働き方・働く場の研究と視点
KNOWLEDGE
出社の価値を考える
オフィスに出社することの価値について、ワーカーはどのように考えているのでしょうか。
また、出社に価値を感じられることがワーカーにどのような影響を与えるのかについて調査をしました。
POINT:
- オフィスに行きたいと感じている人の約8割が、オフィスで仕事以外の活動ができることに価値を感じている。
- 出社することに価値を感じる活動は、「オフィス内での対面でのコミュニケーション」、「オフィス内で楽しみにしている活動・有意義な活動」、「オフィス外で楽しみにしている活動・有意義な活動」の3つに分類できた。さらにその活動に対する評価をもとに5つの特徴的なタイプに回答者を分類できた。
- 「オフィス内での対面コミュニケーション」と「オフィス内で楽しみにしている活動・有意義な活動」に強く価値を感じている「オフィス内満足タイプ」は他のタイプに比べ、「Well-being」や「親密性/安心感」といった働き方に対する評価が最も高くなっている。
この記事では『KNOWLEDGE - WORK DESIGN REVIEW 2024 RESEARCH #01 出社の価値を考える』より一部内容を抜粋してご紹介します。
仕事以外の活動に出社の価値を感じるか?
オフィスに行くことの価値は仕事ができることが前提ですが、雑談や飲食など仕事に直接関わらない活動にも価値がありそうです。実際に、オフィスに行きたいと感じている人の約8割が、オフィスで仕事以外の活動ができることに価値を感じていることがわかっています。
この結果から、行きたくなるオフィスを考える上で、仕事以外の活動ができることも重要と考えられます。そこで、オフィスワーカーは出社のどのような点に価値を感じているのか、名古屋市立大学と共同で調査をしました。
出社の価値の感じ方にはどんな特徴が?
まず、仕事以外で出社することに価値を感じる活動についてアンケート調査を行いました。その回答から、出社することに価値を感じる活動について統計的手法を用いて3つに分類できました。1つめが「オフィス内での対面でのコミュニケーション」で、2つめは、交流や気分転換といった「オフィス内で楽しみにしている活動・有意義な活動」、3つめは昼休みに行う寄り道などの「オフィス外で楽しみにしている活動・有意義な活動」です。さらに、3つの活動の価値に対する評価に応じて、回答者を特徴の異なる5つのタイプに分類できました。
上の図は各タイプの働き方に対する評価を調査した結果です。「Wellbeing」、「親密性/安心感」の2項目に着目すると、オフィス内での「対面コミュニケーション」と「楽しみにしている活動・有意義な活動」に強く価値を感じている「オフィス内満足タイプ」は、両項目の評価が高いことがわかりました。またこれらの値は「オフィス外で楽しみにしている活動・有意義な活動」に特に価値を強く感じている「出社満足タイプ」の評価よりも高くなっていました。「オフィス内満足タイプ」は、オフィス内での対面コミュニケーションや気分転換などに価値を感じていることから、Well-being や親密性や安心感があるといった評価につながっているようです。
仕事に直接関わらない活動も行える場になることで
さらにオフィスの価値が高まる
オフィスは仕事をする場所であることが前提ですが、今回の調査からは仕事に直接関わらない、交流や気分転換などの活動にも価値を感じる人がいて、それらに価値を感じる人は働き方に対する評価が高いことがわかりました。そのため、オフィスは仕事に直接関わらない活動も行えることが重要といえそうです。そういった活動をスムーズに行うためには、空間を作るだけではなく運用面を含めて考えていくことが、ワーカーが心地よく働けるオフィスにつながるのではないでしょうか。
PDF版(掲載ページP37〜)で詳細な内容を掲載していますので、下記バナーからダウンロードしてご活用ください。
Research: 花田愛、野々田幸恵、鯨井康志
Edit: 吉田彩乃
Illustration & Infographic: 浜名信次(Beach)、堀内宏臣(Kanaalstraat Studio)
Production: Plus81