オフィスづくりのコラム

COLUMN

五感を刺激するオフィスに学ぶ、快適に働ける環境づくりのヒント

2024.7. 1
  • コミュニケーション

従業員が行きたくなるようなオフィスづくりのアイデアにはいろいろなものがありますが、五感を刺激することもその一つ。オフィスに視覚や聴覚などを適度に刺激する仕掛けを施すと、心地良い環境になり、人が集まりやすくなります。この記事では、五感を刺激するオフィスデザインのメリットや、五感への刺激を意識したオフィスづくりの実例をご紹介します。

目次

  1. 五感を刺激するオフィスデザインのメリット

  2. オフィスにおける五感の刺激とは?

  3. 五感を刺激するオフィスの実例

  4. まとめ 

1. 五感を刺激するオフィスデザインのメリット

五感を適度に刺激するとリラックス効果によって集中力が高まり、生産性やクリエイティビティの向上が期待できます。また、心地良い空間には人が集まりやすくなることから、人と人との接点が増え、コミュニケーションの促進につながる可能性があります。ここでは、五感を刺激するオフィスデザインのメリットについて詳しく解説します。

■従業員の生産性向上

五感が適度に刺激される環境では緊張が和らぎ、集中力が高まる傾向があります。

■クリエイティビティの向上

五感を刺激することはクリエイティビティの向上につながります。たとえば、オフィスに色を意識的に取り入れることで、それぞれの色が持つポジティブなイメージに作用され、新たな発想が生まれる可能性があります。

■ストレスの軽減

川のせせらぎなどの環境音やアンビエントミュージックといった適度な感覚刺激があると、ストレスが軽減されやすくなります。

■コラボレーション・コミュニケーションの促進

オフィスにアート作品を飾って眺められるスペースや、食事をしながら休憩できるスペースなどの五感を刺激する空間をつくると人が集まりやすくなり、接点が生まれて会話が弾みやすくなります。

2. オフィスにおける五感の刺激とは

では、オフィスにおける五感の刺激にはどのようなものがあるのでしょうか。以下では、五感を刺激するオフィスづくりのアイデアを、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」それぞれの要素に合わせてご紹介します。

■視覚 照明/色彩効果/植栽・グリーン/壁にアートを描く

オフィスで働く従業員の視覚に心地良い刺激を与えるものには、照明や色彩デザイン、植栽・グリーン、アートなどがあります。照明の明るさや色温度によっても空間の雰囲気が変わるため、照明を取り入れる際は、どんな空間にしたいかを意識しながら選ぶことが大切です。

■聴覚 穏やかなBGM/自然を感じられる音

聴覚をほどよく刺激するには、歌詞のない穏やかなBGMや、川のせせらぎや鳥の鳴き声などの自然を感じられるような音が適しています。導入にあたっては、多くの人にとって心地良い音選びや音量設定をすることが大切です。

■嗅覚 アロマテラピー

オフィスにおいて嗅覚を刺激する代表的なアイデアが、アロマテラピーです。一般的に、香りを拡散させる際には、アロマディフューザーを使用します。集中力を高める香りやリフレッシュ効果のある香りなどを使用することで、業務効率がアップし、働きやすい環境づくりに役立ちます。

■味覚 カフェ/キッチン/設置型社食

味覚を刺激するアイデアとして、コーヒーを飲んで休憩できるカフェや、ちょっとした調理ができるキッチンの導入が挙げられます。大規模な設備を導入するのが難しければ、コーヒーのドリップパックやティーパックを置く、設置型の社食を採用するのも方法の一つです。

■触覚 デスク・椅子・床の素材/壁に本物の木を使用する/動物に触れる(オフィスペット)

触覚を刺激するには、デスクや椅子といった身近なオフィス家具の素材を意識してみましょう。本物の木をそのまま活かした家具・建具は、手から素材の温かみが感じられ、リラックス効果が期待できますし、オフィスの利用用途を考慮しながら床の素材を選べば、足裏の触角を刺激することができます。また、オフィスに動物がいれば、触れることで癒し効果がもたらされることもあるでしょう。

3. 五感を刺激するオフィスの実例

オフィスにおける五感の刺激がどんなものなのかを知っても、それらを実際に取り入れている様子を見ないとイメージが湧かない方もいらっしゃるかもしれません。以下では、数多くのオフィスづくりを手がけてきたオカムラによる、五感を刺激するオフィスの実例をご紹介します。

■視覚

(1)【色】あたたかみのある色を採用し、人と人との距離を縮める

  ‐株式会社イルグルム様 

株式会社イルグルム様はオフィスづくりにおいて、「仲間を近くに感じる」ことを大切にされてきました。そこで執務室には、コーポレートカラーのオレンジを基調とした明るい雰囲気のインテリアデザインを採用。空間全体から伝わるやわらかいイメージは、その場にいる人に安心感を与え、従業員同士の距離を縮めることに一役買っています。さらに、本棚の後ろにある壁に、オレンジに補色(色相環における反対色)に当たる青を差し込むことで、オレンジのあたたかみを引き立てる工夫も。

(2)【アート・植栽】アートや植栽をふんだんに取り入れ、体と心の健康に配慮

  ‐株式会社オカムラ「CO-EN LABO(こうえんらぼ)」 

オカムラが渋谷につくったラボオフィス「CO-EN LABO(こうえんらぼ)」では、心身ともに満たされる究極のウェルビーイングを追求するため、さまざまな工夫を行っています。その一つがオフィスにアートや植栽をふんだんに取り入れたこと。机の周りや本棚といった至るところに植栽を置くことで、目をはじめとした心身の疲れを癒します。

また、アートは心身の疲れを癒すだけでなく、社内外の人と人との会話を弾ませやすくする仕掛けにもなっています。

(3)【照明】空間の照度を低めに設定し、ゲームに没入できる環境に

  ‐アース製薬株式会社様

アース製薬株式会社様ではかねてより大切にしている従業員同士のコミュニケーションを強化するため、さまざまな部活動を盛んに行ってきました。その一つであるe-sports部のためのゲーミングルームでは、空間の照度を低めに設定することで集中力を高める工夫がされています。

なお、照明の色には同社のコーポレートカラーである赤と青を採用。椅子のカラーも合わせることで、より一体感のある空間を実現しています。

■聴覚&嗅覚

【自然を感じられる音・アロマテラピー】自社の技術を駆使した"デジタル森林浴"で癒しとインパクトを届ける

 ‐株式会社エスユーエス様

AI・VRなどの開発に取り組んでいる株式会社エスユーエス様は、同社の技術力が伝わるような、ブランディングにつながるオフィスづくりを希望されていました。そこで、お客さまが最初に訪れるエントランスに森林のプロジェクションマッピングを導入。美しい森林に入り込んだような没入感を味わえます。

また、森林の映像に合う自然の音とアロマの香りを取り入れた空間演出によって、訪れた人の五感を心地良く刺激し、癒しとインパクトを届けます。

■味覚

【カフェ・食堂】カジュアルな""の場がコミュニケーションを創出

 ‐株式会社日本総合研究所様

株式会社日本総合研究所様は、都内の拠点を一カ所に集約するタイミングで、社員同士の情報交換とコミュニケーションの場として、新たにカフェと社員食堂を設けることに。

カフェでは豆から淹れたコーヒーや焼き立てパンなどの軽食を買うことができ、オフィスにいることを忘れるようなカジュアルな空間になっています。また、社員食堂にはラフに腰かけられるカウンター席や、ゆったりくつろげるソファ席などの多様なテーブルとチェアがあり、食事をしながら雑談やカジュアルなミーティングがしやすい環境に。

■触覚

【体験型研究施設】「いぬねこ社員」との触れ合いで来訪者に癒しを届ける

 ‐アース・ペット株式会社様

アース・ペット株式会社様は、徳島オフィスの研究棟新設に伴い、ペットとの暮らしを体感できる体験型研究施設を創設されました。

ペットと触れ合える体験スペースを複数設けたオフィスの中でも一際インパクトがあるのが解放的な吹き抜け空間のエントランス。正面の大きなガラス窓の向こう側には「いぬねこ社員」と呼ばれる愛くるしいペットたちが遊んでおり、実際に触れて遊ぶこともできます。犬猫に手で直接触れることで従業員のリフレッシュになるのはもちろん、社外の来訪者に対してはペットの正しい生態や飼育実態の理解を深めてもらう機会になります。

4. まとめ

オフィスづくりに五感を刺激する仕掛けを施すと、従業員の集中力やリラックス効果が高まり、その居心地の良さから人が集まりやすくなります。人を惹きつけるオフィスをつくりたければ、五感という要素も意識してみるとよいでしょう。

ただし、これはオフィスづくりをするうえでの1つのテクニックに過ぎません。オシャレなオフィスの実例を知り、自社オフィスのリニューアルの参考にしたい方、オシャレなオフィスづくりのテクニックについてより詳しく知りたい方は、ホワイトペーパーをダウンロードしてご覧ください。

ゼロからはじめるオフィスづくりの入門書

イラスト:Masaki