創立70周年── 地域から愛され続ける銀行が描く

100年先へとつづく持続可能な共生の未来

創立70周年── 地域から愛され続ける銀行が描く

100年先へとつづく持続可能な共生の未来

この記事は2022年4月26日に公開されたものです

株式会社武蔵野銀行 様

1階 約530㎡・2階 約440㎡/2021年12月竣工

次世代型店舗の構築を通じた地域との交流・共創のかたち

1952(昭和27)年の創業以来、「地域共存」「顧客尊重」の経営理念のもと、郷土「彩の国さいたま」の地元銀行として地域経済・社会への貢献に努めてまいりました。 そんなわたしたちが今回の新本店ビルの建設で実現したいコンセプトは、「伝統と未来の出会い」と「地域の皆さまとの交流・共創」です。 

銀行の長い歴史においても、本店構築の機会はそれほどあるものではありません。 1階の本店営業部は、地域の皆様が安心して利用でき、末永く愛される次世代型店舗の構築を目指しています。 2階は大宮駅と直結する空中歩廊から直接できる地域創生スペース。 スマートフォンアプリなどのDX体験の場や、カフェを設けるなど、地域の皆さまとの交流・共創の中心となるよう、魅力的かつ機能的な空間となることを期待しています。 

この先も愛される銀行であり続けるために、
地域の皆さまと一緒に100年先の未来を考える

今回のプロジェクトでは、具体的な設計提案の前に「これからの金融店舗のあり方」を提案させていただきました。 金融店舗はいま、人口構造の変化やFinTechの浸透により、大きな転換点を迎えようとしています。 さらに、新型コロナウイルスの流行により、サービス提供の方法も大きく変わりました。 インターネットバンキングがさらに発展すれば個人顧客の来店数減が予測されますが、一方でセキュリティを重視する法人顧客などは来店が増える可能性もあります。 今後の店舗に求められる条件は、それらの変化に追随出来ること。 数年間の短いスパンで変化し続ける市場環境に柔軟に対応していくため、「可変性」をテーマに空間提案を行いました。 

1階本店営業部は、お客様の導線や行動心理もふまえて、いかに店舗に入りやすく、落ち着いて相談ができるかを考えてゾーニングを設計しています。 さらに、数年後の変化を見据えて家具はできるだけ可変性がある構造を採用。 カウンターやブースも部材の変更や追加で組み換えが可能な設計です。 一方で、武蔵野銀行のブランドイメージは損なわないよう、インテリアは全体的にシックな木目を採用し、建築意匠との調和も図りました。 

2階の地方創生スペースについても、その活用方法から一緒に検討させていただきました。 当初から予定されていたDX体験やカフェといった機能に加え、コワーキングゾーンやアカデミーゾーンなど、地域の方が訪れる目的となる機能をともに構築しました。 マルチディスプレイで地域情報を発信するなど、まさに地域の皆さまに愛される交流と共創の場となっています。 


おもてなしの心が宿る
エントランス空間

まずは1階本店営業部からご案内します。 全面ガラス張りの開放的なメインエントランスを抜けると、円形のカウンターからコンシェルジュがやさしく声をかけてくれます。 訪れたお客様を少しでも不安にさせることがないよう、すばやく対応する武蔵野銀行のおもてなしです。 

本店全体のゾーニングは、メインエントランス付近にATMやセルフで利用可能な機能を集約し、奥に行くほど落ち着いて相談できる環境という構成。 来店の目的に応じてコンシェルジュが誘導することで、お客様全員に気持ちよく店舗を利用してもらうことができます。 

エントランスの右手には、遠隔相談ブースを設置。 専門性の高いサービスを幅広く提供するため、ひとりひとりのニーズに細かく対応した空間構成となっています。 

細部にまでこだわった、
次世代のスタンダード

従来の金融店舗では、窓口カウンターとバックオフィスが一体化しているレイアウトが主流でしたが、こちらの店舗では二つの空間がシックな木目調の壁で仕切られています。 それによりバックオフィスで働く行員は業務に集中でき、お客様も落ち着いて相談ができます。 バックオフィス内のレイアウト制約が減るメリットもあり、次世代型店舗の主流となるかもしれません。 

窓口のカウンターには天板を上下昇降させる仕掛けを。 場面に応じて立ち・座りのセッティングを変更でき、車いす使用者にも優しいバリアフリー仕様です。 家具に仕掛けた「可変性」はこれだけではありません。 実は、バックオフィスとの仕切り壁やカウンターはすべてパーツごとに分解が可能。 今後の市場の変化にも対応できるように、全体的に組み替えられる設計となっています。 

待合スペースのソファには、あえて重厚感のあるものではなくスタイリッシュで軽いソファを採用。 ひとりでも簡単に運べる機能性と、軽快なデザイン性の両方を兼ね備えています。 通常壁や天井に設置する監視カメラは、バックオフィスの仕切り壁に設置。 そうすることで、将来的に壁を移動する際もカメラ位置を簡単に変更でき、大きな足場を組む必要もありません。 至近距離での録画も可能で、セキュリティも万全です。 

相談内容はいろいろだから、
応接スペースもいろいろ

奥に進むと、目的に応じて使い分けられる4つの応接スペースがあります。 

ブラックのフレームで構成されたガラス張りの空間は、気軽に相談ができる簡易応接スペース。 透明性のある空間で、住宅ローンの相談など、明るい未来の計画を行員が一緒にサポートしてくれます。 

もう少し落ち着いて相談がしたいときは、少人数用応接室へ。 左右上下から明るい光が差し込むので、窮屈に感じません。 すりガラス仕様になっているので、周囲の目線を気にせずについつい話し込んでしまいそうです。 

融資の相談は、行員とじっくり対面で話ができる相談ブースへ。 全面すりガラス仕様で、お客様のプライバシーを保護しています。 これらのブースも将来的に可変可能。 ニーズに合わせて場所や個数を変更することができます。 

一番奥の空間には、大人数用の応接室を設置。 可変性を重視しながらも、部屋の内側は高級感のある内装で仕上げることで、訪れたお客様に特別感を感じさせます。 地域の皆さま、そして古くから銀行を愛してくださるお客様を大切にする武蔵野銀行の想いが伝わってきます。 

「武蔵野の森」をつくった理由

地域と共存するため、建物全体でサステナビリティへの貢献にも取り組んでいます。 外構には「武蔵野」在来の樹木や秩父の自然石などが使用されており、「武蔵野の森」と名付けられています。 外構の植栽は地域の生態系に配慮したものとしており、生物多様性を高める事業を評価する認証制度「JHEP(ジェイヘップ)」認証を、金融機関の本店として初めて取得しました。 本店内のいたるところにも癒しのグリーンがあらわれ、建物の内と外をつなぐ重要な役割を果たしています。 

カフェもある銀行、銀行もあるカフェ

2階は「地域の皆さまとの交流・共創」スペース(名称:M’sSQUARE)。 武蔵野銀行が地域に発信する、新たな挑戦の場です。 ここではタブレットを用いて、銀行が提供するデジタルサービスを体感できるだけでなく、地元スポーツチームの応援ブース、マルチディスプレイ等で埼玉の魅力を感じることができます。 カフェも併設されており、少し休憩したいという目的でも利用OK。 多様性に対応した空間です。 

タブレット用の家具は、モジュールを統一したブロック型の造作家具で設計。 自由に組み換えができ、立ったり座ったりグリーンを配置したり、利用者も管理者も気ままにポジションを変えることができます。 

「はたらく」と「まなぶ」がもたらす、
新しい地域創生

空間の認知度や活用頻度を高めるために、地域の方が気軽に利用できるコワーキングゾーンと、セミナーやシンポジウムを開催できるアカデミーゾーンも設けました。 

コワーキングゾーンは大通りを一望できる角の一等地。 常に進化し続ける大宮の街を眺めることで、地域への愛着も自然と高まっていきます。 

アカデミーゾーンは最大100名ほどの人数を収容でき、情報交換や新たな発見の機会を提供します。 イベント開催時はガラスパーティションでエリアを区切ることで、空間に圧迫感を与えずに機能を分離できます。 この場所から、新たな事業や地域創生のアイデアが生まれ育っていく日も、そう遠くはないでしょう。 

編集後記(ここに注目!)

今回の事例からは、全体コンセプトにも空間ひとつひとつの細部にも、一貫して「地域とともに歩み、地域社会に貢献し続ける」という武蔵野銀行の強い意志を感じました。 完成したものは「最新型の次世代店舗」ですが、これは地域の皆さま・お客様のことを第一に考え、おもてなしや使いやすさなどを追究した結果、たどり着いたものだと言えるでしょう。 オカムラの理念には『人を想い、場を創る。 』という宣言があります。 武蔵野銀行新本店は「地域の皆さまのことを想い、創られた場」であり、オカムラが目指すものと同じ未来を描いているような、とても共感できるものがありました。 

Project’s Data

業種
金融機関(銀行)
企業名
株式会社武蔵野銀行
プロジェクト名
武蔵野銀行 新本店構築プロジェクト
WEBサイト
http://www.musashinobank.co.jp/

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