働き方・働く場の研究と視点
KNOWLEDGEレイアウトデータからみるオフィスの現在〈後編〉
オカムラでは、オフィスづくりの指標となる優良オフィス
(日経ニューオフィス賞*の応募資格に該当する企業)を対象とし、
レイアウトに関する基礎データを継続的に収集しています。
前編に続き、後編では「デスクと収納量のスタンダード」や「打ち合わせ場所の設置数の目安」など、
オフィスづくりのベンチマークを設定するうえで参考となるデータをご紹介します。
*日経ニューオフィス賞
日本経済新聞社と一般社団法人ニューオフィス推進協会(NOPA)が主催する賞で、創意と工夫を凝らした、今後の範として認められているオフィスを表彰するもの。
POINT 01
デスクと収納量のスタンダード
1.デスクの天板の形や幅
天板の形についてみると、ベンチテーブル型のデスクが約70%を占め、もっとも多く使用されています(図1上)。ベンチテーブルは、単体のデスクを連結させて使うよりも、人員の増減に対応しやすいというメリットがあります。
1人当たりの天板の幅は、1,001~1,200 ㎜ が約40%、1,201~1,400㎜が約30% を占めており、1,001~1,400㎜が全体の約7割を占めていることがわかりました(図1下)。
2.業種別の1人当たりファイルメーター
ファイルメーター[fm]とは、書類等をすべて積み上げたときの高さをメートルで表記したもので、1人当たりの適切な収納量を算定するときの基準になります。2020年の全業種の平均は2.5fmでした。以前は業種によってファイルメーターにバラつきが見られましたが、製造業や官公庁でも書類削減が進み、2020年は各業種の差があまりみられないという結果になっています(図2)。
*図2の値は、執務エリア内のキャビネットが設置されている面積から算出した結果です。また、ワゴンや袖机などの机下収納、および執務エリア外の倉庫・書庫などの書類は計測の対象外としています。
POINT 02
打合せ場所の設置数の目安
会議室とミーティングスペースを合わせた打合せ場所を、適切な数だけ用意するために大事なポイントは二つです。
一つ目は、ワーカーのアクティビティを考慮して、サイズを分けて計画することです。サイズ別に在席者数と打合せ場所の設置数を調べると、図3のような関係があり必要な打合せ場所の目安を算出できます。例えば在席者1,000名のオフィスの場合、Sサイズの打合せ場所は、0.044×1,000=44個が目安となります。
二つ目は、会議室とオープンなミーティングスペースを区別し、必要なプライバシーを確保することです。最近はオンライン会議などで音や視線への配慮が求められ、特にSサイズの会議室が不可欠となっています。前述の例では、Sサイズの打合せ場所44個のうち、会議室は約5室(13.1%)が目安になります(図4)。
前編では、「1人当たりの面積の推移」や「ABWに対応したオフィスの割合」などをご紹介しています。
Research: 牧島満、秋永凌(オカムラ)
Edit: 大野菜々子、吉田彩乃
Illustration & Infographic: 浜名信次、藤井花(Beach)
Production: Plus81 inc.