働き方・働く場の研究と視点

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働く時間や場所の柔軟性が、 働き続けたい企業のポイントに?

2023.7.26
  • Research
  • Workstyle

近年、さまざまな業界で人材不足が叫ばれています。社内の知識や技術の継承のためには人材の確保や定着が不可欠であり、これを解決する施策を打ち出すことが喫緊の課題となっている企業も多いのではないでしょうか。

こうした状況のなか、ハイブリッドワークの普及に伴い働く時間や場所の柔軟性が高まってきました。そこでオカムラでは、働く時間や場所を柔軟にする制度の有無が、その企業で働き続けたいと思うかといった就業継続意欲に関係するのではないかと仮定し、調査分析を行いました。

POINT:

  • 柔軟な勤務時間に関する制度や、働く場所が選択できる制度がある企業で働く人の方が、「勤務先で働き続けたい」と考える割合が高い。
  • 働く場所を選択できる制度の導入がある人とない人を比べると、特に20代は「勤務先で働き続けたい」と回答した人の割合の差が大きい。

制度の導入の有無と
ワーカーの就業継続意欲

この調査では最初に、勤務時間や働く場所について調べました。まず、時間に着目して「柔軟な勤務時間に関する制度」の有無について尋ねたところ、「導入あり」と回答した人は64.6%でした*1。次に場所に着目し、「働く場所を選択できる制度」の有無を調べると、「導入あり」と回答した人は64.6%でした*2。この結果をふまえつつ、勤務先の企業で働き続けたいと思うかどうかといった就業継続意欲について尋ねました。

まず、回答者全体では、現在勤務する企業で働き続けたい(ずっと働き続けたい+できれば働き続けたい)と回答した人の割合は69.4%でした。続いて制度の導入有無別に見ていくと、現在勤務する企業で「柔軟な勤務時間に関する制度の導入がある」、「働く場所を選択できる制度の導入がある」と回答した人の方が、「導入なし」と回答した人に比べて、「現在勤務する企業で働き続けたいと思う」と回答する人の割合が高いことがわかりました。


柔軟な制度がある会社で
働き続けたいと思う人の特徴は?

上記の調査で回答者の属性別の分析も行いました。年代別に見ていくと、20代は特に、勤務時間を柔軟にする制度の導入があることと就業継続意欲の関連が強いと言えそうな結果が出ました。

詳細を見ると、勤務時間を柔軟にする制度について「導入あり」と回答した20代のうち、「勤務先で働き続けたい」と回答した人は69.4%であるのに対し、「導入なし」の人は41.1%となっていました。他の世代と比べてみると20代では、制度の導入の有無で比較した場合に、「勤務先で働き続けたい」と回答した人の割合の差が大きくなっていました。


働く場所や時間の柔軟性が
企業の魅力になる

今回の調査では、現在勤務する企業で「柔軟な勤務時間に関する制度の導入がある」、「働く場所を選択できる制度の導入がある」と回答した人の方が、制度がないと回答した人に比べて、現在勤務する企業で働き続けたいと思う人の割合が多くなりました。

働く時間や場所を柔軟にする制度を導入することと、ワーカーの就業継続意欲には関係がありそうです。また、20代の人材定着を考える上では、柔軟な勤務時間に関する制度の導入が大きなポイントになりそうです。勤務先で働き続けたいと思う理由には、仕事の内容や待遇、人間関係など様々な理由があると想定されますが、人材定着のための施策の1つとして、働く時間や場所を柔軟にする制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

*1  制度の内訳は「フレックスタイム制度」65.3%、「仕事の合間に仕事以外の活動(家事、育児介護など)をすることを許可する制度」36.8%、「働く時間を自分できめることができる制度」14.4%(複数回答)。
*2  オフィス以外に働く場所として認められている場所の詳細は「自宅・実家」97.7%、「社内他拠点(サテライトオフィス)」30.5%(複数回答)

Research: 嶺野あゆみ
Edit: 吉田彩乃
Illustration: 川添むつみ
Production: Plus81