オフィスづくりのコラム

COLUMN

オフィスで注目される「緑視率」とは?
オフィスグリーン設置のメリットと導入事例

2024.10. 7
  • ウェルビーイング

昨今、従業員の働きやすさの向上を目的としたオフィスづくりの一環で、グリーン(植栽)を積極的に取り入れる企業が増えています。グリーンにはリラックス効果や業務効率アップなどのメリットがありますが、これらの恩恵を受けるためには、人の視界に占める緑の適切な割合や配置といったポイントを押さえることが大切です。

この記事では、オフィスにグリーンを導入することによる効果やメリット、実際にオフィスにグリーンを取り入れた事例についてご紹介していきます。

目次

  1. オフィスにグリーンを導入すると? 得られる効果とその理由

  2. グリーンの導入前に知っておきたい基礎知識

  3. 緑視率を高めたオフィスの納入事例

  4. まとめ

1. オフィスにグリーンを導入すると? 得られる効果とその理由

オフィスにグリーンを導入すると、リラックス効果をはじめとしたさまざまな恩恵を受けられます。その根拠となるのが人の視界に占める緑の割合を指す「緑視率」の研究です。以下では、緑視率に関する研究結果と、オフィスにグリーンを導入することによるメリットについて解説します。

■緑視率とは?

「緑視率」とは、人の視界に占める緑の割合のことで、国土交通省が2004年に行った「都市の緑量と心理的効果の相関関係の社会実験調査について」という調査では緑視率が高まるほど安らぎを感じる人が多くなるとされています。

もともとは公共施設や中心市街地などといった街づくりに活用されてきた指標ですが、近年は業務効率の観点でプラスに働くことから、オフィス環境整備の一環としても注目されています。

なお、集中力を高めるのに理想的な緑視率の割合は、1015%です。緑視率の割合(%)は、「(緑の部分の面積)÷(視界の面積)」という式で求めることができ、緑の面積には、樹木や草花、芝生、壁面緑化なども含まれます。

■オフィスにグリーンを導入して体感できた効果とは?

では、実際にグリーンを導入したオフィスで働く従業員は、どのような効果を体感しているのでしょうか。オカムラは、小型の観葉植物を複数配置したオフィスで働く従業員を対象にアンケート調査を実施。調査結果からは、植物を取り入れることによって、以下のような効果が得られることがわかりました。

(1)コミュニケーションの向上

オフィスにグリーンを設置することは「ワーカーのコミュニケーションの活性につながると思うか」という質問に対し、6割以上の従業員が「そう思う」と回答しています。グリーンの成長の様子をきっかけに、従業員同士の何気ない会話が生まれることもコミュニケーションの向上に一役買っているようです。

(2)ストレスの軽減

オフィスにグリーンを取り入れることは「仕事のストレス(イライラ感)の緩和に効果があると思うか」と尋ねたところ、6割以上の従業員が「そう思う」と回答しました。グリーンを眺めることによってリフレッシュ効果を感じている人が一定以上いることがうかがえます。

(3)執務空間の快適性向上

オフィスへのグリーンの導入により「執務空間の快適性が向上すると思うか」という質問に「そう思う」と回答した人は7割以上にも上りました。先に説明したコミュニケーションの向上やリラックス効果が執務空間の快適性向上を後押ししていると考えられます。

2. グリーンの導入前に知っておきたい基礎知識

オフィスへのグリーン導入を検討し始めた段階で把握しておきたいのが、導入する植物の種類やメンテナンス方法。生木はもちろん、水やりが不要なフェイクグリーンの導入も視野に入れることで、コストや手間を軽減でき、選択肢が広がります。

以下では、グリーンの導入前に知っておきたい基礎知識について解説します。

グリーンの種類

グリーンと一言で言っても、バリエーションはさまざま。生木をオフィスに設置する場合はあまり手間がかからず、丈夫な品種がおすすめです。以下では、オフィスに設置するのにぴったりなグリーンをいくつかご紹介します。

・サボテン

サボテンは乾燥に強く、冷暖房が効いているオフィスでも育てやすいのが特徴。水やりも1カ月に2回程度で済むなど、メンテナンスも簡単です。中には花を咲かせやすい品種もあるため、オフィスの雰囲気に合わせて選んでみましょう。

・パキラ

パキラの特徴は光沢のある美しい葉色で、中には幹が編み込まれているおしゃれなデザインのものもあります。耐陰性も備えているため、屋内でも育てやすいのが特徴。幹が元気であれば、どこを切っても新芽が出てくる生命力旺盛な品種です。執務室や打ち合わせスペースに置くと、殺風景な空間も華やかに彩ってくれるでしょう。

・ポトス

ポトスは、淡黄色の斑模様が特徴的なグリーンです。色味や模様、大きさのバリエーションが豊富で、オフィスに合ったものを選べます。暑さと日陰に強く、オフィスに設置するのにぴったりな品種と言えるでしょう。

■フェイクグリーンのメリット・デメリット

グリーンを導入する際に考慮したいのが、コストやメンテナンスの手間。本物の植物である生木を導入するコストや毎日の水やりの負担、虫がつくリスクなどを考えて、導入を躊躇している方も少なくないのではないでしょうか。

そんなときに検討してほしいのが、フェイクグリーンです。フェイクグリーンは水やりが必要なく、生木よりもコストを抑えられるメリットがあります。緑を見ることによって得られるリラックス効果も、生木とさほど変わりません。ただし、空気中の有害物質を吸着・分解する効果は期待できません。また、本物の植物ではない分、見劣りしてしまうこともあります。

維持管理コストと効果の両面を考慮して、ご自身のオフィスに合うグリーンを取り入れてみてください。

■メンテナンス方法

生木を導入する場合は、水やりや害虫予防などのメンテナンスが不可欠。自分たちで維持・管理を行う方法のほか、グリーンのお世話を委託できるサービスを利用する方法もあります。それぞれに一長一短があるので、各オフィスの目的に応じてメンテナンス方法を検討しましょう。

・レンタルグリーンを利用する

グリーンのメンテナンスを請け負ってくれるレンタルグリーンサービスを利用すると、メンテナンスの手間が軽減できます。サービスの内容はレンタル会社ごとに異なりますが、グリーン育成のプロが世話をしてくれるサービスや、グリーンが万が一枯れたり元気がなくなったりしたときに、新しいものと交換してくれるサービスを提供している会社もあります。導入を検討する場合は、各社の料金やサービス内容を比較しておきましょう。

・自分たちでメンテナンスをする

自分たちでグリーンのメンテナンスをする場合は、従業員間でメンテナンスルールをつくり、誰でも適切にお世話できるような環境を整えておくことが大切です。メンテナンスを委託するよりも手間はかかりますが、従業員同士の接点を生み、コミュニケーションの活性化につながる可能性があります。

3. 緑視率を高めたオフィスの事例

オフィスにグリーンを導入するメリットを知っても、どのように導入すれば良いのかといった具体的なイメージがつきにくい方も多いはず。以下では、緑視率を高めたオフィスの事例とその効果をご紹介します。皆さまのオフィスづくりにお役立てください。

■安川メカトレック末松九機株式会社 様

安川メカトレック末松九機株式会社様では、2階と4階の執務フロアに挟まれた3階に"仕事禁止"のリフレッシュスペースを導入。緑に囲まれた解放的なエリアでは森の中にいるような良い香りが感じられます。本格的なアウトドアチェアを設置したことで、自然の中でキャンプをしているような気分を味わえることも。お弁当を広げたり、飲みものを片手に談笑したりと気分転換をするのにぴったりのスペースです。

■森トラスト株式会社 様

不動産ディベロッパーとして、大型複合開発やホテル事業を推進してきた森トラスト株式会社様。新オフィスにもリゾートホテルのようなリラックスできる内装を取り入れることで、企業文化の表出と「社員の目的地となるオフィス」づくりを目指しました。

グリーンの導入も、リラックスできる空間をつくるための工夫の一つです。エントランスの至るところに配置されたダイナミックなグリーンは、素材にこだわった什器とともにラグジュアリーな空間を演出。応接エリアのタッチダウンスペースには存在感のあるシンボルツリーが設置され、カジュアルなコミュニケーションを促しています。また、執務スペースの中央にはアンティーク家具やグリーンがふんだんに並べられており、一息つきたいときや気分転換に最適です。

■オカムラ「CO-EN LABO(こうえんらぼ)」

オカムラが渋谷に構えるラボオフィス「CO-EN LABO」では、デスクの脇や間仕切りとして利用している棚など、至るところにグリーンを設置しています。また、同オフィスは、究極のウェルビーイングを意識したオフィスを目指し、人の健康と快適性にフォーカスした空間評価システム「WELL認証v2」を取得。執務スペースへのグリーンの設置は、このWELL認証の評価項目「MIND(こころ)」の一つで、心身の健康を向上させる重要な要素とされています。

■Point 0 marunouchi

2019年に東京・丸の内仲通りに面したビルにオープンしたコワーキングスペース「Point 0 marunouchi(ポイント ゼロ マルノウチ)」。デスクや窓には多種多様な生木が設置され、オフィス街の真ん中で自然の心地良さを感じることができます。

グリーンのメンテナンスには、新開発したIoTを取り入れたオートメーション管理サービス「Indoor Park モニタリングシステム(IMoS アイモス)」を採用。カメラやセンサーから取得したデータで自動潅水(給水)の管理・分析し、広範囲にわたるグリーンの管理もすみずみまで行き届くよう工夫されています。

4. まとめ

オフィスに設置することで、リラックス効果や業務効率アップが期待できるグリーン。既存の空間レイアウトを大幅に変更することなく、気軽に取り入れられるのも魅力の一つです。

本記事でご紹介したケースのほかにも、緑視率を高めたオフィスの事例はまだまだたくさんあります。オフィスにグリーンを取り入れたいと考えているオフィスづくりの担当者の方は、オカムラが発行しているホワイトペーパー「"本当に"オシャレなオフィスの秘訣」をご覧ください。

イラスト:Masaki