オフィスづくりのコラム
COLUMN長期化する在宅勤務で私たちの心とからだに何が起こった?
新型コロナウィルスの影響を受け、さまざまな企業で在宅勤務の導入が進みました。
導入前には仕事の効率低下を懸念する声が多かったものの、蓋を開けてみると「意外にも仕事の効率は下がらなかった」などポジティブな反応も見受けられました。
しかし、在宅勤務が長期化する中で、実際に働く人にどのような影響があるのかは、多面的に探っていく必要があるでしょう。
オカムラでは、リモートワークを経験した3,000名(従業員100名以上の企業に勤める正社員)を対象に、働き方に関するアン ケートを実施。アンケート結果をもとに、在宅勤務が働く人たちに与える影響について考えていきます。
長期的な在宅勤務によって、健康面にどんな影響が?
アンケートではまず、「リモートで働くことが長期化することによる健康面への影響」について聞いてみました。
すると、「影響を受けていない」と答えた人が半数以上を占めながらも、3割弱と決して少なくない割合の人が「身体的健康に悪い影響を受けている」と回答していることが分かりました。
この結果は、在宅勤務では適切な姿勢で働けていなかったり、姿勢を変えずに働き続けてしまったりすること、運動不足になりがちなことが要因になっていると考えられます。
「感情の共有」の難しさが、精神的健康への悪影響に
さらに、在宅勤務の長期化によって「精神的健康に悪い影響を受けている」と答えた人が約35%いることも見逃せません。
何が精神的健康に悪い影響を与えているのかは、生活の自粛による閉塞感や環境変化の影響など、さまざまな要因が考えられます。その中では、「同僚や部下との感情の共有が難しくなった」という意見も耳にします。
実際に、アンケートで「コロナ禍においてチームメンバーや同僚との感情共有に変化はあったか」と質問したところ、約4割の人が「コロナ禍において感情の共有に困難を感じたことがある」と回答しています。
また、「精神的健康に悪い影響を受けている」と回答した人を年齢別で分類したところ、20代・30代の人と比べて、40代・50代の人の方が「精神的健康に悪い影響を受けている」と回答した人の割合が多いことがわかりました。
この結果は、会社の中で中高年が担っている仕事が単純に与えられるものではなく、
・責任を伴う判断や、複雑な状況把握を必要とする仕事が多い
・日本では40代以上に多い管理職が、弱音を吐きにくい立場にある
という背景も影響していると考えられます。
現在、在宅勤務における従業員へのフォローは、新入社員や社歴の浅い人を対象としたものが多くなっています。しかし、今回のデータを見ると、40代以上の従業員や管理職へのケアも必要であることが分かります。今後は若手世代だけではなく、40代以上の従業員へのフォローにも目を向けていく必要があるでしょう。
一緒に働くメンバーの健康状態に注意を向けよう
在宅勤務の長期化によって、身体面や精神面の健康に悪い影響を受けていると回答した人は今回の調査では3割程度でした。 オカムラでは、この数値が低いとは考えていません。フォローからこぼれ落ちてしまう人が出ないように、慎重なケアを行うことが必要です。特に、見落とされがちな中高年の人たちにも配慮しましょう。
今回明らかになった課題に対して、身体面においては出社時だけでなく在宅勤務時においても適切な姿勢で働けるような環境づくりや、情報提供などの支援、精神面においては定期的な1on1の実施や、出社する日をチームで決めて、チームメンバーとのコミュニケーションの機会をつくる取り組みなどが有効なのではないでしょうか。
在宅勤務によって、メンバー同士の状況やつながりは対面で会える場合と比べて見えにくくなっています。そんな状況で重要なのは、互いの状況を気遣いながら、仕事を進めていくこと。その視点を忘れずに、従業員の健康に注意を向けた対策を行っていきましょう。
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イラスト:ウラケン・ボルボックス