チームの一体感で楽しくオフィス移転を実現した「ぬープロジェクト」 ――社員の声を反映し、企業の"らしさ"が詰まった出社したくなるオフィス
レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社 様

チームの一体感で楽しくオフィス移転を実現した「ぬープロジェクト」 ――社員の声を反映し、企業の"らしさ"が詰まった出社したくなるオフィス
Project Data
- プロジェクト名
- レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン オフィス移転プロジェクト
- 面積規模
- 約420㎡
- 人員規模
- 約30名
- 完成年月
- 2024年1月
Point !
より働きやすい環境と人員増加への対応を目指し、およそ3カ月の短期間で実現したオフィス移転の事例です。執務エリアには、昇降デスクや集中ブースを設置して、好きな環境を選んで働けるように工夫されています。新設されたリフレッシュスペースは、仕事の合間の休憩や、社員同士の交流を生む場として活用されています。オカムラとお客様との強い連携のもとプロジェクトに取り組み、スピード感のある進行を実現。タイトなスケジュールにもかかわらず、メンバー全員が楽しみながら移転に取り組むことができました。
希少疾患に特化した治療薬を提供する、レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン(以下、レコルダティ)。2022年、移転前のオフィスでは新しい家具を導入したことで、働きやすさの向上を実感しました。この経験を踏まえて、さらに快適で働きやすい環境と将来的な人員増加にも対応できるゆとりある空間を求め、オフィスの増床移転を決定しました。
2023年9月頃に移転先が確定し、10月初旬から年末までの約3カ月間での移転計画がスタート。「ぬープロジェクト」と名付けられたこの移転プロジェクトは、一体感のあるプロジェクトチームの進行によってタイトなスケジュールを乗り越え、無事に移転を成功させました。

「振り返ると楽しい時間だった」とチームメンバーが語る、ぬープロジェクトはどのように進められたのでしょうか? レコルダティのプロジェクトメンバーである林田恭典さん、針替陽子さん、オカムラの営業担当・植松知里、設計担当・河畑淳子が振り返ります。

移転プロジェクトを実施する前のオフィス

ゾーニングと紹介するエリア
Interview
移転プロジェクトを楽しむ、 きっかけづくり
今回は約3カ月間での移転だったそうですね。短納期での移転になった背景を教えてください。

林田さん:以前のオフィスは手狭で、より働きやすい環境への改善が必要だと感じていました。そんなとき、ちょうどいい移転先が見つかったんです。レコルダティには「やるべきことは早く取り掛かろう」という文化があります。製薬会社である当社は患者さんに必要な治療薬を一刻も早く届けることを使命としており、何事にもスピーディな対応を心がけています。そのため、「移転するなら早くやろう」と10月初旬から年末までの短期間での移転をオカムラさんに依頼しました。

その依頼を受けて、オカムラ側はどんな気持ちになりましたか。

植松:正直、タイトなスケジュールではありましたが、お客様のご希望を実現したいという強い思いがあったので、「やるしかない!」と前向きに取り組みました。社内で関係部署に相談した結果、実現可能なスケジュールが見えてきて、お客様と協力すればなんとか実現できることがわかったんです。今回の移転に協力してくださったプロジェクトマネジメント会社「エフエム・ソリューション」のPMの方を中心に、社内で何度も相談を重ね、執務室など業務上で必要な機能はすべて年末までに移転を完了させることに。加えて、造作家具工事などは24年1月に実施する工程で調整しました。

3カ月で完成させた執務エリア。短納期でありながら、執務とミーティングそれぞれに最適な什器が配置され、働きやすさへの配慮が行き届いている。
「ぬープロジェクト」というユニークなプロジェクト名は誰が考えたんですか?

植松:レコルダティのみなさんです。「短期間でもチームで一体となり、楽しんで進めてもらいたい」という思いから、初期段階で愛着を持てるプロジェクト名の候補を出していただきました。その結果、動物の「ヌーの大移動※」にちなんだ名前が選ばれました。
※毎年、何百万頭ものヌーが雨雲を追って緑の草原へと向かう、タンザニアの自然現象

針替さん:本物のヌーの大移動のように、勢いよくプロジェクトが進んだので、ぴったりのネーミングでしたよね。インパクトがある面白い名前で、楽しく取り組むきっかけになったと思います。

河畑:定例の資料がメールで届くたびに、タイトルが「ぬー」と書かれていて毎回笑ってしまいました(笑)。このプロジェクト名のおかげでチームの一体感がさらに高まり、忙しくてもギスギスすることなく、前向きな雰囲気で進められました。プロジェクトを盛り上げる起爆剤になったと感じます。
同じゴールを目指すことで 「一体感」を醸成する
「ぬープロジェクト」を短納期で実現できたのは、なぜだと思いますか。

植松:「いつまでに何を進めるべきか」をレコルダティさんと共有できていたのが大きいです。そのためには、まず綿密な移転スケジュールを組む必要があります。レコルダティさんがオカムラにすべての進行を任せてくださったので、スケジュールを組みやすかったんです。


林田さん:新オフィスへの要望を伝えた上で、「移転はオカムラさんにすべてお任せします」とお願いしていました。そして、オカムラさんから具体的な移転スケジュールを提案してもらいました。
レコルダティ側の要望の1つが、会社の歴史を反映したオフィスにすること。これまでにオフィスを構えた場所にちなんで「本郷」「赤坂」と名付けた個室ブースがある。


植松:3カ月という短期間だと現実的に移転が難しい部分も発生するので、提案の初期段階で「年末でここまでは完了しますが、それ以外は年明けになります」とお伝えしています。

林田さん:その説明を受けて、「年末までにできることは早く進められるように行動しよう」と思うようになりました。僕らが決めなければいけないことは、オカムラさんと頻繁に連絡を取り合いながら、どんどん決めていったんです。
本社がイタリアにあるレコルダティさんのような外資系企業だと、何かを決める際、日本国外にある本社での承認が必要なイメージがあります。今回のプロジェクトは、そうではなかったんですね。

針替さん:はい。林田さんを中心に、日本オフィスで決めていきました。


林田さん:当社にはオフィスづくりのグローバルポリシーがあり、色の選び方やグラフィックの入れ方などのルールが資料としてまとまっています。加えて、イタリア本社の移転経験をまとめたビデオも共有されていたので、それらを参考にしながら判断できました。
また、プロジェクトの進行中にもオカムラさんから「いつまでに何を決定するか」というリストを毎週共有していただいたんです。そのステップに沿って進めばよく、おかげで効率的に進められましたね。
プロジェクトがスムーズに進んだ要因は、ほかにもありますか?

林田さん:内装を提案する際、河畑さんが2パターンの案を出してくれて、そのどちらかを選べばよく、決断しやすかったなと。

河畑:私がデザインを提案してから、レコルダティさんが決定するまでの期限が短かったため、最初にインテリアの色合いを変えた2案を提示しています。そして、どちらにするか決めていただき、その後に微調整を加える進め方にしました。

植松:それに加えて、関係者みなさんのご協力も大きかったですよね。レコルダティさんの社内メンバーはもちろん、建築に関わるビル管理会社の方々などにも、全体の流れや優先順位を伝えてスムーズに移転ができるように配慮いただきました。みなさんのサポートがあった恵まれた環境だったからこそ、実現できたプロジェクトだと思っています。

壁一面にフェイクグリーンが貼り付けられた空間。プロジェクトチームが貼る作業をしていたところ、たまたまオフィスを訪れた初対面の業者の方が手伝ってくれたそう。
「レコルダティらしさ」を オフィスに反映する
新オフィスのインテリアについて、河畑さんは「Japandi(ジャパンディ)」というテーマで提案されたそうですね。

河畑:Japandiは北欧スタイルと日本のスタイルをミックスしたもので、海外ではトレンドになっています。レコルダティさんのオフィスには、イタリア本社のメンバーも来られると聞いていたので、海外の方が日本のオフィスへ来た際に「日本らしさ」を感じていただくことができ、落ち着いた雰囲気もあるJapandiを採用しました。


河畑:たとえば、日当たりのいい窓際にはリフレッシュスペースを設け、北欧スタイルに合う照明や家具を取り入れました。北欧の街でよく使われ、名作と呼ばれる「アルテック」のチェアなど、本物の良さを感じられる家具を選んでいるので、インテリアが好きな方々にも「こだわっているオフィスだな」と感じていただけるはずです。

林田さん:リフレッシュスペースにはデザインのアクセントとして、グローバルポリシーで定められた少年のグラフィックを入れていただきましたよね。
リフレッシュスペースは社員の休憩だけでなく、全社ミーティングなどのイベント会場としても使われている。


林田さん:反対側の壁には、「Unlocking the full potential of life(人生の可能性を最大限に引き出す)」というレコルダティのパーパスを掲げ、社員が意識できるようにしてもらいました。
「食事できる場所がほしい」という社員の要望から生まれたリフレッシュスペース。その一角には、コーヒーマシンやお菓子などが並ぶカフェカウンターもあり、一人で食事していた社員同士が自然と会話を楽しむ場面も。


針替さん:窓際の席は社員から好評です。休憩時間には、ここでランチをしたり、外の景色を眺めながらくつろいでいたりする姿をよく見かけます。

東京のビル群や赤坂御用地の木々を一望できる窓際席。移転前にはなかった“ちょっと一息できる場所”として多くの社員に利用されている。

針替さん:リフレッシュスペースの設備にも、移転に際して実施した社内アンケートからわかった社員の声を反映させています。そのようなこだわりも詰め込んだ、“レコルダティらしいオフィス”をつくっていただいたんです。
リフレッシュスペースの隅には、社員アンケートで希望があったダーツを設置。オフィスに遊び心を取り入れることで、社員同士のコミュニケーションが活性化されることを目指した。

楽しむ気持ちがあるから、 短期間での移転も前向きになれた
今回のプロジェクトを振り返って、オカムラの対応にどんな感想を持ちましたか。

針替さん:連絡が滞ることもなく、わかりやすく説明してもらったおかげで、スムーズに進められました。何より、楽しく進められましたよね。最初は「ぬー」というプロジェクト名に笑い、それからもみなさんといつも笑っていたような気がします(笑)。

植松:私たちも楽しかったという印象が強いです!


河畑:レコルダティさんが私たちを信頼してプロジェクトを任せてくださり、提案に対して前向きに捉えてくださったので、気持ちよく進められました。「短納期でも、よいオフィスをつくろう」という共通の目標に向かって、レコルダティさんと全力で前向きに取り組めた時間が本当に楽しかったです。

針替さん:最後まで大変だったはずなのに、楽しく進めてもらって本当に感謝しています。
移転後のオフィスの感想を教えてください。

林田さん:すべてのスペースが理想以上でしたね。外部の方やイタリア本社からも「いいオフィスだね」と褒められ、そのたびに素晴らしさを実感しています。

針替さん:執務室も広さが十分にあって、「透明性の高い組織で、オープンなコミュニケーションをする」というレコルダティが大事にしていることを実現できる空間になりました。


河畑:広々としたオフィスを希望されていたので、執務室はレイアウトを工夫してゆとりを感じる空間を目指しました。デスクを整然と並べると狭く感じるため、縦や横に少しずつずらし、視線がずれて広く感じられるようにしています。

心地よい作業音が流れる執務室は、ゆとりあるスペースと動きやすい動線が確保されている。「立ちながら作業をしたい」という社員の要望に応えて昇降デスクも導入した。

針替さん:広々と、コミュニケーションしやすい執務室がある一方、集中ブースがあるのもいいですよね。業務に応じて使い分けができる便利さを実感しています。
壁に囲われた「集中ブース」は、こもって作業したいときに使える人気のスペース。

最後に、新しいオフィスをどのように活用していきたいですか。

林田さん:社員が出社したくなる職場づくりに役立てていきたいですね。リモートからオフィス出社に戻る流れが増えているなか、レコルダティでも出社を推進しています。ただ、そのためには「出社したい」と思える環境が必要です。移転後のオフィスをさらに活用できるように運用を少しずつ変えながら、みんなが来たくなる、居心地のよい職場をつくっていきたいと考えています。

About this Project
- 業種
- 医薬品製造業
- 企業名
- レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン株式会社
- 所在地
- 東京都港区赤坂4-8-18 赤坂JEBL 8階
- デザイナー
- プロジェクトマネジメント
- エフエム・ソリューション
- 関連タグ
Credit
- 編集
- 水上アユミ(ノオト)、オカムラ編集部
- 執筆
- 流石香織
記事内の情報は取材当時の情報です。
この記事は2025年3月14日に公開されたものです。