
【アンケート調査】60歳以上のシニアワーカーが活躍できるオフィスとは?
日本の60歳以上の労働力人口は1400万人以上となっていて、国内の労働力人口全体の約20%を占めており、高齢化によってその割合は年々上昇し続けています。また内閣府の調査によると、現在仕事をしている60歳以上の約9割が、70歳くらいもしくはそれ以上まで働きたいと考えているほか、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は8割以上となっています。
このような背景から、オフィスにおいても高齢者層のシニアワーカーの働き方や働く環境への配慮が必要になると考えられます。そこで、シニアワーカーへの配慮が必要なオフィスのポイントを明らかにするため、オフィスで働く60歳以上のワーカー101名を対象に調査を実施。自身の20~30代の状況と比較して、オフィス環境において不便に感じている点を調べました。
約80%が感じていた「パソコンの画面の文字の見えにくさ」 疲労や集中の途切れやすさ、眠気を感じている人も
(1)執務室で過ごす際に感じていること
執務室で過ごす際の明るさや温湿度について聞いたところ、約半数の回答者から、「のどや肌が乾燥する」と回答がありました。空調の温度設定に対する意見も挙げられました。

(2)執務席での作業時に感じていること
続いて、執務席で作業をしている際に感じていることを聞いてみました。約8割の回答者から、「パソコンの画面の文字が見えにくい」と回答がありました。また半数以上から、「長時間座って作業をすると体が疲れる」という回答も寄せられました。肘付きいすの設置、外付けのモニターの整備を求める声や、音に関して「電話や打合せなど人の声が聞こえ集中しづらい」という声も挙がっています。

他に、「低い位置の収納物を取るときにしゃがみにくい」「つまずきやすい」とそれぞれ約半数の回答者から回答がありました。「ものがつかみにくくなった」「引き出しの奥にある書類が取り出しにくくなった」「書類の重さが負担に感じる」「段差に気付きにくい」といった意見もありました。
特に執務席での作業時の疲労や集中の途切れやすさ、眠気について、4~5割以上の回答者が感じており、疲労軽減や休息のための配慮が必要であると考えられます。
シニアワーカーが働きやすいオフィスを考えるには
シニアワーカーが働きやすいオフィスを考えていくためには、下記の点にも配慮してオフィスを整備していくとよいでしょう。
<オフィス全体>
- のどや肌が乾燥しやすくなったことに配慮して、調湿効果のある壁材の使用や、加湿器を設置する。
- 床上げをすることで生じる段差や、配線モールなどがある場所は、つまずき防止のために床材の色や素材を切り替える。
<執務エリア>
- パソコンの画面を拡大して表示できるように、執務席に外付けモニターの設置を行う。
- 執務席の明るさが個々人で調整できるように調光機能付きのタスクライトを設置する。
- 低い位置にある書類や物を取る際に配慮して、収納の形状や設置位置を工夫する。
●縦に長い形状で誰でも公平に使えるロッカー

- 長時間の着座作業によって感じる疲労や、集中が途切れやすくなること、眠気を感じやすくなることに配慮し、立ち姿勢を取り入れて気分転換ができる昇降デスクの導入や、疲労の回復や眠気の解消がしやすいよう仮眠スペースを設置する。
●モニター付きの昇降デスク

●仮眠スペース

このような環境を整えることで、シニアワーカーだけではなく、若い世代、妊娠中のワーカー、けがや疾患のあるワーカーなどどんな人にとっても働きやすいオフィスづくりにつながるといえるでしょう。
●関連商品紹介
参考文献:内閣府,令和3年版高齢社会白書
イラスト:ウラケン・ボルボックス
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