生命の起源を解き明かしたい

自身の研究について高校生に講義する羽村さん
──東大大学院の博士課程に在籍する研究者としては、これまでどういった研究をしてきたのですか?
私の専門領域は惑星科学、アストロバイオロジーです。惑星科学は水金地火木土天海を始めとする太陽系の中の惑星や衛星、小惑星や彗星などさまざまな天体を調べる学問です。アストロバイオロジーは宇宙における生命の存在やその起源を調べる、比較的新しい研究分野です。中でも私は、今から約40億年前に地球に大量に降り注いだ隕石の衝突にともない、生命の材料がどうやって作られたのか、に迫る研究をしてきました。
──そもそもどうして、いつごろから宇宙の研究をしたいと?
若いころは、お金持ちになりたい、女性にモテたい、有名になりたいなど、ありがちな願望がいくつかあったんです。私の場合は中でも特に「有名になりたい」が強かったんですよね。それも、歴史に名を残す人になりたいと思っていたんです。
では、万人が知ってる歴史上の人物ってどういう人だろうと考えたとき、ガリレオ、ニュートン、アインシュタインの3人の名前が浮かびました。この3人って、宇宙にまつわる物理学の分野でそれまでの常識をくつがえすような、またその後の科学の進歩に大きく貢献したすごい功績をあげた研究者なんですね。だから私も宇宙と物理を学ぼうと思って、大学受験のときに物理学科を受験し、唯一受け入れてくれた慶應義塾大学理工学部に進学しました。
宇宙人・地球外生命を探したい
大学4年生の研究室配属のときに天文系の研究室に入りたかったのですが、すごい人気で抽選に外れて入れなかったんです。そこから自分探しの新たな旅が始まりました。ひと言で宇宙とか天文といってもすごく広いんですよ。そこで、いろいろ本を読んだりして情報収集をしていたところ、天文学者が宇宙のことについて話して、その後参加者とお酒を飲みながら宇宙談義をするという「アストロノミーパブ」という会が毎月開かれていると知りました。おもしろそうだと思って、情報収集を兼ねて参加しました。
するとその場で国立天文台の観望会のスタッフと出会って、宇宙に興味があるなら観望会を運営したり、参加者に解説したりするアルバイトをしてみないかと誘っていただきました。これは渡りに船とバイトをし始め、それが後にKSEL立ち上げのきっかけのひとつになったのは先にお話した通りです(※前編参照)。
そこでいろんな先輩研究者の話を聞いていたら、自分が最も興味をもてるのは宇宙人・地球外生命の有無だと思ったんです。どんなに小さな生き物でも地球以外のところに地球由来ではない生物がいたらすごくおもしろいし、宇宙人を見つけたら歴史に名を残せると。確かなことが確認できるのは遥か未来の話でも、そこに繋がる大きな一歩を自分が担ってみたかった。それができそうな研究室を探して、東京大学大学院 新領域創成科学研究科の杉田研究室に入ったんです。
ただ、広い宇宙の中から、まだいるかどうかもわからない地球外生命体を探そうと闇雲にもがいても、何かが見つかる可能性は極めて低い。一方で、宇宙のどこかに仮に生命がいるとしたら、地球と似た発生の仕方をしているんじゃないかと思いました。そこで地球での生命の起源を調べる方向に研究の舵を切りました。地球の生命の起源にはいくつかの説がありますが、中でも有力だと思われるもののひとつに、隕石が地球に衝突したことで生命の材料のそのまた材料のようなものが作られたのではないか、という考えがあります。そこで、そのプロセスの解明を志し、以来、ずっとその研究をしてきました。
宇宙人は存在するか
──そもそもの夢だった地球外生命体は宇宙のどこかに存在すると思いますか?
いてほしいと思っています。いるとは断言できないし、いないとも言いたくない、みたいな(笑)。じゃあ出会えますかと聞かれたらそれは無理だと思っています。交信もできなさそう。なぜなら宇宙はあまりに広すぎるし、候補となる天体も多すぎるからです。太陽から一番近くの星との間で通信するだけでさえ、往復約9年もかかります。直接行くとなったら、何万年かかることか......私が生きている間どころか、人類が存続している間に可能かどうかすら怪しい気がします。ただ、この広い宇宙のどこかにはいてほしい、とは思いますけどね(笑)。
<$MTPageSeparator$>卒業後の進路
──この3月に大学院を卒業するそうですが、卒業後も大学に残って生命の起源の研究を続けるのですか?

いえ。起業しようと思っています。博士課程に進んだときは大学に残って研究をしたいと思っていたんですけど、今では考えが変わりましたね。
──具体的にどういう事業をやるのか決めているのですか?
柏の葉に民営の科学館を作ろうと思っています。そして将来的な夢、野望としては、小さくていいので日本中に科学館を増やしたい。今、日本の科学館は大きく2つにわけられます。1つは国や県、市などの行政が運営するもの。もう1つは企業が自社の技術などをPRするための施設です。いずれも都市部に集中していて、誰もが気軽に行ける施設ではないですよね。
それに大きな科学館でも常設展にそう何度も行くという人は国民全体で見れば少数派ですよね。企画展が変わればまた行きたくなる、という人はいるでしょうが、規模が大きい科学館で毎月企画展を刷新するのはなかなか難しいのではないでしょうか。
だから私は映画館のように街のあちこちにあって、コンテンツもドンドン入れ替わり、誰もが頻繁に行きたくなるような科学館を作りたいんです。そして誰もが気軽に科学を楽しみにいく文化を根付かせたいんです。そこで、第一弾としてまずは、これまで活動を支えていただいてきた柏の葉に、広めの会議室程度の小さな科学館を作りたいと思っています。そしてハコの小ささを逆手にとってこまめにコンテンツを入れ替え、誰もが気軽に頻繁に来てくれるような場所にしたいと考えています。
いろいろな要素をミックス
──それは今までにない新しい取り組みですね。
もちろん、ただ展示物を設置するだけで終わらせるつもりはありません。今までKSELでは「人と人とのコミュニケーションの活性化」にフォーカスを当ててきたのでそれを踏襲し、例えば土曜日はイベントの日として、展示に囲まれた科学館の中でワークショップやサイエンスカフェを開催して参加者と交流を深めたいと考えています。同時に、誰もが気軽に集まる場所に育てることで、来場者同士の交流も生まれ、科学館を中心とするコミュニティが自然発生的に生まれたらいいな、と思っています。

「理科の修学旅行」で行った星空観測。光の筋のように見えるのは人工衛星
イベントやワークショップでサイエンスに興味をもってくれたら、科学館を飛び出して現場に出かけることに繋げたいですね。例えば宇宙に関する展示やワークショップの後には星空のきれいなところに繰り出して望遠鏡で星を眺めたり、発酵について学んだら蔵元さんを見学させていただいて夜は日本酒を楽しんだり。大人版の「理科の修学旅行」ですね。こうした活動も、私が仕掛けるだけでなく、科学館を中心としたコミュニティができて、イベントの参加者の方から、うちの別荘に泊まってよ、なんてお招きいただいたり、参加していた農家の方から一日就農体験をしないかと誘っていただいたりして活動が拡がっていったらすてきだな、と思っています。

2013年に苗場で実施した「理科の修学旅行」にて、観察用に採取した昆虫を掲げる子どもたち
街全体を科学館に
一方で、小さな科学館では設置できる展示の数も限られますし、その中で初学者とマニアを同時に満足させることは困難です。そこで、これまで柏の葉の街で活動する中で拡がってきた、街に関わる方々の輪にお力添えいただき、街全体に展示を配置し、街そのものを科学館にすることも考えています。意外と知られていないサイエンスの基礎知識に街中で気軽に触れられる環境って、魅力的だと思いませんか? 例えば駅のトイレに入ると木星についての展示があったり、コーヒーを飲みにカフェに入ると壁一面にコーヒーにまつわる科学の解説図が展示されていたりしたら、トイレの時間もコーヒーを飲む時間も、今より生産的で有意義な時間になるし、何より楽しいと思うんですよね。街全体を科学館として展示を配置する試みは、実現に向けてすでに走り出しています。この試みが柏の葉で成功すれば、周辺地域、そして全国へと拡げていきたいですね。

KSELのイベントの参加者と一緒に(最後列中央の浴衣を着ているのが羽村さん)
──まさにKSELでやってきたことのエッセンスをすべて活用するといった感じですね。起業は羽村さんお1人でする予定なのですか?
一部はKSELの活動の一環として、メンバーと一緒に進めていきたいと思っています。でも、KSELのメンバーはそれぞれ本業を持っていて、ボランティアで活動しているので、彼ら・彼女らには各々が楽しいと思えること、やりたいことを、各々が負担にならない範囲で楽しんでもらいたいんです。それに学生メンバーの多くは卒業とともに柏の葉を去って行きますので、活動できるのは2年間です。ですから、こうした活動を続けていくための仕事や、長い目で見た活動の設計などを業務として行なう人数、という意味では、今のところ1人で起業するつもりでいます。誰か手伝ってくれないかなと思っているのですが(笑)。この記事をお読みいただいて、一緒にやりたいと思ってくださる方がいらしたら、是非連絡をお待ちしています!(※連絡先:info@exedra.org)
<$MTPageSeparator$>起業を決意した理由
──そもそもなぜ大学に残らず起業しようと思ったのですか?

KSELのような、有志によるボランティア団体ならたいてい経験したことがあると思いますが、活動はメンバー個々人の能力やモチベーションに大きく依存します。しかもKSELの場合、2年間でほとんどの院生が卒業・就職してしまうため、メンバーの入れ替わりが激しく、活動の頻度や性質にも大きな波が生じます。また、ノウハウの蓄積や活動の質の向上にも限界があります。そこで、メンバーの入れ替わりが激しい組織でも、地域や社会に対して安定的に高い価値を提供し続けるためには、ビジネスとして成り立たせる必要がありました。ですので、起業しようと思うことは、自分にとっては自然な流れでしたね。もともと、中学生くらいの時から漠然と社長になってみたい、と思っていたことを思い出し、ようやくそれにチャレンジできる時が来たのかな、とのんびり構えています。
大学に残って研究をする人生は今でも魅力的だと思っていますし、それをあきらめるつもりもありません。科学を伝える活動をしていると、今まさに世界の最先端で行なわれている研究について、実際に研究している本人から話してもらえる、ということに大きな喜びを感じる方が数多くいらっしゃることがわかりました。ですから、将来的には、自分が作った科学館の一部門として研究所を作り、仲間とともに研究を行って、その成果を科学館で発信できるようにもしていきたいですね。
──それはすごくいいですね。企業に就職するという道は考えなかったのですか?
それも考えはしましたが、私はだいぶ変わり者なので、会社という組織の中でうまくやっていく自信がなくて(笑)。だから就職活動は一切してないんです。
──組織の一員として人間関係に気を遣うよりも自分がトップに立って思うようにやりたいという感じですか?
いえ、自分のやりたいことをやろうと思えば手続きとか根回しとか筋を通すといったような、人間関係に気を遣うことはどうしても必要になるので、既存の会社に勤めるサラリーマンでも起業してトップに立っても、その苦労は同じだと思っています。むしろ、トップに立った方が気苦労は大きいかもしれません。それよりも、私は会社に限らず既存の組織が今までの長い歴史の中で作り上げたルールや暗黙の了解、企業風土などに素直に馴染めない性格なんですよ。それに一から何かを作りあげることに生きがいや楽しさを感じるので、自分にとって起業という道を選択したことは、野球がとてつもなくうまい小学生がプロ野球選手になりたい、と思うくらい自然なことだったんです。

子ども向けの自由研究ツアーにて
強い気持ちで起業に挑戦
──大学院を卒業していきなり起業することに全く不安はないのですか?
卒業してすぐに結婚する予定なので不安がないと言えば嘘になりますが、取りあえず自分でどこまでやれるのかチャレンジしたいという気持ちが強いですね。自分のチャレンジによって地域や社会がよりよく変われば、それが巡り巡って自分や大切な人たちを守り、温かく育むことにもつながると思うので、そうした未来を実現するためにまずは全力を尽くします。
──周囲の人の反応はどうでしたか? いきなり起業することに反対する人も多かったのでは?
私の気軽な雰囲気が何も考えていないように映ったんでしょう、両親も婚約者も最初はびっくりして反対しましたが、時間をかけて丁寧に説明したら納得してくれたと、少なくとも私は思っています(笑)。多くの方から「起業するのは1回会社勤めしてみてからでもいいんじゃない?」とか、「本当にうまく行くの?」とか、心配の言葉やアドバイスをよくいただきます。確かに、イバラの道だと言うことは、社会経験のない私でも容易に想像できます。でも、起業を決めた経緯を思い出せば、恐いからやめる、皆に反対されたからやめるという選択肢はないんです。だから反対されればされるほど、起業して事業を成功させ、自分を育ててくれた柏の葉という街や、自分や大切な人たちが暮らす日本の社会に価値を提供するんだ、という気持ちをより一層強くしているように思います。
仕事は自分の理想を実現するための手段
──これから社会で活動していくわけですが、働くということに関してはどのようにお考えですか?

難しい質問ですよね。まだ働いてもいないわけで、現時点でなかなか明確な答えは出なそうにありません。ただ、働くことは人生の一部にすぎないので、働くことだけを人生のすべてだという考え方はしたくないと思っています。
強いて言うなら、働くことは自分を表現する手段のひとつなのかなと思っています。仕事を通じて自分らしく生きていけるとか、社会をよりよく変えられるとか、大切なものを守れるとか、自分の理想を実現するための手段として働くということがあるのかなと思っています。
──羽村さんの理想とする生き方、働き方は?
嫌だけど仕事だからしょうがないと割り切って働くということは極力したくない、好きなことやおもしろいと思えることだけをやって楽しく生きていきたいなと思っています。こういうことを言うと、まだ社会に出てないからそんな甘いことが言えるんだと思われるでしょうし、自分でも思うのですが。もちろんそれだけで人生を終えられるかどうかはわからないし、いろいろ我慢しなきゃいけないことも多々あるとは思うのですが、自分にそれがどこまでできるのかを試してみたいという感じです。楽しみながら働くことで自分を表現していきたいですね。
プライベートに関しては、大きな家族で暮らしたいです。映画やドラマで、昔の生活の形として、長屋にいくつかの家族が集まり、頻繁に近所との交流があり、まるで大きなひとつの家族のように暮らしている姿が描かれることがあります。現代の核家族化とは逆行しますが、そんな暮らし方をできたらいいな、と妄想しています。近所に住む人々が、お互いに得意なものを持ち寄って提供しあうという暮らしの形へのあこがれは、先に述べた科学館を中心とするコミュニティにおいて、私が理想とする人と人との関わり方にも大きく影響を与えていると思います。
<$MTPageSeparator$>キャリア教育プログラムにも参画

「理科の修学旅行」事後発表会にて、学んだ中で印象に残ったことをそれぞれが描いた絵の前で
──今の一般的な社会人の働き方についてはどのように感じていますか?
一般的な社会人の働き方をどれだけ熟知しているか疑問なので、そんな私がコメントするのははばかられますが、数少ない身近な例を見ていると窮屈そうだなと感じています。最近は考え方が自由で柔軟な人も増えているとは思いますが、まだまだ偏見や固定概念に縛られ、通り一遍の発想から抜け出せずにいる人が多いような気がしていて。それを象徴するような出来事がつい最近ありました。

詳細は話せませんが、KSELの活動を通じて知り合ったある女子中学校の先生から、キャリア教育プログラムを立ち上げるから手伝ってほしいと頼まれました。元々教育には興味があったので快諾し、その中学校の先生たちと打ち合わせをしたとき、いろいろな社会人をゲストに呼んで仕事について話してもらおうと考えているというお話でした。それを聞いて生徒たちにとってはかけがえのない有意義な時間になりそうだと感じました。
では、みなさんが先生だったらどんな方をゲストにお招きしますか? 社長さん? OLの方? 画家さん? 板前さん? 想像は膨らみますね。女子校ということもあり、私は「主婦の方は呼ばないんですか?」と聞いてみました。すると、先生たちは鳩が豆鉄砲を食らったように目が点になってしまいました。よく話を聞いてみると、ゲストは会社経営者と会社勤めの方だけだそうです。
それを聞いて驚きました。働き方が多様化しており、今後その傾向がさらに強まるであろう未来の社会へと羽ばたく生徒たちに対して、会社員としての未来しか示さないつもりなのだろうか。そう思ったら心がざわつきました。世の中には医者や弁護士、カメラマンやデザイナーなどいわゆる一般企業に勤めるサラリーマン以外にも個人事業主を含め多様な働き方がある中で、何を目的として子どもたちにキャリア教育をしようとしているだろうと疑問に思ったわけです。
──主婦も1つのキャリアの形ですよね。
そうですよね。その人にとって自分の人生の中で家族とともに過ごす時間こそが一番大事ならそれが幸せな人生で、それも成功だといえるはずですよね。でも、子どもたちが、正社員こそすばらしいという価値観を植え付けられて社会に出て行くのはかわいそうだと思いました。そこで、当日教壇に立つだけでなく、キャリア教育プログラムの作成段階から、私の立場でできる範囲で、ではありますが、協力していくことにしました。
私がこれまで付き合ってきた方々の中には、ちょっと変わった思考をもつ革新的な人が多々いましたので、日本って世間で言われているほど全然保守的じゃないじゃないか、と思っていたのですが、まだまだ偏った価値観に縛られている方が多いのかもしれない、と感じる瞬間は時々あって、この出来事もそうした体験のひとつでしたね。
科学という世界観に支えられた平和な社会を作りたい
──今後の夢・目標を教えてください。

私は、科学とは世界観を支えるものだと思っています。例えば昔、山に囲まれた世界に住んでいた人々は、自分たちが暮らすその村が世界だと思っていたでしょう。次第に科学や技術の進歩にともなって人類の行動範囲が広がると、大陸全体を世界とみなし、次第に地球、宇宙の全体像を認識するように、世界観を拡げてきました。このように、科学の進歩によって人類にとって新しい世界が見えるようになってきます。
そして人類が認識できる世界を拡げるための科学的探求は、人びとが安心して幸せに暮らせる社会にこそ成り立つと思います。そこで私は、誰もが安心して幸せに暮らせる世界を作りたい。その前段階としてまずは、自分と自分の大切な人が安心して幸せに生きていける地域社会を理想郷にしたいと思っています。
──羽村さんが考える理想郷とは例えばどんな社会なのでしょう。
みんなが夢をもって、それに向かって頑張っている社会です。夢を語っている人って目がキラキラしてるじゃないですか。そうやってみんなが夢を語るようになれば、犯罪に手を染める人も減りそうだし、そうすれば結果としてみんながハッピーに安心して暮らせる社会になるんじゃないかと思うんですね。
先にもお話しましたが、その夢をかなえるための1つのツールとして科学はある。もちろん科学が万能だというつもりはありませんが、科学にできることはたくさんあります。それは、生活に直結する科学技術の基礎となるという意味でも、現時点での世界観を認識して努力すべき方向性を示すという意味でも。だから私は自分の夢をかなえるためにこの先も科学を媒介とした活動をしていきたい。
中には科学がわかっていることだけが幸せの形ではないという人もいて、さまざまな生き方があると思いますが、何らかの形で科学やその活用の仕方を伝える仕事が役に立てることがあるはずです。そうしたことを、相手と一緒に考えながら歩み、その方の人生や世の中をよりよく変えていきたいなと思っています。それこそが、自分や自分の大切な人を守り、安心して暮らせる社会につながることだと信じているんです。