中エリアへと通じていきます。 そして、創造力を刺激する会議室や少人数で使用できるブースなど、さまざまな「機能」を散りばめることで、社員が回遊し、接点ができる仕掛けを施しました。
それぞれのエリアを近接し少しずつ重ね合わせたオフィスは、たくさんの対話とインスピレーションが生まれる場となっています。
レセプションエリアに足を踏み入れると、目に飛び込むのが白い壁に浮かび上がる「NRI Netcom」のロゴ。 よく見るとロゴはアンティーク風の塗装を施したステンレスで作られており、壁は漆喰仕上げで、人の手による作業ならではの温かみが感じられます。 両側の壁には淡い色彩の磁器質タイルがランダムに並べられており、落ち着きの中にもリズムのあるデザインとなっています。
壁の一面はオフィスの内側が垣間見えるガラス張り。 オフィス内や社員が過ごす様子を垣間見ることができ、風通しのよいオープンな社内文化が感じられます。 ガラス面には社員が制作した会社のヒストリーをデザイン。 クリエイティブな感性を大切にする同社の想いがうかがえます。
レセプションエリアには会議室が設置されており、来客を迎えてすぐに打ち合わせに入ることができます。 必要に応じてガラス面に軽やかな素材のカーテンを引くことで情報漏洩への対策になり、柔らかな雰囲気と機能性が共存するよう工夫されています。
レセプションエリアを抜けると、大胆な配色と曲線のデザインが印象的な大空間が広がります。 ここは仕事も雑談もできる多目的なカフェエリア。
社員同士が自然に集まり偶発的な会話が生まれるよう、開放的なカウンター席やソファ席が用意されています。 北欧インテリアを思わせる淡い色調のカフェカウンターでは、飲み物を片手に談笑する社員の姿も。
アーチ開口が特徴的なボックスのソファ席は、突発的なミーティングやリラックスした対話に役立ちます。 2段になっているステップベンチが設置されたフリースペースでは、オープンなセミナーが開催されるなど、カジュアルな交流が生まれています。 植栽は実はフェイクグリーンで、癒やしをもたらしながらも手入れの手間を省けるという工夫がなされています。
会議室は、壁面のブラックボードが目を引く空間です。 リモートで勤務する社員とWebミーティングをしたりプレゼンテーションを行ったりするときに使われます。 社員が創造力を高め合う場になるよう期待を込め、「クリエイティブスタジオ」と名付けられました。
カフェエリアの一画にあるクリエイティブスタジオAは、硬質な素材と自然の要素をミックスしたナチュラルヴィンテージがテーマ。 作業内容や参加人数に合わせて可動式のテーブル&チェアを組み替えれば、活発なディスカッションの場に。 壁の二面の全体をブラックボードにした設えは、議論の内容を書き連ねていくことでアイデアをカタチにできるように、との願いが込められています。
執務エリアの中間にあるクリエイティブスタジオBは、クリエイティブスタジオAと同じテーマをもたせながら、また違った様相になっています。 大きな造作テーブルをメインに据え、横長の空間を無駄なく使えるようデザインされています。
カフェエリアから自動ドアを抜けると、そこは広々としたフリーアドレスの執務エリア。 あえて曲がり角がつくられている動線は、目的地以外の場所で立ち止まるきっかけになることも。 周りを見渡すとそこには熱気ある打ち合わせをしている人、黙々と作業に取り組む人、久しぶりにオフィスで見かける人、たくさんの仲間がいます。 “道草”が出会いとコミュニケーションを生み、交わした会話がイノベーションにつながっていきます。
窓側に並べられたベンチデスクは2~3人が横一列に並んでも、モニターを2つ並べたり紙の資料を広げたりするのに十分なスペースが保たれています。 ベンチデスクのそばには、オープンな会議スペースが。 仲間同士でのミーティングがすぐに始められ、アウトプットのスピードが加速するでしょう。
内側には吸音と遮音に優れたフルクローズのワークブースがいくつも置かれています。 1人用のブースは社外のお客様やテレワーク中の社員とのWeb会議に、2人用のブースは会議室まで足を伸ばさずに周りに気兼ねなく対話したいときに使われています。
ワークブースの間に設けられているのは、複合機と備品の収納スペースをまとめた「コミュニケーションステーション」。 部門を越えてさまざまな人が訪れるので、仕事では関わりが少なくても、ここでのちょっとした会話から新しい交流が始まります。
オフィス内外の人とすぐにつながりたいときもあれば、一心に仕事を仕上げたり考えを深めたりしたいときもあるでしょう。 集中エリアは扉付きのワークブースとセミオープンのパーティションブースが連なる、ひとりのための「こもり空間」です。
ここではWeb会議も電話での通話も行われません。 パーティションブースは吸音パネルが周囲の音を和らげるのでとても静か。 背面の閉じるワークブースでは、人の動きが視界に入りづらく、後ろからの視線も気になりません。 それでいながら頭上は覆われていないため、人の気配が適度に感じられます。 ひとりでありながらゆるやかに周りとつながり、安心感と心地よさに包まれます。 軽く目を閉じれば自然と呼吸も穏やかに。 深いリラックスを得て、再び集中モードに切り替えられます。
コミュニケーションを促進するだけでなく、ひとりの時間も大切にする。 自分のワークスタイルを自発的に選択できるオフィスでは、自分らしくのびのびと働きながら、さらなる革新的なアイデアを生み出すことができるでしょう。
今回は、社員の創造力と効率性を高めるため、画一的だったオフィスの改装に取り組んだ事例でした。 各エリアに多くの機能と多様なデザインテイストを取り入れながらも、フロア全体を一本の動線でシームレスにつなぎ、統一感あるデザインを心がけることで、調和のとれた心地よい空間を実現しています。 社員が回遊するなかで接点ができ、コミュニケーションが活性化する工夫にも目を引かれます。
快適な空間で働くイキイキした社員の姿は、社外へのブランディングにも大きな効果をもたらしていくことでしょう。
Project’s Data
- 企業名
- NRIネットコム株式会社
- WEBサイト
- https://www.nri-net.com/
- 編集
- モリヤワオン(ノオト)、オカムラ編集部
- 執筆
- 合戸奈央