社員同士の盛んな交流をブランディングに昇華するオフィス
――「発見・発信・吸収」のサイクルで共創を加速する
社員同士の盛んな交流をブランディングに昇華するオフィス
――「発見・発信・吸収」のサイクルで共創を加速する
わたしたちは技術系アウトソーシング事業を軸に、ITの受託開発やAI・VRなどの開発に取り組んでいる企業です。 今後は、来訪者へ向けてSUSの技術力をより効果的に表現したいと考えています。
また、現在は社員が部署ごとに割り当てられた固定デスクで働き、自由なコミュニケーションがとりにくい雰囲気があります。 特に、新入社員の研修などを行う「Classroom」と呼ばれる大会議室は、執務スペースから離れた場所にあり交流が生まれにくい状況です。
そこでオフィスの移転に伴い、DXも駆使した現代的なオフィス空間へのアップデートを目指します。 そして、社員同士の交流が盛んで働きやすいオフィスにすることで、今後の事業拡大や人材確保につなげていきたいと思っています。
ブランディングにつながるオフィス空間を実現するには、同社が扱う最新技術の効果的なアピールはもちろん、現代のオフィスに求められる「社員同士の共創が加速する環境づくり」も重要な要素だと考えました。
共創が加速する空間を実現するためにたどり着いたのが「発見・発信・吸収のサイクルを生み出す」というコンセプトです。 たとえば、新たな情報や発想を「発見」し、アイデアを「発信」しあえるよう、チームで集まれるチームリビングエリアを設けています。 また、集中と交流ができる空間をシームレスにつなげる執務エリアで、様々な情報を効率的に「吸収」できるように設計しました。
曲線を多用したゾーニングによって、「発見・発信・吸収」のサイクルを積み重ねやすくすることにより、大きな価値を創造できるオフィスを目指しています。
エントランスの入り口に立つと、タッチパネル機能を搭載した鏡面に「受付システム」が浮かび上がります。 先端技術を使ったスタイリッシュで機能的な受付は、自社の事業を象徴する場所のひとつです。 その先に広がるのは、鏡張りのエントランス。 プロジェクションマッピングによって映し出された自然の風景が鏡に反射し、森林の中に入りこんだような感覚になります。
エントランスを抜けると、DX Stage・共創空間が見えてきます。 ここは、VRゴーグルで技術テストを行ったり、訪れたお客様がDXを肌で感じたりする場所です。 壁面を活用した大きな画面に映像コンテンツが投影され、没入感のある体験を楽しめます。 訪れたお客様は、美しい森林の映像や自然音、アロマの香りによる空間演出によって五感を刺激され、ここでの体験が強く印象づけられるでしょう。
DX Stageから先へ進むと、ブラックを基調に木目調をあしらった高級感のある執務エリアが広がっています。 その一角にあるのが、チームリビングエリアです。 ここは、主にチームメンバーとコミュニケーションをとりながら、プロジェクトの打ち合わせや作業などを行う場所です。 グリーンをたくさん使ったリビングテイストの空間は、社員が自ら集まりたくなる雰囲気があります。
リラックスしてコミュニケーションがとれるソファ席のとなりには、チームで集中して作業ができるテーブル席も。 一人で集中したいときには壁際の集中席を使います。
執務エリアの奥には、円弧型のハイカウンターが印象的なカフェスペースがあります。 ランチタイムや業務後には社員が自然と集まってきて、一緒に過ごすのが日常の風景です。 些細なことから会話がはじまり、さまざまなアイデアが生まれます。
執務エリアの中央にある大会議室「Classroom」は、教育に力を入れる技術系アウトソーシング事業を中心としたSUSらしさを感じることのできる空間です。 ここは普段、ミーティングスペースとして開放されており、時にはエンジニアの研修の場所として利用されることも。 天井にはプロジェクターやマイクが備え付けられているので、離れた拠点をオンラインでつなぎ、朝礼などの定例会も実施できます。 さまざまな用途で有効活用できるので、情報を発見・発信する場所として最適です。
Classroomは、会議室でありながら壁を設けていないため、執務エリアとシームレスにつながっています。 人の往来がしやすくなり、執務スペースにいる社員も、Classroomにいるメンバーに話しかけやすくなりました。 また、Classroom、執務エリアのそれぞれで働いている人の活気が伝わってきて、業務が違う社員同士でもつながりを感じることができます。 用途によっては、カーテンを使って空間を簡単に仕切ることができます。
集中と交流を社員が自由に使い分けられるように、社内全体にフリーアドレス制が採用されています。 オフィスの中央を占める執務エリアを見渡すと、フリーアドレス運用をサポートする空間や機能が。 集中して作業したいときに人気なのが、窓に面した外向きのカウンター席やクローズドな個室ブースです。 個室ブースは一か所に集約せず、どの席からも近い場所に点在しています。 サッと入室してWeb会議や電話をする人の姿も。
ビッグテーブルやハイテーブルは、共同作業やちょっとした打ち合わせに最適な場所です。 また、一部の個室ブースの外装パネルにはホワイトボードが取り付けてあり、気軽に集まって思いついたアイデアを共有できます。
ポータブルバッテリーが完備されているので、電源コンセントの位置を気にする必要がなく、好きな場所で自由に働くことができます。 床からの配線もなくなり、スタイリッシュなオフィスの雰囲気を邪魔しません。 その日の気分に合わせて、好きな場所で働く――集中と交流がシームレスにつながる空間で働き方にメリハリがつき、情報を吸収しやすくなりました。
オフィスの壁や窓際に設置された個室の壁はガラス張りなので、扉を閉じていても執務エリアとのつながりを感じやすくなりました。 フロア全体に自然光を取り込みやすく、明るい雰囲気のなかで気持ちよく働くことができます。
オフィスの各所では、SUSの本社がある京都らしさを感じることもできます。 会議室と応接室、役員室のそれぞれには、京都市の伝統産業の一つである「水引(みずひき)」を使ったロゴを掲示。 それぞれの部屋には、「人と人を結ぶ」という水引の意味から「〇〇むすび」という名前が付けられています。
そんな遊び心もあるオフィスの一角に、開発室があります。 ここは、自社のエンジニアがVRの受託開発などを行う場所。 長時間の作業でも疲れにくいゲーミングチェアを採用し、集中してチーム作業したいときに適しています。
誰もがのびのびと働ける空間で、社員同士がつながりながら、業務に合わせた環境を選んで働ける。 「発見・発信・吸収」のサイクルを実現できるオフィスには、最大限の創造性を発揮できる工夫が詰まっていました。
本事例では、訪れたお客様が頻繁に利用するエントランスでAR・VRを扱う会社ならではの体験を提供し、社員同士がコミュニケーションを取りやすい開放的な執務空間を整えています。
オフィス環境を活かした企業ブランディングを成功に導くには、来訪する人、社内で働く人にとって、会社が魅力的な空間になっていることが大切です。 自社に対してポジティブな印象を与え、社員の愛着心を育てるためには、現在のオフィスに足りない要素を検討し、改善していく必要があります。 「事業を効果的にアピールする」「社員の共創を加速させる」というゴールを見出した本事例は、オフィスを魅力的な空間にアップデートするためのヒントになることでしょう。
Project’s Data
- 企業名
- 株式会社エスユーエス
- WEBサイト
- https://www.sus-g.co.jp/
- 編集
- モリヤワオン(ノオト)、オカムラ編集部
- 執筆
- 流石香織