ABWで実現する、自社ブランドメッセージを映し出す場
――空間と物語をつなぎ、みんなが笑顔になれるワンシーンをつくる
ABWで実現する、自社ブランドメッセージを映し出す場
――空間と物語をつなぎ、みんなが笑顔になれるワンシーンをつくる
今回の移転プロジェクトは、入居していたビルの老朽化が発端となっています。 さらに、コロナ禍で働き方を見直す機会が増え、社内でも固定席運用から場所に縛られないフリーアドレスやABWへ移行することへの関心が高まっているため、新たなオフィス構築には絶好のタイミングだと感じています。 ただ、単純な移転ではなく場所と運用を同時に切り替えるとなると、社員がうまく適応できるのか気がかりな面もあります。 上手くABWを取り入れて働きやすい環境を構築しながら、今まで以上に社内のコミュニケーションを活性化させていくことが理想ですね。 さらに、新しいオフィスにはわたしたちのブランドメッセージである「Your Smiles, Our Smiles.」を象徴するような場もつくりたいと思っています。 オフィスを訪れるお客様もここで働く社員も、自然と笑顔になれるような遊び心が詰まった空間になることを期待しています。
お客様から今回のプロジェクトにかける期待と不安をお伺いし、まずは不安を払拭できるよう、オカムラのラボオフィス※へお誘いしました。 実際にオカムラ社員が自席に縛られず自由に働くシーンをご覧いただくことで、具体的にオフィスに求める機能やありたい姿を整理いただけたのではないかと思います。 また、ABWオフィスの空間活用方法やアイデアなど、運用面を含めて気軽にご相談いただけるような体制づくりも心がけました。
ブランドメッセージの「Your Smiles, Our Smiles.」を体現するために掲げたコンセプトは「Work Que!」です。 キューには“きっかけ”という意味があり、オーエス様が携わる映画業界では馴染みがあるワード。 このオフィスが働く人と人をつなげ、その“Smile”がその先のお客様へと広がるきっかけになって欲しいという想いを込めました。
空間全体のゾーニングは、特徴的なビル躯体を全面に活かした開放的な執務エリアと、映画をモチーフにした空間で構成されています。 執務エリアは、コミュニケーションを活性化させ自由な雰囲気を後押しするように、ひとつなぎのメイン動線でゆるやかに各エリアを融合させています。 快適に働くための様々なABW機能を取り入れ、笑顔になれるオフィスになるよう想いを込めて設計しました。
※ラボオフィスとはオカムラが働き方の実証実験を行う自社拠点です。
新しいオフィスが入居するのは、梅田駅近くの三角形の敷地に建つビル。 梅田のランドマークともいえるHEP FIVEの赤い観覧車が一望できる絶好のロケーションです。
新しいオフィスのエントランスは、訪れたお客様がまず初めにオーエスらしさを感じることのできるこだわり空間。 映画館のロビーを想起させるような少し薄暗く落ち着いたデザインです。 オーエスの原点である映画興行事業から着想を得て、綿密に計算された照度や厳選された壁材によって絶妙なバランスが生み出されています。 この空間をシックにまとめることで、扉の先に広がる空間への期待も高まります。
さらに、壁に貼られた映画のポスターは、来訪者との話題づくりに一役買っています。 「この映画いま話題になっているんですよ。 」「あの映画の続編、来月から公開なんですね!」と会話が始まり、打合せ前の緊張感をほぐす効果も。 自社事業への理解を深めてもらいながら、コミュニケーションの糸口にもなる、他にはないエントランスが誕生しました。
エントランスの扉を開けて目に入るのは、こちらのオフィスのシンボルとなる場所、シアタースペースです。 大きなスクリーンでは常時映画の予告編が流され、ここでも映画とともに歩んできたオーエスのDNAを感じられます。 映画を通して気持ちを共有することで、社内外を問わず訪れる人同士のつながりを強くすることができる空間です。 このスクリーンでは、社員が好きなアーティストのライブDVDを持ち寄って映像を流すことも。 それが会話のきっかけになったり、同僚の思いもよらない趣味や好みを知って一気に距離が縮まったり、新たなコミュニケーションが生まれる起点にもなっています。 時にはイベントや勉強会を行うこともありますが、普段は個人業務やちょっとした来訪者との打合せでも使用される自由度の高い空間です。 スクリーン前のデスクや椅子は可動式で、利用人数やスタイルによってフレキシブルに組み替えることができます。 来訪者に自社の象徴ともいえる映画を感じてもらいながら、社員の交流も芽生える一挙両得の空間ができあがりました。
オーエスらしい遊び心は、会議室にも散りばめられています。 大小あわせて5つある会議室はそれぞれがテーマ性を持ち、映画のコンセプトごとに「OCEAN」や「SNOW」などと名付けられています。 イメージする映画とキーワードを社内で話し合い、それをデザイナーが設計に落とし込んでいきました。 壁紙や床材はテーマに沿ったものが選定され、アクセントとしてイメージする映画のポスターが飾られています。 まるで映画の中にいるかのようなわくわくする仕掛けです。 一番大きな部屋以外は窓がない会議室ですが、それぞれ印象の異なる内装にすれば飽きが来ず、閉塞感を感じさせません。 また、オリジナリティあふれる会議室の名前には愛着が湧き、その日の気分によって好きに選択できる楽しみもあります。 「あの映画の主人公だったら…」そんなことを考えてみたら、斬新なアイデアも生まれるかもしれません。
ABWを実践する執務エリアは全席フリーアドレス運用とし、ビッグテーブルや上下昇降デスクなど様々な機能を持った座席を点在させました。 大きな窓からは光が降り注ぎ、どの席でも明るく開放的な雰囲気で働くことができます。
座席は予約不要で早いもの勝ち。 各自がその日の気分や仕事内容によって自由に場所を選択します。 かっちりと固め過ぎず、ゆるやかにABWを取り入れることで伸び伸びとした働き方を実現しています。 一方でメリハリはつけられるよう、食事ができる席を限定。 私物はロッカーとバッグ置き場に集約し、そこから必要なものだけを持って移動するなど、空間全体が散漫にならない運用も取り入れています。
新たなワークスタイルを取り入れる際、社員の理解を得られないまま導入しても、想定したような結果にならない可能性があります。 オーエスでは移転前にABWのトライアル運用を実施し、新しい働き方への意識醸成を段階的に促してきました。 まずはスモールスタートから始め、少しずつ変化に順応させることで、無理なく新たなワークスタイルへと改革することが可能です。
執務エリアには、可変性の高いアジャイル空間もつくりました。 ここは、ライトなミーティングや勉強会など、内容や目的に合わせて簡単にレイアウトが変更できる場所。 自分たちで空間を設えることは、作業をいったん俯瞰的な視点で捉え、全体像からよりよいアプローチを考えることにもつながります。 会議室とは違ったオープンな空間だからこそ、ブレストやディスカッションが白熱し、新たなアイデアが浮かんでくるかもしれません。
そしてオフィスの癒しとなっているのが、窓辺で飼われているメダカ。 水槽の横にカレンダーが置かれていて、餌をあげた人がチェックをつけるルールです。 でも、可愛くてついついチェックが入っていても餌をあげてしまうこともあるんだとか。 みんなの笑顔を引き出すオフィスの人気者です。
ABWを成功させるにはリフレッシュも大事な要素の一つです。 気ままに泳ぐメダカを眺めたり、窓から見える景色を見ながら気分転換することで、一層仕事に打ち込むことができます。
今回訪れたのは、自社の事業を場に体現し、来訪者とそこで働く社員両方を「笑顔にする」オフィスでした。 新たに挑戦したABWも、トライアル期間を設けて無理をせずルールを固め過ぎないことによって、抵抗感をそれほど感じさせずに上手く受け入れられていました。 ABW運用の導入に不安を感じている方も、今回のようにまずは実際の空間を見学したり、トライアル導入を行ってみたりすることで、自社に最適な機能が見えてくるかもしれません。 同じようなお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
Project’s Data
- 業種
- エンタメ・サービス事業、不動産事業
- 企業名
- オーエス株式会社
- プロジェクト名
- オーエス株式会社 本社移転プロジェクト
- WEBサイト
- https://www.osgroup.co.jp/