オフィスづくりのコラム
COLUMNオフィスの座席の新しいとらえ方「ワークポイント」
最近のオフィスには、昔はなかった新しい特徴が続々と登場しています。そのひとつとして、一人で仕事をするスペースに選択肢が増えた点が挙げられます。
今まではどのオフィスでも、いわゆる執務デスクが、一人で仕事をする際のお決まりの場所となっていました。ABWと呼ばれる働き方に対応したオフィスでは、一人ひとりが働く場所として、多様なスペースが用意されています。
たとえば、電話ボックスのようにまわりと区切られた形状の席や、パネルで囲われた席は、目の前の作業に集中できるように配慮されています。一方カフェにあるような、ソファ席も選択できるようになっていて、そうしたスペースでは普段と気分を変えて働くことができるでしょう。
このようにABWに配慮したオフィスは、ワーカーにとっては「仕事の内容に合わせて席を選ぶことができる」とうメリットがあります。一方で、オフィスを管理する側からすると、少し困った問題があるのです。
それは、「オフィスの収容可能人数をどのように算定すれば良いか」ということ。オフィスを計画する際には、オフィスの広さと収容人数との、適正なバランスを図ることが重要になってきます。
ABWに配慮したオフィスでも、収容人数を概算する方法
オカムラではワーカーが一定時間、快適に個人作業ができる席を「ワークポイント」と呼び、これを収容人数の目安とする考え方を提案しています。この考え方で重要なポイントとなるのが、他者との距離感です。そばに人がいると集中して仕事がしづらくなるため、ワークポイントは他者と適切な距離が保たれている必要があります。
個人が落ち着いて仕事ができるための距離として、エドワード・ホールが提唱したパーソナルスペースの考え方を参照し、「半径1.2m」をオカムラでは個人作業に必要な領域と定義しています。
たとえば下図では、どの例でも席としては4席ありますが、パーソナルスペースの「半径1.2m」を考慮すると、それぞれ左から、4ワークポイント、2ワークポイント、1ワークポイントとカウントされることになります。
このワークポイントの考え方で席数をカウントすれば、執務デスクに限らない多種多様な席がオフィスにある場合でも、ワーカーがどれくらい収容できるかを概算で把握することができるようになります。
まとめ
ABWに代表されるようなオフィスの活用に加えて、コロナ以降は「出社率」という、新たに考えなくてはならない要素が増えました。オフィスの収容人数の考え方は、より複雑になっています。オフィスを管理する側の悩みは尽きませんが、解決策のひとつとして、ワークポイントを考えるようにしてみてはいかがでしょうか。
オカムラでは、ワークポイントをさらにいくつかのポイントに細分化し、パターンごとの平均的なワークポイントの数も算出しています。関心のある方は、ぜひ以下のリンクから詳細をご確認ください。
イラスト:ウラケン・ボルボックス