オフィスづくりのコラム
COLUMN快適に働くための姿勢とは?
デスクの天板の角度と高さの調整がポイント
オフィスワーカーの作業姿勢は、使用するツールの影響を大きく受けます。特に近年では、ノートパソコンに加えてタブレット端末の利用が増えるなど、オフィスワーク時の姿勢も多様になってきています。
そんな中、オフィスワーカーが健康で快適に働くために、立ち姿勢を取り入れ、座りすぎを抑制することが世界的に推奨されています。オカムラと大原記念労働科学研究所との共同研究では、座り姿勢中心のオフィスワーク中、1時間のうち10~20分程度の立ち姿勢を取り入れると、身体の負担感が少なくなることが明らかになりました。
長年、作業内容と姿勢の関係性について研究してきたオカムラ。今回は、パソコン作業時の操作性と姿勢について、実験を行いました。
デスクの天板の角度を変えて、さまざまな要素を比較する
今回の実験は、天板の高さや角度を調整できるデスクを使って、実験協力者51名にノートパソコンでの「キーボード入力」タブレットパソコンでの「ペン入力」を想定して作業を行ってもらいました。
それぞれの作業時において、「天板を水平にした時」「傾斜をつけた時」に実験協力者自身が最適だと思う天板の高さと角度を調べ、さらにその時の作業のしやすさ(画面の見やすさ・手の操作のしやすさ)を確認しました。実験の詳細はこちら
傾斜時と水平時で見られた、最適な天板の高さの違い
実験の結果、大きな特徴が見られたのは、天板が水平の時と傾斜している時における高さの違いです。水平天板と傾斜天板を使って入力作業を行ったときの最適な天板の高さを比べると、傾斜しているほうが水平よりも天板前端で約2㎝高くする傾向が確認できました。
この結果から、天板の傾斜を活かすには、昇降機能によって天板高さを調整できることが大切だと言えるでしょう。
大切なのは天板の「角度」と「高さ」 好ましい姿勢を維持するために
次に、入力作業における「画面の見やすさ」「手の操作のしやすさ」について印象を尋ねました。
天板が傾斜している時のほうが「画面が見やすい」と回答した人、また「手の操作がしやすい」と回答した人は、ともにキーボード入力作業は約7割、ペン入力作業が約8割という結果に。天板の傾斜が、いずれの作業にも大きく影響することがわかりました。
最後に、天板が水平の時と傾斜している時における、実験協力者が座っている姿勢を比較。水平の時と比べて、傾斜している時は約7割のケースで上半身が起き上がっていることがわかりました。
さらに、実験協力者からは「傾斜ありのほうが、首への負担が少なく感じた」「椅子に背を預けた姿勢となるので、とても楽」「傾斜天板だと、椅子の背もたれに背中をつけたまま作業していることに気が付いた」という声も上がりました。
こうした実験の結果を踏まえると、デスクの天板が昇降する機能に、さらに傾斜する機能を付加することで、入力方法がキーボードでもペンであっても、操作のしやすさや画面の見やすさが向上することは間違いないでしょう。さらに上半身が自然と起きることで、好ましい姿勢を維持しやすくなることが期待されます。
姿勢や目線が上がるだけで、作業効率や身体への負担は変わります。オフィスワーカーが健康で快適に働き続けるためにも、作業環境の見直しをしてみてはいかがでしょうか。
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イラスト:ウラケン・ボルボックス