2022.09.05 2022.09.05

国立大学法人九州工業大学 様 旧体育館から昇華した"交わり"の形成拠点 ――産学官一体となったイノベーション創出の場

国立大学法人九州工業大学 様

2022年5月、九州工業大学戸畑キャンパス内に、産学官一体となった新たなオープンイノベーションの場『GYMLABO(ジムラボ)』が誕生しました。GYMLABOが開設された建物は、1965年に建設された旧体育館。創立110周年記念事業としてフルリノベーションされ、学生や研究者と企業や自治体を結びつけるコワーキングスペースとして生まれ変わりました。九州工業大学は、同学が誇る「人材・知識・技術・設備」を有機的に結び付け、オープンにそしてフレキシブルに活用できる共創空間を構築することで、さらなる産学連携と教育研究活動の活性化を目指しています。

GYMLABO構想のきっかけは、新たな体育館ができたことによりその役目を終えていた旧体育館のリノベーションプロジェクトでした。「創立110周年の節目に記念となるシンボルを創りたい」という想いと、2019年当時盛んに行われはじめていた産学連携プロジェクトの活動の場を設けたいという希望が重なり、『産学官の交わりの形成拠点』というコンセプトが誕生しました。構想当初は、密閉されたプロジェクトルームがいくつも収まった空間を想定していましたが、それでは偶発的な"交わり"は期待できません。研究室同士でもなかなかつながる場所や機会がなく、閉鎖的になりがちであった状況を打開するため、研究者・企業・学生・自治体が自由に交流できるコワーキングスペースを構築するプロジェクトに発展しました。建物の設計やロゴデザイン、什器の制作などは学内研究室の知識と技術をフル活用。授業のプログラムに組み込むことで、学生とも一緒に創り上げていきました。学生からの期待値も高く、オープン初日から100名を超える利用者が訪れ、現在でも1日200名近くの学生が朝から授業の課題に取り組んだり、サークルの議論を行ったりと、自由に憩える場となっています。企業からの入居希望も多く届いており、今後はさらに産学官交流のイベントや施策が実施されていくなど、イノベーションへの道は加速していきます。

Photographs

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改修前の旧体育館
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1階は約60人(最大200人程度)が利用できるコワーキングスペース。イベント利用なども想定して、家具はすべて可動式のものを採用している。2階へとつながるステップスでは、クッションにPCを乗せて作業したり、段差に腰掛けて談笑したりと、リラックスして過ごす学生の様子が見られた。

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1959年の創立50周年を記念して寄贈された、最高峰のピアノ「ベーゼンドルファー」。昼休み時間は希望者が自由に演奏できるようになっており、人が集まる仕掛けとなっている。このピアノも洪水で水没したことをきっかけに使用されなくなっていたが、今回大規模修理が行われ、60年の時を経て見事に復活した。
おかえり、ピアノ~ピアノ再生プロジェクト「復刻ノオト」~ - Bing video

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オープンスペースの中にも、集中空間を完備。1階に設置されたフルクローズ型ワークブースを利用すれば、個人の学習やオンライン会議などの作業にも十分集中できる。

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2階にはシェアオフィスを3部屋用意。一定期間企業が入居することで、研究者や学生との交流からイノベーションを生み出す狙い。オープンスペースには個人作業に最適な集中ブースや、グループで利用できるコミュニケーションエリアもあり、落ち着いてワークができる空間となっている。
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GYMLABOの南側に広がる造園は、「ランドスケープデザインプログラム」として学生から参加者を募り、卒業生が営む造園会社のサポートを得て、設計から施工まですべて授業の一環で行った。鉱山工学科があった時代に教授たちが収集していた岩石や、西日本鉄道の古い線路の枕木を利用するなど、地元を感じられる工夫がされている。

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GYMLABOのロゴマーク。文字の形は、デザインを美しく見せるという比率の『黄金比(近似値1:1.618)』で構成され、マークは戸畑の原風景である松笠から種が風に乗って飛んでいく様子が描かれている。リノベーションの途中で、旧体育館が黄金比に基づいて設計されていることに気づき、室名サインなどもすべて黄金比に基づいてデザインされた。館内マップは大学の技術部、教員、建設系のコンクリート研究室のコラボレーションで作成された。館内マップと室名・案内サインのグラフィックデザインは建築デザイン研究室の学生が作成した。
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Data

大学名
国立大学法人九州工業大学
所在地
戸畑キャンパス 北九州市戸畑区仙水町1番1号
納入時期
2022年3月
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