働きやすさを徹底的に追求した、従業員ファーストなオフィスづくり
── 柔軟な働き方で「健康経営」を実現する
働きやすさを徹底的に追求した、従業員ファーストなオフィスづくり
── 柔軟な働き方で「健康経営」を実現する
四国一の高さを誇る「高松シンボルタワー」。 その名の通り高松の象徴ともいえるこの超高層ビルに、四国計測工業は香川県仲多度郡にある本社機能の一部を移します。 目指すのは、最新の情報と優れた人材に敏感に反応し素早く対応できる先進拠点。 2年前に先立って同ビルに開設したサテライトオフィスに続いて2拠点目です。
市外から高松オフィスに通う従業員は慣れない環境で働くことに不安を覚えることも多いため、今までの事務所とは全く異なる雰囲気でも安心して働けるよう、「心身ともに落ち着ける」オフィスを作りたいと考えました。 高松シンボルタワーからの眺めと、サテライトオフィスを作る際に得た知見を活かして、従業員の自然なコミュニケーションを促しながら、業務にも集中できるオフィスを実現したいと考えています。
お客様に見せていただいた新しいオフィスのイメージ写真には、木や緑がふんだんに使われた落ち着いた雰囲気のものが多く、そこから目指したいオフィスの方向性を掴むことができました。 しかし、一言で「落ち着いた空間」と言ってもさまざまな雰囲気の「落ち着き」があります。 お客様がなんとなく思い浮かべている頭の中のイメージを、「これだ!」と納得していただける空間にしたい。 そこで、お客様が写真の「どの部分」に惹かれたのかを明確にするために、これから作っていくオフィスの雰囲気を目に見えるわかりやすい形にして、お客様との話し合いを進めていきました。 例えば、オフィスの全体像を絵で確認できるイメージCGを作成し、CGで使用した素材の実物サンプルを用意することで、お客様から「家具の色はイメージに近いけれど、オフィス全体の明るさはもう少し暗い色が良い」などの具体的な希望を伺うことができます。 そのように丁寧なコミュニケーションをとることで、よりお客様が想い描くオフィスの雰囲気に近づくように微調整を繰り返していきました。
また、話し合いを進めていく中で、カフェエリアと執務エリアでお客様が求める「落ち着き」の雰囲気が異なることもわかりました。 カジュアルなコミュニケーションが求められるカフェエリアと、リラックスして働くことが求められる執務エリアでは同じ「落ち着いた空間」でありつつも、それぞれの機能に適したデザインを施す必要があります。 それぞれの空間へのお客様の想いと、それを実現するために必要な要素をお客様とともに一つ一つ整理しながら、オフィスの全体を提案しました。
エントランスに一歩入ると、ガラス越しに家具や天井の表情豊かな木目と、テーブルから真っ直ぐ上に伸びるシンボルツリーが目に飛び込んできます。 オフィスの中でも一際存在感を放つこのカフェエリアは、従業員同士でリラックスして談笑をしたり、瀬戸内海を臨みながらほっと一息をついたりする、みんなの憩いの空間です。 カフェエリアと執務エリアは棚で区切られ、さらに床の模様も変わっているので、同じフロアにありながらも異なる雰囲気の空間であることを感じ取れます。 また、カフェエリアは天井が周りより少し低くなっていることで、より落ち着いた印象を与えています。
天井近くまで伸びる背の高い植栽は、カフェエリアのシンボルになっています。 シンボルツリーの自然な緑と、そのツリーによって生まれる木漏れ日がカフェエリアを一層和らげ、根元に敷かれた「世界の銘石」と称される地元の名産品「庵治石(あじいし)」からは、地元への郷土愛や親しみが感じられます。
「オフィスのエントランスはお客様にサプライズを与えるものにしたい。 」そんな想いを込めて作られたのが、エントランス正面にある社名サインが施された「木目の壁」。 実はこの壁、自動ドアの扉になっており、横にスライドするのです。 床から天井まである大きな一枚の壁が開くと、まるで秘密の扉が開いたよう驚きとワクワクを感じさせます。
エントランスは2面が開放感のあるガラスで仕切られているため、本来の広さよりはるかに広く感じられ、来訪者に窮屈感を与えない工夫が施されています。 反対側の壁面にはポスターなどを飾ることができるエリアがあり、広い壁面も持て余すことなく有効活用されています。
来客会議室からは窓の外に広がった美しい海の景色を眺めることができ、会議室の堅苦しい雰囲気を和らげてくれています。 各個室の配置にも、少しでもリラックスしてもらいたいというおもてなしの心が表れているのです。
執務エリアは、従業員が健康で柔軟に働けることを第一に考えられています。 そのため、今までの固定席ではなく、従業員が自ら働く場所を選べるフリーアドレスの運用が採用されました。 執務デスクは、スタンダードなタイプのベンチデスクだけではなく、立って作業することで腰への負担を和らげる上下昇降デスクや、広い机上面を確保できるライブラリーテーブルなど、さまざまな形のデスクを取り入れています。 集中して作業したいときは窓側のブース席で、WEB会議のような周りの声が気になるときは「TELECUBE by OKAMURA」(フルクローズ型のワークブース)で作業できるので、ストレスなく働くことができます。
また、バイオフィリックデザインを意識し、オフィス内のいたるところに植栽が配置されています。 オフィスのどこを見渡しても緑を目にすることができ、落ち着きの中に自然を感じられる空間になっています。
社内会議室のガラス壁面にも、社員が効率的に気持ちよく働ける“ある仕組み”が。 会議室の壁面は、ボタン一つで透明なガラスが曇りガラスに変身する調光ガラスで作られています。 普段は透明なガラスで、会議室を使用するときのみ曇りガラスにできるので、海が見渡せる開放的な執務エリアの雰囲気を崩さずに保つことができます。 ボタン一つで瞬時に曇りガラスに変わるので、会議のスタートがとてもスピーディー。 会議室の使用状況も一目瞭然で、従業員から重宝されています。
3室ある会議室の1室は、キャスターが付いた可動式のテーブルを取り入れています。 自由にテーブルを動かすことで、複数人でのWEB会議や、WEBでの採用面接にも対応できるような設えです。 さらに、3室とも片側の壁面は全面ホワイトボード仕様。 会議中に思いついたことを瞬時に、そして思う存分に、メンバーと共有することができます。
オフィス全体が心地いい雰囲気をまといながらも、異なる種類のコミュニケーションが行われる。 談笑をする空間と会議をする空間とでは、それぞれに適した設えと工夫が施された、従業員がストレスなく安心して働ける「落ち着きのある」オフィスに仕上がりました。
今回は、木のぬくもりを感じられるカフェエリアを設けるところや、フリーアドレスやワークブースなども積極的に活用しているところから、働きやすさを第一に考えた、従業員ファーストなオフィスだと感じられる事例でした。 働く空間の雰囲気や働く場所を従業員が自ら選択できることは、ストレスなく健康的に働くことに繋がるだけでなく、生産性の向上も期待できます。 今回の取材では、従業員が働きやすいオフィスを作りたいというお客様の想いと、その想いの細部まで汲み取り、お客様の理想の形を実現するデザイナーの「プロ根性」を垣間見ることができました。
Project’s Data
- 業種
- 電気制御機器メーカー
- 企業名
- 四国計測工業株式会社
- プロジェクト名
- 四国計測工業 高松オフィスプロジェクト
- Webサイト
- https://www.yonkei.co.jp/