大学でのワークブース活用事例 Case-6
國學院大學 総合学修館(6号館)
大学でのワークブース活用事例 Case-6
國學院大學 総合学修館(6号館)
明治維新を契機に押し寄せる欧化の波の中で、日本独自の思想や文化の研究を目的に設立された「皇典講究所」を起源にもつ國學院大學。 近年のグローバル化においては、異国文化理解にはまず自国文化の理解が必要と考え、日本と世界の理解を深めたグローバル人材の育成に力を入れています。
そんな國學院大學渋谷キャンパスに2019年に竣工した総合学修館(6号館)は、学生や留学生が快適に学修・交流できる場としても活用されています。 歴史ある神社と閑静な住宅街の狭間に建つ「離れ」のようなこの建物は、学生が個人学習に集中できる一方で、人々が絶え間なく入れ替わり交流を行える空間となっています。
国際交流課はこの総合学修館に事務所を設け、留学に関する学生からの相談や問合せに応じています。 事務所スペースには、セミクローズタイプのワークブース『スノーハット』を導入。 コロナ禍前の導入でしたが、働き方の変化を経てその活用方法も少し変わってきたようです。
今回は国際交流事務部 次長の石山昭彦氏に、ワークブースの活用方法だけでなく、現在の留学状況や今後の展望など、今直面している事態への想いを伺いました。
国際交流課の主な役割は、留学を希望する国内外の学生支援や、毎年実施している交換留学プログラムの運営、大学の外交関係全般です。 毎年協定校から15~20人ほどの交換留学生を受け入れていますが、昨年は新型コロナウイルスの影響で日本への渡航ができなかったため、2020年度はプログラム自体を中止せざるを得ませんでした。 今年度も入国制限が解除されないため、物理的な留学はかないませんでしたが、これまで続けてきたプログラムを途絶えさせたくないという思いから、現在はオンラインにて留学プログラムを実施しています。
また、現在もコロナが収束した後を想定した留学の相談に来る学生はいますが、コロナ禍前と比べると相談内容も変わってきました。 在学中に日本から国外への留学を希望していても、就職活動や卒業の時期を迎えてしまって、仕方なく諦めている学生も少なくないと思います。 具体的に何を相談して良いのかわからず、現在どれくらい留学が難しいことなのかを聞きに来る学生もいます。 職員も学生も、はやく留学を再開させたい想いですが、なかなか予測が立ちませんね。
国際交流課のある総合学修館(6号館)は、教室のほかに自習スペースが設けられています。 図書館や他の建物にも自習スペースはありますが、そちらはどちらかというとグループ向きなので、集中して個人学習がしたい場合にこちらを利用する学生が多いようです。 学生も目的に応じて自立的に空間を使い分けるようになっていると感じますね。
現在は対面授業、完全オンライン、ハイブリットなど、様々な形態を使い分けて授業を行っているため、一時期と比較すると学生がキャンパスに来ることも増えました。 総合学修館では地域住民や外部の方が参加可能な授業も行われるので、人々の出入りが多い日もあります。 建物も全面ガラス張りで事務所スペースもオープンな空間なので、我々も日々、開放感と緊張感を併せもって業務ができていると思います。
ワークブースは当初、役職教員用の個室として導入しました。 もともと国際交流部門には、他部門にある役職教員専用のスペースがなかったため、今回はオカムラさんからの提案でワークブースの『スノーハット』を個室として使用してみようということになりました。 現在、当該教員の利用は月に1~2回程度なので、それ以外の時は他の教職員や就職活動中の学生も使用可能にしています。
しかし、コロナ禍前は正直どのように利用していいかわからず、稼働率はあまり高いとは言えませんでした。 新型コロナウイルスの流行によってオンライン会議が主流となってからは、徐々にブースの使い方が定まってきましたね。 職員がブース内でオンライン会議に参加することが増え、ほぼ毎日誰かが利用しています。 長い会議だと半日~1日ブース内で過ごすこともあります。
当初はそこまで遮音性を重視していなかったので、もう少し音のマネジメントを考慮しておけばよかったと思うこともあります。 スノーハットは上部がルーバーになっていて、どうしても大きな声で話すと外に音が漏れてしまうので。
また、導入時は全面クリアガラスのままでしたが、プライバシーを考慮して目線の位置にはスモークのシートを張りました。 中に人がいるかどうかの透明性は確保しつつ、より集中空間としての機能を向上させるための工夫です。
新型コロナウイルスの流行によって、私たちの働き方や留学に関する環境は大きく変わりました。 早くコロナが収束して、学生だけでなく人々が国境を超えて移動できるようになるといいなと思う一方で、この1年半でオンラインを使った別の方法を経験できたことも事実です。 そのうちに必要とされるものは、たとえコロナが収束しても残っていくのではないでしょうか。 100%元の形に戻るのではなく、少しずつやり方が変わってくる。 それによって今まで留学に挑戦できなかった学生も、違った形で国際交流や留学ができるようになればいいなと思います。 私たちもそのために努力していきたいですし、今後もこの場所から学生を見守っていきたいと思っています。
-「100%元の形に戻るのではなく、少しずつやり方が変わってくる。 」未だ新型コロナウイルスの混乱が収束せず、留学環境も非常に厳しい状況におかれている中、変化を前向きにとらえている石山さんのこの言葉が非常に印象的でした。 『禍を転じて福と為す。 』少しでも早く国際交流が復活できる日を祈って、我々も皆さんの挑戦を応援しています。
Project’s Data
- 大学名
- 國學院大學
- 所在地
- 渋谷キャンパス 東京都渋谷区東4-10-28
- 規模
- 学生数約10,000名
- Webサイト
- https://www.kokugakuin.ac.jp