エイベックス株式会社
OFFICE

エイベックス株式会社
本社オフィス

avex Inc.

混ざり合いのコミュニティから未来を拓くオフィスphoto:Nacása & Partners

13Fの執務エリア。メインデスクはエイベックスの新しいブランドロゴからインスピレーションを受け、「リボン」や「メビウスの輪」をキーワードに設計された。その両端はそれぞれ上階・下階へと伸び、6〜15Fの10フロアが1本のリボンでつながるデザインになっている。

デスクは高さを変えてハイテーブル、デスク、ベンチとなり、座る場所によって気分も目線も変わる。なお、執務エリアの入口に顔認証システムを試験的に導入するなど、IoTの活用も段階的に進めている。

13Fの執務エリアのデザインテーマは「fun」。多彩な色を使って楽しいイメージが演出されている。なお、全館フリーアドレスであるが、社内LANに接続しているモバイル端末の位置から、社員の居場所を確認できる。

13Fの中央に設けられたコラボレーションエリア。種類の異なるソファやカウンターがあり、自由に選んで使うことができる。

各階の執務エリアには、趣を変えたカフェコーナーを2ヵ所配置。一部の壁は黒板塗装で、掲示板として利用できるほか、チョークアーティストを招くこともある。

フリーアドレスが流動性を生み
さまざまな交流の機会を生む

2017年12月1日、エイベックス株式会社の「第三創業期」と位置づけた全社的な改革の一貫で、港区・南青山の新社屋がグランドオープンした。

 元々の設計を決めたのは、5年前のことになる。当時の設計では、執務エリアはごく一般的な島型のレイアウトで、エンタテインメント企業らしい特別な空間づくりも考えていなかった。しかし、外部環境が大きく変わる中、今後も成長を成し遂げられる企業であり続けるために、同社の社内構造改革が進められる。そして2017年4月、「Really! Mad+Pure」という新たなタグラインが掲げられた。ともすると“Mad”と思われることを、限りない努力と“Pure”な気持ちで実践することで、世の中で「マジで!?」と思われることを送り出すという、創業時からの強い想いの表れだった。それとともに移転の1年前に設計プランを見直し、オフィスづくりを変更し、構造改革後の考え方を体現。エンタテインメント業界に新しい働き方を提案できる場が創造された。

 新しいオフィスの3つのコンセプトは、「コミュニケーション・コラボレーションが起きる」「働きがいのある」「エンタテインメント企業ならではの機能を備えている」。これを体現したオフィスから、新たなヒットコンテンツを創出し、さらなる驚きと感動を提供することをめざしている。「いかにオフィスに多様な人を集めるか?」を模索し、2Fにはコワーキングスペースをオープン。外部から新しい風を入れることに取り組んだ。これと同時に、執務フロアにはフリーアドレスを導入。社内に流動性を生むとともに、部門にこだわらないコラボレーションの促進をはかった。執務エリアのレイアウトは非常に特徴的であり、リボンのような流線型の長いデスクが、6Fから15Fまでスパイラルのように連なっている。また、各階に「hot」「cool」「fun」「innocent」などのデザインテーマを設け、それぞれに異なる雰囲気を演出。気分転換を兼ねて他の階へ行き、交流が生まれることも促している。

1行目:「1on1会議室」は、各階に配色の異なる2室を用意。新たな人事制度に合わせた、上司と部下のコミュニケーションの場にもなっている。

「1on1会議室」は、各階に配色の異なる2室を用意。新たな人事制度に合わせた、上司と部下のコミュニケーションの場にもなっている。

3行目:10Fには集中して仕事をしたい人のための「集中エリア」も設けられている。

10Fには集中して仕事をしたい人のための「集中エリア」も設けられている。

2行目:執務エリア内には上下昇降デスクも設けられている。

執務エリア内には上下昇降デスクも設けられている。

4行目:上階からも下階からも便利にアクセスできる10Fに設けられた「ビジネスサポートセンター」。フリーアドレスの導入に伴って、郵便物や宅配便が集約されるほか、旅券の申請・発券やPCサポートなどが行われている。

上階からも下階からも便利にアクセスできる10Fに設けられた「ビジネスサポートセンター」。フリーアドレスの導入に伴って、郵便物や宅配便が集約されるほか、旅券の申請・発券やPCサポートなどが行われている。

新たなビジネスを生み出す場は
社員への刺激や成長につながる

11Fの執務エリアのデザインテーマは、「Mad+Pure」。特に遊び心のあるフロアで、セミナーなどを開催できるエリアに加え、広い芝生スペースにアウトドア風のインテリアが置かれたエリアも。楽しい工夫によってリラックスできる。

 そして17Fの社員食堂「THE CANTEEN」は、「Lodge by The Sea」をテーマに、アメリカ西海岸をイメージ。ランチはもちろん、気持ちを切り替えたい時や商談にも使える多目的スペースであり、社内外の交流の場になっている。

 グループ執行役員・グループ戦略室長の加藤信介さんはこう語った。「社内のコミュニケーションやコラボレーションとともに、社外の人たちとの混ざり合いを大切にするため、協業したりチームを組んだりするオープンイノベーションの促進を意識しました。これによって新しいビジネスを生み出すと同時に、社員にとっての刺激や成長にもつながると考えたのです。そのための環境として現在、外に向けて開かれた社員食堂やコワーキングスペースを設けていますが、将来的にはこの建物全体がエンタテインメントのコミュニティみたいになっていくのが理想だと思っています。今までにないオフィスをめざしていく中での、いちばん最初のフェーズがここにあります」

 2018年夏には、ダンススタジオやボイストレーニング室がオープンする予定。社員とアーティスト、そしてアーティストの卵との距離を縮めるコミュニティになることが期待されている。「Really! Mad+Pure」な同社らしい取り組みは、確かな未来へ向けて今後も続いていく。

各階に設けられた芝生スペースの中でも11Fは特に広い空間で、自然にコミュニケーションが生まれる場になっている。奥に見えるのはガラス張りの社内会議室。

執務エリアのメインデスクは躍動的に高さを変えながら、途中でゲートになったりデスクになったり。楽しい動線を生み出す効果もある。

11Fの中央には、説明会やセミナーなどにも使える広いオープンスペースが用意されている。

フリーアドレスの導入に伴い、コア側に個人用のロッカーを配置。側面にはポスターフレームも。

1行目:2Fに設けられた「avex EYE」は、約100席のコワーキングスペース。作業に集中できるエリアと、リラックスできるエリアに分かれている。同社が面白いと思う人材や会社が入居し、起業支援やマッチングによるシナジー創出などが行われる。

2Fに設けられた「avex EYE」は、約100席のコワーキングスペース。作業に集中できるエリアと、リラックスできるエリアに分かれている。同社が面白いと思う人材や会社が入居し、起業支援やマッチングによるシナジー創出などが行われる。

3行目:「THE SESSION」と呼ばれる会議室エリアには、大小合わせて11室の会議室が用意されている。

「THE SESSION」と呼ばれる会議室エリアには、大小合わせて11室の会議室が用意されている。

5行目:今後の耐震改修工事費やセキュリティ面などを考慮し、旧社屋からの建て替えを決定。表参道エリアの青山通り沿いに、17階建ての新しいエイベックスビルが完成した。

今後の耐震改修工事費やセキュリティ面などを考慮し、旧社屋からの建て替えを決定。表参道エリアの青山通り沿いに、17階建ての新しいエイベックスビルが完成した。

2行目:3F会議室エリアに設けられたハイカウンターは、会議前後のコミュニケーションスペースにもなっている。

3F会議室エリアに設けられたハイカウンターは、会議前後のコミュニケーションスペースにもなっている。

4行目:17Fの社員食堂「THE CANTEEN」は、多目的に利用できる約300席で、6つの異なるデザインエリアを用意。眺めのよい空間で仕事や商談、気分転換もできる。

17Fの社員食堂「THE CANTEEN」は、多目的に利用できる約300席で、6つの異なるデザインエリアを用意。眺めのよい空間で仕事や商談、気分転換もできる。

6行目:2Fエントランスには、同社のブランドロゴ“a”型の立体受付カウンターが設けられている。

2Fエントランスには、同社のブランドロゴ“a”型の立体受付カウンターが設けられている。

DATA

所在地東京都港区南青山3-1-30
オフィス対象面積28,344㎡
オフィス対象人員約1,700名
インテリア竣工2017年10月
建築設計大林組
内装プロデュース1〜5・17Fトランジットジェネラルオフィス
内装プロデュース・オフィス設計・デザイン 6〜16Fオカムラ (奥出 雄一、足立 ゆき)
bp vol.27掲載(2018.04発行)