オフィスづくりのコラム

COLUMN

集中力を高めるオフィスレイアウトとは?
"斜め前"からの視線ストレスに注目!

2024.12. 2
  • レイアウト
  • 生産性
  • 集中

オフィスで仕事をしているとき、集中の妨げになる原因の一つが「視線」です。とくに気が散りやすいのは斜め前からの視線で、こうした視線ストレスに晒され続けると、生産性の低下につながることもあります。

一方で、集中しやすい環境は人それぞれで、視線を完全に遮ることが生産性向上につながるとは限りません。多様な人が働くオフィスで、個々人に合った環境を提供するにはどうすればよいのでしょうか。

この記事では、オフィスで仕事をするうえでの視線の影響や、集中しやすい環境を作るための工夫などについて解説します。

目次

  1. オフィスづくりでは「斜め前」の視線も意識しよう

  2. 視線ストレスを感じにくくするための工夫

  3. 多様な集中環境の必要性

  4. まとめ 

1. オフィスのレイアウトでは「斜め前」の視線も意識しよう

オフィスにおいて、社員の集中力を妨げる視線ストレス。とくに注意すべきは、正面からの視線ではなく斜め前からの視線であることや、視線だけではなく他人の「存在」も影響を与えることは広く知られてはいません。

オカムラは東京大学とともに、オフィスにおける他席からの視線や他人の存在に関する共同実験を実施。柱のない大規模空間に対向型レイアウトの座席を並べ、各席に座る人が視線や他人の存在から受ける影響について調査しました。

各席に座る人にノートPC作業をしてもらった結果、「他人の視線」よりも「他人の存在」のほうが気になると答えた人が多いことがわかりました。つまり、視線が向いていなくても、同じ部屋にいるだけで集中力を欠いてしまうのです。また、また、自席の真正面よりも斜め前方にいる人の存在のほうが、より遠くまで気になるという結果が出ています。

ノートPC作業では視線が前方に集中するため、真正面の席に座る人のことは気になっても、その後ろに隠れる人はそれほど気になりません。一方、斜め前方の席に座る人は他の人と重ならず、視野に入る領域が広くなるため、より遠くまで気になってしまうと考えられます。

こうした視線や存在を意識して集中力が散漫になり、慢性的なストレスが蓄積されることによって生産性の低下につながる可能性があります。

2. 視線ストレスを感じにくくするための工夫

では、他者の視線や存在によるストレスを感じにくいオフィスをつくるには、どのようにすればよいのでしょうか。視線ストレスを感じにくくするための工夫としては、以下のような例が挙げられます。

■デスクトップパネルやパーティションの設置

空間を分ける「仕切り」には、対面する席との間に設置するデスクトップパネルや、床に設置して壁のように空間を仕切るパーティションなどがあります。

こうした仕切りを設置すると、他の席に座る人の視線や存在を感じにくくなり、集中できる環境づくりにつながります。高さや素材によって仕切りの向こう側の見えやすさや聞こえやすさが異なるため、用途によって使い分けるのがおすすめです。

■グリーンの設置

他の席のワーカーからの視線を遮るために、グリーンを設置する方法もあります。グリーンにはパーティションのように他人の存在を意識させにくくすることはもちろん、癒し効果も期待できます。

こうした癒し効果は「緑視率」を上げることによるもの。緑視率とは空間に占める緑の割合を示すもので、緑には樹木や草花、芝生、壁面緑化などが含まれます。国土交通省が2004年に行った「都市の緑量と心理的効果の相関関係の社会実験調査について」という調査では、この緑視率が高まるほど安らぎを感じる人が多くなるとされているのです。

緑視率について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

■レイアウトやデスク配置の見直し

デスクを向かい合わせに配置する対向型レイアウトは、スペース効率が良い一方で、ワーカーの視線や存在の影響を受けやすい配置です。こうしたレイアウトやデスク配置を見直すことで、集中しやすい環境を整備できる可能性があります。

オカムラが提供する大型テーブル「ワークキャリアー」は、レイアウトの見直しをしやすいアイテムの一つです。高さ違いのテーブルやユニットを重ねると視線が合いにくくなり、より集中できる環境を作れます。

3. 多様な集中環境の必要性

視線ストレスは集中力の妨げになるとお伝えしてきましたが、視線も音も遮断された場所が好きな人もいれば、ほどほどに仕切られていれば多少の音はあったほうがいいという人もいるなど、集中しやすい環境は人それぞれ異なります。視線対策だけでなく、さまざまな集中環境を用意することが大切です。

オフィスの集中環境のバリエーション例としては、以下のようなものがあります。

■窓際のオープン席

人の気配が多少感じられるほうが集中できる人は、仕切りのないオープン席が向いています。窓に面する配置にすれば前方からの視線に晒されることなく、仕切りを設けずとも集中しやすい環境を整備することが可能です。

■パネル一体型の集中ブース

パネル一体型の集中ブースは、視界を遮断するだけでなく、周囲の音もある程度軽減できます。ブースの囲い具合やパネルの高さによってさまざまな集中環境を作れます。

■フルクローズ型ブース

壁に囲われた完全な個室であるフルクローズ型ブースでは、視線と音をほとんど遮れるため、作業するワーカーは外からの視線を感じにくくなります。1人用のほか、1on1や面談を行う2人用、ミーティングや来客対応などにも使える多人数用などのバリエーションも豊富です。

まとめ

ワーカーの生産性向上に大きく関係する、他のワーカーの「視線」と「存在」。人それぞれ異なる集中環境に対応するためには、レイアウトの見直しやパーティションの設置が効果的です。こうした取り組みにより、多様な集中環境を整備することが大切です。

オカムラが発行するホワイトペーパー「ゼロからはじめるオフィスづくりの入門書」では、執務エリアのデスクレイアウトや導入するデスクの種類ごとの機能について紹介しています。他にもオフィスのありかたをはじめ、オフィスづくりに関する基礎知識から解説しているため、担当者の方はぜひご覧ください。

イラスト:Masaki