オフィスづくりのコラム
COLUMNハイブリッドワークが地球環境に及ぼす負荷はどれぐらい?
CO2排出量から考える
近年、オフィスワークとテレワークを組み合わせて働く「ハイブリッドワーク」が浸透しつつあります。注目が集まるハイブリッドワークについて盛んに議論されているのは、「オフィスとテレワークのどちらで働く方が、より効率よく生産的に働けるのか?」という点です。
しかし業界・職種による違いや、働きやすいワークスタイルに対する個人差もあり、どちらが効率的か結論を出すことは困難です。本コラムでは視点を変えて、ハイブリッドワークが及ぼす地球環境への影響について考えてみましょう。
場所の分散によりエネルギー消費が増加 ハイブリッドワークは地球環境への負荷を高める結果に
一般的にエネルギーは、1カ所に集まって使った場合と、複数の場所に分散して使った場合では、前者の方が効率的と考えられます。たとえば10人が移動する際、全員が乗り合わせてバス1台で移動した場合と、各人が別々にわかれて車で移動した場合では、バスで移動した方がエネルギーの消費は少なくなるはずです。
オカムラと国立環境研究所の共同研究によって、ハイブリッドワークにも同様の傾向があることがわかってきました。ハイブリッドワークを行う際に、オフィスで出されるCO2排出量、在宅勤務時に自宅で出されるCO2排出量、通勤など移動に伴い発生するCO2排出量、そして通勤が減った分の時間に行う諸活動によるCO2排出量を算出し、コロナ禍以前と比較した結果をまとめたものが下図になります。
オフィスでのCO2排出量があまり減らない一方で、自宅でのCO2排出量は増えるため、ハイブリッドワークは環境への負荷を高めるという結果になりました。
とはいえ、自宅でのCO2排出を減らそうとして以前のように全員が出社したり、あるいはオフィスでのCO2排出をなくすために全員が在宅勤務をしたりするのは現実的ではありません。ハイブリッドワークへの移行を肯定的にとらえながらも、どうすれば環境負荷を下げることができるのかを考えていく必要があります。
まとめ
冒頭でも述べましたが、ハイブリッドワークは、「テレワークとオフィスワークのどちらの方が生産性が高いか?」という、経済的な視点から語られることが多いようです。しかしながら、ハイブリッドワークについては、もっと多面的に評価していくことが必要でしょう。
今回はそのひとつとして、環境負荷の観点からの考察を紹介しました。もし、より具体的にどの程度の変化があったか知りたい方は、KNOWLEDGE WORK DESGIN REVIEW 2022をご覧ください。どの場合に、どのくらいのCO2排出量が変わるかを具体的にシミュレーションした結果を紹介しています。
イラスト:ウラケン・ボルボックス