日本での活動拠点
──フィリピンや日本でさまざまな活動をしていますが、活動の拠点はどこに置いているのですか?
日本とフィリピンを行ったり来たりしていますが、年間の半分以上はフィリピンで活動しています。現地に部屋を借りていて、フィリピンにいるときはそこで生活しています。
日本での拠点は軽井沢です。去年(2012年)の冬にオフィスを東京の恵比寿から長野の軽井沢に移転しました。それとは別に神奈川に自宅があります。
──なぜオフィスを軽井沢に?
元々湯河原という海と山に囲まれた町で育ったので、自然豊かな場所で仕事をしたいという思いが小さいころからありました。それに、我々の仕事はインターネットさえあればどこでもできるので、あえて都内にオフィスを構える必要性がないということもあります。でも移転した最大の理由は東京よりも軽井沢の方がワクワクすると感じたからです。豊かな自然に囲まれているし、軽井沢に住んでいる人もおもしろい人が多いんですよ(笑)。それに私は元々地域活性化に興味があって、これからお世話になるこの軽井沢の塩沢という地域で、村の人たちと一緒にワクワクすることをやってみたいという思いもありました。本当にご縁に恵まれてこの場所で活動できることを幸せに思っています。
──とはいえ東京近辺に行くこともけっこうあるんですよね?
慶応SFCでの体育の授業が毎週あるのですが、その時は神奈川の自宅に帰ればいいですし。その他、東京近辺のワクワーク・イングリッシュを導入してくださっている大学や企業にうかがうこともありますが、軽井沢って東京に1時間で出られるのでむしろ便利なんですよ。それに、それほど頻繁に行くわけじゃないですしね。
ワクワーク・イングリッシュのフィリピンのスタッフとはスカイプで通信するので、日本国内どこにいても問題ありません。このようにそもそも我々の手がけているビジネスは場所を選ばないので、どこにオフィスを置くかということはさほど問題ではないのです。
軽井沢での活動
──軽井沢では具体的にどのような活動をしているのですか?<
日常的な業務の他には、ワクワーク・イングリッシュのWebサイトや新しいシステムの構築、ワクワークセンターのプログラムについて考えたりしています。
あとはラーニングジャーニーに参加する学生を集めて、その前後に軽井沢オフィスで合宿を行なっています。合宿ではダイアログを行い、参加者全員のライフストーリーを共有します。そうするとメンバー同士の信頼関係が強まり、現地に入ってすぐにみんなで協力して密度の濃い活動ができるからです。現地にいられる時間も限られてますからね。帰国後は振り返りを行なっています。
それから、オフィスの近くに緑友荘という古民家があるのですが、そこで地域の方々と一緒に何か活動ができればと思っています。一例としては、緑友荘とフィリピンをスカイプでつないで、1回ワンコイン(500円)で地域の子どもたちやお年寄り向けのワクワーク英会話講座を開く予定です。
また、子どもたちに関しては軽井沢の豊かな自然×英語という形で、ワクワクしながら、夢を描いたり、生きていく力を育めるような活動もしたいと思っています。例えば夏休みになると大勢の家族連れが軽井沢の別荘に来るのですが、その子ども向けのワクワークの英会話講座を緑友荘で実施できたらおもしろそうだなぁとか。ただ英会話を教えるだけではなく、英語を使って森の中でご飯を炊いて食べるとか、体を動かすアクティビティ、スポーツなども含めていろいろやりたいと思っています。
これまではフィリピンに学生を連れていって活動しているのですが、子どもたちが命の大切さに気づいたり、自分の夢に気づいたり、そういう体験って、この軽井沢でもできるんじゃないかなぁと思いはじめています。
こんな感じでここを拠点に子どもたちと一緒に夢を育てていけるような、自分の町の未来をつくっていけるような活動を行いたいと思っています。
山田貴子(やまだ たかこ)
1985年神奈川県生まれ。株式会社ワクワーク・イングリッシュ代表。
慶應義塾大学環境情報学部卒、2009年同大学院政策・メディア研究科修士課程在学中に株式会社ワクワーク・イングリッシュを設立。フィリピンの貧困層の若者と一緒に、生まれた環境に関係なく、誰もが夢と自立を実現できる社会を目指してさまざまな事業を立ち上げ中。日本では軽井沢に拠点を置き、地域活性活動に取り組むほか、慶應義塾大学の非常勤講師や「湯河原子どもフォーラム」の講師も務めている。2012年、世界経済フォーラム・ダボス会議により、20代30代のリーダーGlobal Shapersに選出。2013年、第1回日経ソーシャルイニシアチブ大賞の国際部門でファイナリスト選出。
初出日:2013.08.13 ※会社名、肩書等はすべて初出時のもの