オフィスづくりのコラム
COLUMN
緊急事態に備えるBCPとは? 防災を意識したオフィスレイアウトと備蓄品を解説!
南海トラフ地震はじめ、大地震がいつ起こるか分からない中、オフィスの防災についても検討する必要があるのではないでしょうか。
このように企業や団体が災害やテロ攻撃などの緊急事態に備えて行うべき活動や手段などを取り決めておく計画のことを「BCP(事業継続計画)」と呼びます。
今回は「防災を意識したオフィスレイアウト」 と 「防災備蓄品」 の2つの視点からオフィス防災を捉え、事前に備えるための施策をご紹介します。
目次
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災害への備えがあると、被災後の復旧がスピーディーに
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災害から従業員を守るオフィスの作り方
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防災備蓄品の種類・量・保管場所
- まとめ
1. 災害への備えがあると、被災後の復旧がスピーディーに
災害の備えをしておくと、被災時の被害を最小限に抑えられるだけでなく、被災後の復旧もスピーディーに行えます。災害の備えの有無によって復旧・回復のスピードが変わる事柄は主に以下の2点です。
(1)オフィスの復旧
オフィス防災の対策が不十分だった場合は、家具の転倒によって収納物が落下・散乱し、その場にいる社員がケガをすることがあります。また、安全面で問題がなかったとしても、散乱した収納物を片付けるのに時間がかかります。オフィス防災の備えをしておくと、社員の安全を守りやすくなるのはもちろん、オフィス自体の復旧もスピーディーに行えます。
(2)売上回復
「2019年版 中小企業白書」では、被災経験がある事業者に対して、被災により下がった売上が元の水準に戻るまでの期間を調査しました。その結果、被災以前に自然災害への備えを行っていた企業では、そうでない企業に比べて「半年以内」といった比較的短い期間で元の水準に戻った割合が高く、「元の水準に戻っていない」企業の割合も低くなっています。
このことからも、自然災害に備えておくことの大切さがうかがえます。
■災害発生数に見る、オフィス防災の必要性
業務が立て込んでいると、災害への備えは後回しになってしまうことも。しかし、災害が起きる頻度や確率を見ると、オフィス防災の必要性がおわかりいただけるかもしれません。
以下は、阪神淡路大震災以降に発生した震度5以上の地震をまとめた図です。1995年からの30年間で13件もの地震が発生しており、さらに過去10年間では7件の地震が発生しています。いつどこで大地震が発生してもおかしくない状況だからこそ、早めの備えが大切です。
2. 災害から従業員を守るオフィスの作り方
地震をはじめとした災害自体は防げませんが、災害による被害を最小限に抑えられるように備えることはできます。ここでは災害から身を守るオフィスの作り方をご紹介します。オフィスレイアウトや配置されている什器を見直し、万が一に備えましょう。
・背の高い収納の配置
背の高い収納は地震で転倒した際に、避難経路を遮る可能性があるため、出入り口付近やデスク周り、窓面に置かないようにしましょう。また、壁面や背つなぎで連結させることによって倒れにくくなり、安全性の高い配置が実現できます。
・ローパーティションの配置
ローパーティションを長く直線的に連結すると倒れやすくなります。連結させる場合は、最大幅を3600㎜までの範囲内で3スパンまでとしてください。
・家具の固定
家具が転倒しないよう、天井や壁、床といったそれぞれの材質や構造に合った方法で固定することも大切です。家具の上部を壁面に固定する場合はL型金具で固定、家具の下部を床に固定する場合はアンカーボルトでスラブ固定する方法などがあります。
・安全な通路幅の確保
一般的なオフィスの避難通路幅は法令で定められていません。しかし、建築基準法施行令を鑑みて、1.2m以上にしておくと、もしものときもスムーズに避難しやすくなります。
オフィスの防災対策は、収納やパーティションの適切な配置、家具の確実な固定、十分な避難通路の確保など、複数の要素を組み合わせて行うことが重要です。これらの対策を講じることで、災害発生時の被害を最小限に抑え、従業員の安全確保と迅速な避難が可能となります。
3. 防災備蓄品の種類・保管場所
BCPには、食料や飲料水、バッテリーなどの防災備蓄品の準備・管理も含まれます。しかし、被災時になにをどれだけどのように用意しておけばいいのかわからない方もいるのではないでしょうか。以下では、防災備蓄品の保管場所や、その種類・量について解説していきます。
■防災備蓄品の保管場所
防災備蓄品の保管場所を誤ると、いざというときに取り出せなかったり、管理が行き届かないこともあります。
なお、いずれの方法も、何がどこにあるかがわからなければ、必要なときに活用することができません。災害発生時にあわてて探さずに済むよう、ラベルを貼るなどして内容物を一目でわかるようにしておくことが大切です。
■キャビネット・倉庫
飲料水や毛布などの緊急性の高い防災備蓄品は、キャビネット・倉庫に入れておきましょう。キャビネットや倉庫はもともと収納に特化しているため、防災備蓄品を効率よく収納できます。また、特定のフロアのみで管理していると、他のフロアに防災備蓄品が行き渡らなくなる可能性もあるため、フロアごとに管理するのがおすすめです。
■ソファ下
かさばるものは収納型家具の中にしまっておくのも方法の一つです。オフィス家具の中には、ソファの座面下に収納があるタイプのものもあります。こうした収納家具は収納物を目立たなくするメリットがありますが、何がどこに入っているかわからなくなったり、食料の賞味期限が切れたりする懸念も。
収納したものは定期的にチェックするほか、外箱に内容物や賞味期限を書いておくなど、何が入っているかが一目見てわかるようにしておきましょう。
■デスク、イス
防災用ヘルメットなど、災害時にすぐに取り出す必要があるものはデスクの引き出しや横、イスの下などのデスク周りで保管しましょう。
防災備蓄品の保管場所の確保と同じくらい重要なのが、防災備蓄品の種類です。災害時にはどんなものが必要になるのでしょうか。実際に被災した方が「被災時に困ったこと」を参考に、必要な備品について考えてみましょう。
■防災備蓄品の種類
食料や飲料水のほかに必要な備蓄品としては、電気やガスを供給する器具や、テレビやラジオなどの情報にアクセスするためのデバイスが挙げられます。
大規模災害の被災経験がある219名を対象に、「被災時に困ったこと」について聞いた旭化成ホームプロダクツの調査では、1位「電気、ガスが使えない(照明や家電、スマートフォンが利用できない)」(56.2%)、2位「情報が届かない(テレビ、ラジオなどによる)」(29.2%)、3位「食料品が足りない」(24.2%)という結果になりました。
この調査結果から、ポータブルバッテリーなどの電源やストーブなどの熱源、情報を確保するためのテレビやラジオなどもあわせて用意しておく必要があることがわかります。テレビやラジオなどの情報源はスマートフォンで代用できる可能性がありますが、いずれにしても停電時に活躍する電源は確保しておくと良さそうです。
4. まとめ
自然防災をはじめとした緊急事態に平時から備えるBCP。1日のうちの多くの時間を過ごすオフィスにおいても、災害に備えることが大切です。
災害時に重要な備えの一つが、ポータブルバッテリー。停電時に連絡手段や情報収集に使えるスマートフォンの充電や、扇風機、電気毛布、照明といった器具を使用したいときに役立ちます。
ただし、BCP対策のためだけにバッテリーを用意するのは予算の関係上、難しいこともあるでしょう。オカムラでは、場所にとらわれない柔軟な働き方をサポートするOCバッテリーを提供しています。BCP対策はもちろん、日常使いもできるOCバッテリーを導入し、平時から防災の備えをしてみてはいかがでしょうか。
イラスト:Masaki