オフィスづくりのコラム
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オフィスのレイアウトパターン5選
【デスク間の寸法値も解説】
在宅勤務からオフィスへと人が戻りつつある中、オフィスでのレイアウトを考え直す企業も増えてきています。今回は代表的なオフィスのデスクレイアウトの種類と特徴についてご紹介します。それぞれのメリットやデメリットを比較し、自社の働き方に合うスタイルを探してみてください。
目次
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オフィスレイアウトが変われば、働き方が変わる
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オフィスレイアウトの種類と特徴
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オフィスレイアウトの基準寸法
- まとめ
1. オフィスレイアウトが変われば、働き方が変わる
オフィスの根幹となる執務エリアのデスクレイアウトは働き方と強い結びつきがあり、レイアウト次第で働き方も変わってきます。昔から多くの企業で採用されてきた対向型のデスク配置は定番のレイアウトではありますが、実は他にも社員の多様性や業務の複雑化に対応したさまざまな形のレイアウトがあります。
レイアウトの種類によって、コミュニケーションの円滑さやスペース効率、増員があった場合などのレイアウトの変更のしやすさに違いがあるため、それぞれの特徴を押さえて、自社や各部署にとって最適なレイアウトを選択することが大切です。
2.オフィスレイアウトの種類と特徴
代表的なデスクレイアウトには、それぞれのメリット・デメリットがあります。部署や仕事内容によっても適したレイアウトが変わるため、自社にフィットするオフィスレイアウトを構築できるよう、それぞれの違いを知っておきましょう。
ここでは、代表的なデスクレイアウト5種類をご紹介していきます。
■対向型レイアウト
・特徴:同じ部署のメンバーを向き合う形でグルーピングするレイアウトです。コミュニケーションがとりやすく、情報共有や相談がしやすい特徴があります。営業部やカスタマーサポート部など、チームワークを重んじる部署に適しています。
メリット: ・同じグループでのコミュニケーションがとりやすい ・部署ごとにデスクをグルーピングしやすく、スペースに限りがあっても運用しやすい ・上長が端に座ると見通しが良くなり、マネジメントがしやすくなる ・増員や席替えがしやすく、効率が良い |
デメリット: ・画一的な配置で、単純なレイアウトになってしまう |
■背面型レイアウト
・特徴:チームメンバーと背中合わせでグループを形成するレイアウトです。エンジニアやデザイナーをはじめ、集中力や創造力を要する業務に向いています。
メリット: ・振り返ると、チームメンバーと向かい合わせになるため、集中と交流の両立が図りやすい ・他部署の人に後ろから画面を見られる心配が少ない ・デスクの間にテーブルなどを設置することで、会議室に行かずとも気軽にちょっとしたミーティングを行える |
デメリット: ・目の前は通路や他部署になるのでデスクパネルを付ける等配慮が必要である ・上長の目が行き届きにくく、部下へのマネジメントを強化したい場合には不向き |
■縦横型レイアウト
特徴: テーブルを縦横にクロスさせる形で配置するレイアウトです。あえてジグザグの通路をつくり、遊びのある動線を設けることで、人との会話が自然と生まれやすくなります。席が離れている人同士のコミュニケーションを促進したい場合に適しています。
メリット: ・動線が入り組んでいることで、コミュニケーションを促進しやすい ・部署間の境目がわかりやすい・比較的簡単に遊び心のあるレイアウトを実現できる |
デメリット: ・スペースを必要とするため長い島が作れず、部署が別の島に分かれやすい ・効率的な動線を作りにくい ・座席数を大量に確保することがむずかしい |
■グリッド型レイアウト
特徴:スペースを統一されたモジュールで区画し、空間ユニットの配置を進めるレイアウト手法です。グリッドごとの機能を考えやすく、一部のみのレイアウト変更もできます。また、部署ごとに必要な機能を選択できるため、それぞれの業務に適した空間を作りやすくなります。
メリット: ・モジュールが決まっているため、配置できるレイアウトの選択肢が広い ・将来的な各ユニットの入れ替えにもフレキシブルに対応可能 ・それぞれの部署にあったレイアウトを作れる |
デメリット: ・効率的な動線を作りにくい ・長い島が作れず、部署が別の島に分かれやすい ・役職席を区分けしにくい |
■自由型レイアウト
特徴:その名の通り、特定の型がなく、自由度が高いレイアウトです。近年では、テレワークや、テレワークと出社を組み合わせたハイブリッドワークを取り入れている企業も多く、「仲間とスムーズにコミュニケーションができる」など、オフィスならではの体験を感じてもらいやすいレイアウトとして注目を集めています。
メリット: ・型に縛られることなく、企業の文化やオフィスコンセプトにあったレイアウトが実現可能 ・従来のオフィスらしくない、先進的でおしゃれな空間を構築できる ・工夫次第で、コミュニケーションの機会を増やすことができる |
デメリット: ・レイアウトが規則的でないことが多く、動線が複雑になる ・一部分だけのレイアウト変更がむずかしい ・座席数を大量に確保することがむずかしい |
3. オフィスレイアウトの基準寸法
オフィスレイアウトを考えるときに、改めてチェックしておきたいのが、レイアウトの基準寸法。オフィスレイアウトの基準寸法は、人の動線や作業の快適性、心理的ストレスなどを考慮して定められた数値です。快適かつストレスのないオフィスをつくるためには必ずチェックしておく必要があります。
■通路幅
オフィス内をスムーズに移動し、生産性を向上させるために考えたいのが、適切な通路幅を確保すること。以下では、ワークスペースをストレスなく移動するために必要なデスクや通路幅について解説していきます。
- メイン通路のスペース(1600mm)
まず成人男性の肩幅を450mmと想定すると、最低でも600mmの幅が必要になります。さらに、人がすれ違う場合には1200mm以上の通路幅が必要です。なお、建築基準法施行令第119条では、通路の両側に部屋がある場合は1600mm以上の幅を確保することが定められています。ワークスペースをストレスなく移動するためには、通路の両側に部屋がなくても、1600mm以上の通路幅を確保することが理想的です。
- デスクとデスクのスペース(900mm)
デスクとデスクの間のスペースには、肩幅450mmの成人男性一人がゆとりを持って通れることを想定して、最低でも900mmは確保しましょう。
- デスク(座席側)と通路のスペース(1600mm)
デスク(座席側)と通路のスペースも、メイン通路のスペース同様に、人がすれ違うことを想定して1600mm程度確保しておくと、移動がスムーズです。
- デスク(座席側)同士のスペース(1600mm)
デスク(座席側)同士のスペースは、イスを引いたときでもストレスなく人が通れるように1600mmは確保しておきましょう。
- デスクと壁のスペース(900mm)
デスクと壁のスペースには900mmは確保しておきましょう。900mmよりも狭いと、椅子を引いたときの出入りが窮屈に感じやすくなります。
- デスク(座席側)と収納のスペース(1500mm)
デスク(座席側)と収納のスペースには1500mmは確保しておきましょう。デスクと壁のスペースは900mmですが、収納庫からモノを出し入れする際はその場にかがむこともあるためです。また、収納庫自体の幅に広ければ、より多くのスペースが必要になることもあります。
まとめ
オフィスレイアウトは、働き方と密接に関わるもの。多様な種類のレイアウトの中から自社の働き方にあったレイアウトを採用することで、快適なオフィスをつくることができます。
オフィスレイアウトを考える際には、基準寸法に気をつけて、快適かつ安全なオフィスをつくりましょう。これからオフィスづくりに関わる人は、オフィスづくりの要点をまとめた、ホワイトペーパー「ゼロからはじめるオフィスづくりの入門書」を参考にしてください。
イラスト:Masaki