三菱地所リアルエステートサービス株式会社
OFFICE

三菱地所リアルエステートサービス株式会社
本社オフィス

Mitsubishi Real Estate Services Co., Ltd.

交流とともにリアルなブレイクスルーを実現するオフィスphoto:Nacása & Partners

グループごとのフリーアドレスを導入した執務エリア。働く場の選択肢を最大化し、コミュニケーションを活性化している。

執務エリア内には上下昇降デスクも設けられ、立ち姿勢で仕事をしている姿もよく見られる。

グループアドレスは、役員を除く部長以下のすべての社員に対して導入。ビーコン(所在管理システム)によって、リアルタイムで社員の居場所を把握できる。

窓側のフリーエリアには、集中ブースなどさまざまな設えが用意されている。

窓側には、執務エリアから気軽に利用できるファミレスタイプの席も設けられている。

オフィスをワンフロアに集約し
従来の障壁や旧習を取り払う

1972年の設立以来、三菱地所のグループ会社として不動産サービス事業を担ってきた三菱地所リアルエステートサービス株式会社。 不動産活用の相談から仲介・リーシングに至るまで、顧客の課題解決に向けて、コンサルティングによるさまざまなソリューションを提供している。「社員と会社がともに成長できる活気あふれた組織づくり」を実現するために、2018年5月に本社を移転。従来は新大手町ビルの4フロアに分断し、それぞれに異なる執務環境となっていたオフィスを、大手町フィナンシャルシティ グランキューブ11Fのワンフロアに集約した。コミュニケーションの障壁などの課題解決に向けて踏み出した、大きな一歩である。

 コンセプトは「REAL BREAKTHROUGH」。事業グループや部門間の壁をなくし、これまでの旧習も取り払うとともに、「働く場所」「働く時間」「働く人」の3つの改革を推進した。「働く 場所」の改革では、グループごとのフリーアドレスやモバイルワークなどの導入に伴い、ワークスタイルの変革と多様性に対応するインフラを整備した。「働く時間」という視点では、さらなる生産性向上と労働時間の短縮に向けて、全社員を対象としたフレックスタイム制を導入し、ワークライフバランスの実現を推進。そして「働く人」の視点では、働く場所と時間の自由度を高めながら社員の意識・行動を見直し、さまざまな個性が輝くダイバーシティをさらに加速できるように取り組みを進めた。

 4つのフロアをワンフロアに集約したことは、ペーパーストックレスやオフィス機器の最適な配置にもつながり、スペースコストを大幅に削減。執務エリアには、長方形のユニバーサルテーブル、スクエアテーブル、上下昇降デスク、 120°のブーメラン型デスクと、多様性のあるバリエーションを設けて、部門の特性による選択肢を広げた。さらに執務エリアの窓側のフリーエリアには、ファミレスタイプの席、クローズドミーティングのできるブース、集中ブース、フォンブースなどを設け、仕事の目的に応じて場を使い分けることができる。

1行目:気分を変えて仕事をすることができ、いつでも「ワイガヤ」の空間になる「REAL CAFE」。偶発的なコミュニケーションの機会も多く、さまざまな情報の交換が行われている。

気分を変えて仕事をすることができ、いつでも「ワイガヤ」の空間になる「REAL CAFE」。偶発的なコミュニケーションの機会も多く、さまざまな情報の交換が行われている。

3行目:「リフレ」と名付けられたリラックスラウンジ。心身共にリフレッシュを図るだけではなく、 リラックスした朝の情報交換にも活用されている。窓側にはセミクローズドの空間も用意されている。

「リフレ」と名付けられたリラックスラウンジ。心身共にリフレッシュを図るだけではなく、 リラックスした朝の情報交換にも活用されている。窓側にはセミクローズドの空間も用意されている。

5行目:鑑定部室は仕事の特性に合わせてガラス張りの個室とし、120°のブーメラン型デスクを採用している。

鑑定部室は仕事の特性に合わせてガラス張りの個室とし、120°のブーメラン型デスクを採用している。

2行目:「REAL CAFE」では、球根から栽培し、成長を見守ったアマリリスの花が咲き始めている。常に挽きたてのコーヒーが楽しめることも、社員には好評である。

「REAL CAFE」では、球根から栽培し、成長を見守ったアマリリスの花が咲き始めている。常に挽きたてのコーヒーが楽しめることも、社員には好評である。

4行目:執務エリア窓側には、大型モニタの設けられたガラス張りの会議室もある。

執務エリア窓側には、大型モニタの設けられたガラス張りの会議室もある。

6行目:「デパスポ(Departure Spotの略)」と呼ばれているオフィス出入口横のスペースには、文房具や営業ツールが集約され、外出時に必要なものをピックアップすることができる。

「デパスポ(Departure Spotの略)」と呼ばれているオフィス出入口横のスペースには、文房具や営業ツールが集約され、外出時に必要なものをピックアップすることができる。

多目的に使えるラウンジは
生産性を高めるフックになる場

特徴的なのは、コミュニケーションを育む3つのラウンジだ。フロアの窓側の3つの角に位置し、それぞれカフェ、ライブラリー、リラックスをテーマにしている。カフェをテーマにした「REAL CAFE」では、「リアルコミュニティ」と呼ばれる社内イベントも頻繁に開催。社員同士の懇親会なども行われ、経営層と若手社員とのコミュニケーションの機会も増えた。事業グループの垣根を越えたコミュニケーションの場から、新しいビジネスの創出も狙っている。賃貸事業グループ・リーシングマネジメント部の一課長である萩原美穂さんはこの場について「多目的に気持ちを入れ替えることのできる空間であり、生産性を高めるためのフックになる場所だと思います。自分がいちばん高いパフォーマンスを出せる場所はどこだろう? と考え、こうした場を業務によって意図的に使い分けることで、自らの働き方を見つめ直すいいきっかけになると思います」と語る。

 新たなオフィスはまさに、リアルな現場。不動産コンサルティングに、もっとリアルを取り入れたいという想いの詰まった場所である。オフィス移転を自分たちで体験し実感しながら、顧客と同じ目線でコンサルティングを行う「実践コンサルティング」を推進。実体験を通してこのリアルな現場は日々アップデートされている。そして、働き方改革の先に見据えているのは、「イノベーティブでオープンマインドなプロフェッショナル集団」という企業像である。「Value Bridge~Solutions for Success」を旗印に、顧客の課題解決に向けて取り組んでいる同社にとって、新たな躍動の場が確かな価値ある未来への架け橋となるだろう。

執務エリアの窓側の角に設けられたカフェラウンジ「REAL CAFE」は、事業グループの垣根を越えた「ワイガヤ」を促進するコミュニケーションの場。打ち合わせやランチ、リフレッシュのできるエリアで、来訪者も利用することができる。

「ライブラリー」では、書籍や雑誌が会話のきっかけにもなり、社員同士の交流を促進している。

「ライブラリー」と名付けられたラウンジ。社内のナレッジを集約し、部長セレクトによるオススメ本のコーナーを設けるなど、話題が生まれる空間にもなっている。

エントランス奥のロビーでは、自社や三菱地所グループの動画で来客を迎えている。

洗練された上質なエントランス。

DATA

所在地東京都千代田区大手町1-9-2
大手町フィナンシャルシティ
グランキューブ11F
オフィス対象面積4,244㎡
オフィス対象人員約480名
インテリア竣工2018年5月
プロジェクトマネジメントエフエム・ソリューション
オフィス設計・デザインエフエム・ソリューション
オカムラ(後藤 健志、塩谷 拓也)
bp vol.30掲載(2019.04発行)