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2014.02.03  取材・文/山下久猛 撮影/葛西龍

アファンの森の番人として

──まずは現在の仕事について教えて下さい。

C.Wニコルが理事長を務める「一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団」では、森の再生、人々の心の再生、調査研究、トラスト、震災復興など様々な活動を行っています。現在財団の職員はパートさんを含めて5人で、私は森林再生部の責任者として、当財団が所有する約30ヘクタールの森の維持管理を行っています。

一度人の手が入った森というのは、ある程度までは人の手を入れないと荒れ放題になることが多く、日々の手入れが欠かせないのです。

現在、石井さんが整備・管理を担当している美しいアファンの森

森で本格的に仕事をするようになったのは6年ほど前(2007年)で、最初はニコルとともに1986年からアファンの森をつくりあげてきた、林業家であり猟師でもある松木信義さんに師事していろいろと森や自然のことを教えていただきながら作業をしていたのですが、松木さんの引退にともない、ここ2年は僕が中心となって行っています。特に2012年は初めてひとりで作業を行ったのでやりがいもあったしいろいろと勉強にもなりました。 (※アファンの森については財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団のWebサイトを参照)

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ニコルさんとともに森を作り上げてきた初代森の番人・松木信義さん

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石井さんは松木さんに教えを請いながら一緒に森の整備に携わってきた

森の管理は、春先から秋まではだいたい毎日朝6時に起きて、8時から森に入り17時くらいまで行います。年間を通して一番忙しいのは夏ですね。6月の半ばくらいから9月の中旬まではひたすら毎日草刈りです。

また、アファンでは森でスポンサー企業の社員研修を行っており、その対応もしています。彼らに森の中を案内したり、実際に森の手入れの指導をします。毎年児童養護施設の子どもたちを招待しているのですが、子どもたちが来たときには森で一緒に活動したりいろいろな話をしています。

アファンの森を訪れた人に森を案内する石井さん

冬の間や雨の日は森での作業はめったに行いません。そんなときは道具の手入れや事務作業を行っています。また、毎年行われているエコプロダクツやアースデイなどの各種イベントに出展するための準備やイベント当日の運営、出演などもしています。

2013年12月に開催されたエコプロダクツ2013のオカムラブースで開催されたトークセッション「C.W.ニコル 森の学校」でアファンの森について語る石井さん。WAVE vol.8に登場した馬搬馬方で遠野馬搬振興会の岩間敬さんも出演

──森の管理というと、具体的にどのような作業を行うのですか?

アファンの森ではこれまでたくさんの手を入れてきましたが、中には新しくトラストをしたエリアなどまったく手付かずの荒れ放題のエリアがあります。このような場所は基本的には、まずヤブ刈りツル切りを行い見通しをよくします。ヤブが濃いとどんな木が生えているかすらわからないこともあります。見通しがよくなると健康な木、不健康な木がよくわかります。基本はよい木を残して森にしていくので、不健康な木を伐採して大きく空間の空いたところには植林も行います。その後は下草刈りなどを行いながら、天然更新ができるところまで管理をしていきます。言葉にすると簡単ですが、何せ自然相手ですから思うようにいかないことも多く、何十年という歳月も必要になります。

石井敦司(いしい あつし)
1967年神奈川県生まれ。一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団 森林再生部 森林整備担当。通称「森の番人」。

自然が好きで田舎暮らしにあこがれ、1997年、長野県信濃町黒姫に妻と移住。2001年にアファンの森に事務スタッフとして入職。2007年から初代森の番人の松木氏の後継者として森の整備・管理の仕事に従事。2012年、2013年は責任者として森の管理を行う。現在は妻、2人の息子と長野県黒姫に暮らしている。

初出日:2014.02.03 ※会社名、肩書等はすべて初出時のもの