オフィスづくりのコラム

COLUMN

マネージャーの座席配置で職場環境が変わる!? 近年のオフィスレイアウトの変化とトレンド

2024.9. 2
  • コミュニケーション

リモートワークの普及をはじめとした働き方の多様化に伴い、オフィスレイアウトのバリエーションが増えてきています。多くの日本企業で採用されてきた窓際から役職者を順に配置するスタイルや、席が決まっている固定席の人気が根強い一方で、職位に関係ないレイアウトや、固定の席を持たない「フリーアドレス」運用のオフィスも増えてきました。

さらに、仕事の内容に合わせて働く場所を選択する「ABW(Activity Based Working)」の働き方が注目されたり、上司と部下間のコミュニケーションの活性化を重視したレイアウトを取り入れる企業が増えたりと、座席配置の自由度が高くなりつつあります。では、オフィスのレイアウトが多様化する中で、マネージャー席のありかたをどのように考えていけばよいのでしょうか。

この記事では、オフィスにおけるマネージャーの座席配置の重要性と変化、具体的な事例について解説します。

目次

  1. マネージャーの座席配置の重要性

  2. 席配置の変遷に見る、働き方のトレンド

  3. 事例から見る各レイアウトの特徴

  4. まとめ 

1. マネージャーの座席配置の重要性

マネージャーの座席配置は、オフィスの生産性と職場環境に大きな影響を与えます。適切な配置をすれば、コミュニケーションの円滑化やチームのモチベーション向上につながりますが、不適切な配置は逆効果になることも。

とくにマネージャーの座席配置の影響を受けやすい事柄は、以下の3つです。

■コミュニケーション

マネージャーとの距離が近いと、社員がマネージャーに対して質問や相談を気軽にしやすくなり、業務の流れがスムーズになったり、アイデアの共有が促進されたりします。一方で、配置があまりに近すぎると監視されているように感じ、集中力やパフォーマンスの低下につながる可能性があります。

■透明性

社員からマネージャーが見える位置に座ることで、社員との信頼関係が強化され、円滑な情報共有が期待できます。マネージャーとしても、部下の顔が見えるほうが仕事の進捗や悩みごとも把握しやすいでしょう。一方で、個人的な会話などのプライバシーへの配慮が難しくなることがあります。

■モチベーション

マネージャーの働く姿勢や情熱を社員が目の当たりにすることで、チームに一体感が生まれ、エンゲージメントも高まるでしょう。しかし、マネージャーの存在が常に身近にあることで、メンバーが過度なプレッシャーを感じ、ストレスが増すことがあります。

このようにマネージャーの座席配置には、それぞれのメリットデメリットがあります。メリットを最大化できるよう、各部署の雰囲気や仕事内容に応じた適切な距離感を意識することが大切です。

2. 席配置の変遷に見る、働き方のトレンド

マネージャー席の座席配置は、職場環境に影響を与えるとお伝えしました。つまり、座席配置の変遷を辿れば、職場環境や働き方に対する考え方の変化を読み取れるとも言えます。

オカムラが2014年から2023年までに行ったオフィスレイアウトの調査データによると、役職席の配置において最も多かったスタイルは、「部長独立席」タイプで、多くの年代で半数以上を占めています。これは、部長職クラスに相当するマネージャーだけに独立した席を用意しているスタイルです。

続いて多かったのが、「マネージャー席なし」タイプです。2023年の統計では全体の約3割を占めています。

以前は「部長独立席+端に課長席」のように職位の違いが席の配置によって明確に区別されているスタイルが主流でしたが、2018年を境に減少傾向にあり、代わって「マネージャー席なしタイプ」のように職位の違いを座席に反映させないスタイルが増えてきました。この背景には、職位の垣根を取り払い、上司と部下間のコミュニケーションを活性化させたいという現場のニーズがあらわれているのかもしれません。

いずれにせよ、昨今のトレンドである「フリーアドレス」や「ABW」といった座席選択の自由度が高いスタイルが普及することにより、こうした潮流はますます加速していくと考えられます。

3. 事例から見る各レイアウトの特徴

マネージャーの座席配置の重要性やトレンドを知っても、自社に合うレイアウトはどのタイプなのか、どのような設えを導入すればよいのかといった具体的なイメージがわからない方もいらっしゃるかもしれません。

以下では、オカムラが手がけたオフィスリニューアルプロジェクトの事例を、各レイアウトが持つ機能と併せてご紹介します。ぜひ、導入する設えのイメージを膨らませるのにお役立てください。

(1)島の端がマネージャー席の事例 ― 株式会社プライムアシスタンス 新潟コンタクトセンター 様

大手損害保険会社である株式会社プライムアシスタンス様。新潟にあるコールセンターでは、デスクが島型にバランスよく並べられています。シフトごとに島が割り振られており、自分のシフトに該当する島であれば、好きな席に座れるグループアドレスを導入。日によって席を変えられるため、その日隣り合ったオペレーター同士の接点が生まれ、交流の輪が広がっています。

オペレーターをフォローするマネージャーの席は端に設置され、全体を見渡せるレイアウトに。昇降デスクを採用し立って作業することにより、各オペレーターの仕事状況を把握しやすくなるほか、話しかけやすい雰囲気づくりに成功しています。

(2)マネージャー席が固まっている事例 ― 株式会社朝日新聞社 様

株式会社朝日新聞社様の名古屋本社では、オフィスのリニューアルに伴い、フロアごとに分かれていた各部のマネージャー室を1つの部屋に集約。これにより、マネージャー同士でも日常的に会話が生まれ、コミュニケーションの活性化が期待できます。

一般的に壁を隔てて個室をつくると社員が話しかけにくくなるデメリットがありますが、壁を全面ガラス張りにすることでオープンな環境と機密情報の保持の両立を実現させています。

(3)マネージャー席をもたない事例 ― 株式会社エスユーエス 様

技術系アウトソーシング事業を軸に、ITの受託開発やAIVRなどの開発に取り組んでいる、株式会社エスユーエス様。執務エリアには、チームメンバーとコミュニケーションをとりながらプロジェクトの打ち合わせや作業を行うソファ席と、集中して作業に取り組めるテーブル席があります。

マネージャー席を設けず、そのときどきの仕事内容に合わせて働く場所を変えられるオープンな空間にしておくことで、社員同士のコミュニケーションの活性化や生産性の向上が期待できます。

まとめ

マネージャーの座席配置は職場環境に大きな影響をもたらします。オフィスのリニューアルをするときは、自社のカルチャーや各部署の仕事内容に合うレイアウトを検討することが大切です。

しかし、オフィスのリニューアルプロジェクトを一から着手するのは大変なもの。オカムラでは、何から手を付ければいいかわからないという担当者さまに向けて「ゼロからはじめるオフィスづくりの入門書」をご用意しています。同資料には押さえておきたいオフィスづくりの基礎知識が満載。これからの時代にオフィスが果たす役割や、執務エリアのレイアウトパターンなど、各エリアの空間づくりのヒントを実例とともにご紹介します。ダウンロードは無料ですので、ぜひお気軽にご利用ください。

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イラスト:Masaki