オフィスづくりのコラム
COLUMNコミュニケーションを活性化させる会議室とは?
会議の目的別に最適な空間スタイルを知ろう
会議室は、議論や意思決定を行う場所としての役割を果たしてきました。しかし、テレワークをはじめとして働き方の多様化が進んできた近年は、従来の機能に加えて、何気ない会話からイノベーションを生み出す「コミュニケーションエリア」としての可能性が期待されています。会議室が「単なる場所」から、「コミュニケーションと創造性の中心地」へと進化してきているのです。
また、会議と一口に言っても、討議や情報共有、プレゼンテーションなど、その種類はさまざま。会議の種類に合った空間・設えを整えることで、パフォーマンスを向上できる可能性があります。
この記事では、コミュニケーションエリアの目的別の理想的な空間スタイルや、コミュニケーションエリアをつくるうえでのポイントについてご紹介していきます。
目次
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会議の目的を大解剖! 6つの種類に分類
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6つの目的にはどんな空間スタイルが合う?
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コミュニケーションエリアをつくるときは、3つのポイントも考慮しよう
- まとめ
1. 会議の目的を大解剖! 6つの種類に分類
自社の会議がどのような形式・目的であることが多いかを考えると、各会議に適切な空間・設えも自ずと明確になってきます。まずは自社で行われている会議やミーティングの形式や規模、頻度などについて考えてみましょう。
■会議の形式等について考えるポイント
区分け | 社内、社外、不特定多数 など |
形式 | 対面、オンライン、ハイブリッド など |
規模 | ペア、チーム単位、部門単位、全体 など |
頻度 | 毎日、週一、月一 など |
また、会議を行うコミュニケーションエリアの使われ方を考えることも大切です。会議の目的については、以下のようなものがあります。
(1)面談
上司と部下の1対1のコミュニケーションを取る機会やWEB面談など、少人数のコミュニケーションを通じて、親密な関係を築くことを目的とするもの。
(2)情報共有
重要なスケジュールの共有、会社方針の説明など、情報の伝達と共有を目的とするもの。
(3)討議・ブレスト
ディスカッションやブレストなど、アイデアを出し合って課題解決を目指すことを目的とするもの。
(4)プレゼンテーション
社内のメンバーや社外のパートナーに対して、企画や意図に関する説明を行うことを目的とするもの。
(5)グループワーク・ワークショップ
参加者を複数のグループに分け、議論や成果物の作成を行うことを目的とするもの。
(6)セミナー・講義
講師に対して大人数の人がセミナーや講義を聴講するもの。
2. 6つの目的にはどんな空間スタイルが合う?
会議の種類・目的によって、コミュニケーションエリアに必要な設備は異なります。たとえば、コミュニケーションエリアの仕切り一つとっても、個室・半個室・オープンなど、さまざまな選択肢があります。
以下では、会議の種類・目的別に、各会議に適した空間スタイルをご紹介します。
(1)面談
面談は少人数で行うのが一般的なため、それほど大きなスペースは必要ありません。ただし、仕事上の困りごとを聞くこともあるため、プライバシーを確保できるような個室が望ましいでしょう。最近では、大掛かりな設備工事を必要としないフルクローズ型ワークブースを設置する会社も増えてきています。
(2)情報共有
情報共有の場では、情報をスムーズにシェアするために、ホワイトボードやモニターなどのツールの導入を検討しましょう。また、インターネットを使って音声や映像を通信するICTツールがあると、オンラインで会議に参加している人にも情報が伝わりやすくなります。
(3)討議・ブレスト
アイデア・意見出しを活発に行うためのツールには、出したアイデアを視覚化する「ホワイトボード」や、資料を映し出すディスプレイ機能と手書きで書き込めるホワイトボード機能が搭載された「インタラクティブボード」があります。また、キャスター付き家具を導入し、空間に可動性を持たせると、マンネリ化を防いで創造性を高められます。
(4)プレゼンテーション
プレゼンテーションを行う場合は、資料を投影するモニターやスクリーンを設置しておくとよいでしょう。モニターを選ぶ際、マイクの性能や部屋の広さに対して適切なモニターサイズを選ぶことが重要です。社内だけでなく、社外の人に向けたプレゼンテーションも行う場合は、来客用にグレードの高い設えにすることも検討しましょう。
(5)グループワーク・ワークショップ
グループワークやワークショップを行うときは、プログラムに合わせた人数のグループをつくります。講義形式の会議と組み合わせることもあるため、可動式の椅子と机を導入するとレイアウトを切り替えやすくなります。
(6)セミナー・講義
セミナーや講義を行う場合、多くの来場者に対応できるよう、比較的大きめのスペースを確保する必要があります。そのうえで、プロジェクターやスクリーン・音響設備などを導入し、参加者がストレスなく聴講できる環境を整えることが大切です。また、スタッキング式の椅子や机、パーティションを用いると、人数の増減に柔軟に対応できます。
このように、会議の種類に合わせて設えを変えることで、目的を最大限達成できる「コミュニケーションエリア」としての機能を持たせられます。
3. コミュニケーションエリアをつくるときは、3つのポイントも考慮しよう
自社の会議の目的や、各会議に適した空間のスタイルがわかったら、コミュニケーションエリアをつくってみましょう。コミュニケーションエリアをつくるときには、以下の3つのポイントを押さえることが大切です。
(1)会議に合わせて適切な設えを用意すること
オフィスで行われる会議の頻度や目的によって、それに応じたコミュニケーションエリアの数や設えは変わってきます。
たとえば、日常的なチーム単位のミーティングが多い場合は、小規模な打合せスペースが多く必要になります。また、大勢の参加者が一堂に会するセミナーや講義の場合には、参加者全員を収容できるだけの広いスペースが必要になることは言うまでもありません。
会議の目的に合った適切な環境を整えれば、コミュニケーションエリアの活用頻度も上がります。そのため、会議に合わせて適切な設えを用意することが大切なのです。
(2)柔軟な使い方ができること
コミュニケーションエリアを複数の部署で共有する場合は、各部署の特性や会議の目的に応じてレイアウトを柔軟に変えられるようにしておきましょう。小規模なオフィスはスペースが限られているため、さまざまな使い方を想定した設備を整えておくことがとくに重要です。リモートワーカーとも円滑にコミュニケーションがとれるように、ICTツールを活用した環境の整備にも力を入れることをおすすめします。
(3)業界・企業の社風やワークスタイルに合わせること
業界や企業の性質によっても、コミュニケーションエリアの需要が異なります。たとえば、クリエイティブな業界ではブレーンストーミングできる場を設けると、アイデアを生み出しやすくなる可能性があります。機密性の高い情報を扱う業界では、プライバシーが確保されたエリアを用意しなければなりません。
また、オンラインでの会議が増加する場合は、音を遮るような完全個室タイプの会議室が重宝されます。各業界・企業の社風やワークスタイルが、オフィス内のコミュニケーションエリアづくりのヒントになるのです。
これらの要素を総合的に考慮して、オフィス内のコミュニケーションエリアをつくりましょう。
まとめ
会議室を「単なる場所」から「コミュニケーションと創造性の中心地」に進化させるためには、会議の種類・目的別に設えを変える必要があります。そのため、コミュニケーションづくりを考えるときはまず、自社内でどういった会議・ミーティングが行われているかを知っておくことが大切です。
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イラスト:Masaki