竣工してからの方が楽しみ

設計を手がけたKOILイノベーションセンター(撮影/西川公朗)
──建築設計という仕事のやりがいを感じるのはどんなときですか?
成瀬友梨さん(以下、成瀬) よく竣工の瞬間が一番うれしいですかと聞かれるですが、それが一番ではないですね。もちろん竣工した瞬間はある程度の感動はあるのですが、ひと安心という気持ちの方が強いです。それよりも、設計した建物ができた後、利用している人から、「すごく使いやすい」とか「ここに住んでよかった」とか「ここでこんなイベントをやって盛り上がったんですよ」といった声をいただいたとき、建築家冥利に尽きるというか、一所懸命考えて設計してよかったなと思います。
猪熊純さん(以下、猪熊) そうですね。竣工後、例えばKOILで初めてのイベントがあってたくさんの人が参加して盛り上がっている写真を見た時など、うれしいですよね。設計を手がけた建物が完成してからずっと見守れることが一番の喜びです。
成瀬 人と同じく、空間も時間とともに使いこなされて成長していきます。1年経って変わって、2年経ったらもっと使われ方がよくなった、というような過程を見ると、自分の手を離れた後だけどついうれしくなりますよね。人の成長を見ていて楽しいのと同じだと思います。

KOILで開催されたイベント(写真提供/ロフトワーク)
──自分の子どものようなものでしょうか。
猪熊 まさにそうですね。自立し始めた子どもを眺めているような感じ。自立までの期間というのは僕たちが設計する段階に近いかもしれませんね。竣工以降は、手は離れたけど頑張っている子どもみたいな感じです。
夫婦で一緒に仕事をしない理由
──プライベートの部分についてお聞きしたいのですが、成瀬さんと猪熊さんはそれぞれご結婚されているんですよね。
猪熊 はい。僕の妻も成瀬の旦那さんも同じ建築家でそれぞれ事務所を構えています。我々の事務所と僕の妻の設計事務所がたまに一緒に仕事をしたりもしています。我々の事務所が忙しい時に手伝ってもらったり、その逆も。自営業同士なのでその辺は融通が効くので都合がいいです(笑)。
──なぜ奥さんと一緒に事務所を立ち上げなかったのですか?

猪熊 夫婦で建築事務所を経営していると、仕事と家庭の境目が完全になくなってしまい、朝起きてから夜寝るまでの会話が全部仕事になりかねません。さすがにそれはまずいだろうということであえて一緒にしていないんです。お互い仕事に関しては、相談には乗るけど、最終的にはそれぞれが自分の仕事に責任をもつというスタンスでやっています。
また、自営業には仕事の波があります。仕事の依頼が殺到するときもあれば、がたんと減るときもある。一緒に経営しているとその浮き沈みも一緒なので、うまくいっていないときは一緒に落ち込んでしまう。そんなときは、別々の事務所の方が波がずれていい。どちらかが好調だと気楽ですし励まし合える。また、家庭の経済的にもリスクヘッジになりますからね。
成瀬・猪熊建築設計事務所設立の経緯
──お二人で設計ユニットを組むようになった経緯は?
猪熊 我々は元々大学の同級生だったんですよ。お互い建築設計が好きだったので建築系のコンペに一緒に応募するようになったのですが、何度も入選してけっこういい額の賞金を稼いでいた。それで、将来一緒にやるかもしれないねという話は当時からしていたんです。大学卒業後は成瀬が自分で設計事務所を立ち上げて、僕は千葉学建築計画事務所に入ってそれぞれ自分たちの仕事を始めました。
成瀬 卒業後、一人で設計事務所をやっていた時も、猪熊と一緒にコンペに応募したこともありました。
猪熊 当時千葉学建築計画事務所のスタッフをやりながら夜なべして一緒に考えた案がコンペで勝っちゃったんだよね。

成瀬 一人で考えているとどうしても行き詰まるので、猪熊に余裕がありそうなときに私が作った設計図案をいくつか見せて、意見を求めたり相談したりしていました。設計作業自体は私がほとんどやっていましたが、その過程を見てない人に見てもらって意見を言ってもらうことは新たな発見があってけっこう大事なんですよね。特に猪熊のコメントは的確で、そういう見方もあるのかと目からウロコが落ちることもしばしば。もらった意見を取り入れてコンペに出したものの中には結果的に展覧会に出品したものもあります。学生のときから仲がよくて建築に関する感性も共通する点は多かったと思います。
猪熊 卒業してからもずっとつながりはあったので、そろそろ千葉事務所を辞めて独立しようかなと成瀬に言ったときに、じゃあ一緒にやろうという話に自然となって、2007年に成瀬・猪熊建築設計事務所を設立したというわけです。

成瀬・猪熊建築設計事務所のスタッフのみなさんと一緒に
2人で設計事務所を経営するということ
──1人よりも2人で設計事務所を運営することの意義やメリットは?

猪熊 コンペのときから思っていましたが、仕事に関して自分と違う意見が聞けるのが一番ですね。
成瀬 あとは性別が違う男女で組むということのメリットも大きいです。設計する際でも男性と女性では目につくところがだいぶ違うし、お施主さんとの対応でも、例えば先方がご夫婦の場合、奥様なら私の方と仲良くなることもあれば、猪熊が行った方が喜ばれることもあったり、その辺はお施主さんによって使い分けることができます。また、お施主さんの方も私に話しやすいことは私に、猪熊に話しやすいことは猪熊にと使い分けているので、先方にとってもメリットは大きいと思います。
──単純に1人より2人の方が手掛ける仕事量が増やせるということもありますか?
猪熊 1人でやっていたとしても基本的に仕事の依頼は全部受けるので、量的にはあまり変わらないかと。ただ、2人の方が一つひとつの案件をじっくり見ることはできますよね。僕の方が施工以降、現場をじっくり見ることができるのは、成瀬がその他の部分、例えば人脈を作る面で頑張ってくれているからこそ。それも僕が全部やっていたとしたらこんなにしっかり見られてないだろうなと思います。
成瀬 私も猪熊に現場や事務所を見てもらってないと営業には行けません。何かの式典やパーティーに呼ばれた際でも、事務所はコンペ提出直前で、てんやわんやになっているときは猪熊に仕事を任せて、私が出席することが多いです。
猪熊 2人のうちどちらかが出席していると先方の顔も立つし、こちらとしても事務所として不義理をしてなくても済むので、常々ありがたいと思っています。
全く違うタイプだからこそ
──お互い自分がもっていない能力やスキルをもっているから補完しあえたり、相乗効果が生まれるというメリットは?

成瀬 それはありますね。猪熊は論理立てて物事や状況を整理するのがすごく得意です。いろんな問題が同時に発生して私が頭を抱えていると、わかりやすくうまく整理してくれます。あと建物のディテール含め細かいところに目が届くので、とても助かっていますね。
猪熊 僕はもちろん建築家としても尊敬していますが、成瀬の人間的な魅力がすごいなと思っています。例えば新規のクライアントから仕事の依頼を受けて、初めてクライアントに会うときの第一印象って大きいんですよ。初対面のわずか数10分で相手から信頼を得られるかどうかは人柄にかかっています。それは理屈じゃないし、もっている人しかもっていない。成瀬はそれをもっているんです。
成瀬 それはうまくいく場合と全然ダメな場合があるんですよ(笑)。ただ、相手を緊張させないとはよく言われます。目が垂れているのがいいんですかね(笑)。でも真面目な話、2人のキャラが全く違うというのはいいことだと思いますね。それだけ相手に対応するバリエーションが増えるということですから。
──建築設計事務所としての経営理念というかポリシーは?
猪熊 もちろん、これからも一つひとつ丁寧な仕事をしてゆくことが、一番大切なポリシーです。ただそれに加えて、そういった話を、こうした形でいろいろなメディアで発信をすることで、住まい方や働き方や街の賑わいなど、人びとの生活を変えていくことも大切な役割だと考えています。
成瀬・猪熊建築設計事務所は、地元の人たちに「陸前高田は新しく生まれ変わる」という希望を持ってもらいたいという思いで、コミュニティカフェ「りくカフェ」の設計、運営を担当。地元の人たちの憩いの場として、2012年1月に仮設の建築物で運営を始め、コンサートや習い事教室など様々なイベントを開催、地域の生活を支える拠点として成長したが、仮設のため狭く使い勝手もよくないので、現在より広い本設のカフェとして建て替え中。10月5日のオープンに向けて建築中だが、昨今の工事費の高騰で費用が足りず、クラウドファンディングで備品費等を募っている。詳しくは→「陸前高田のコミュニティカフェ"りくカフェ"の本設オープン支援プロジェクト第2弾!」
徹底的に言語化する
──設計などの実作業をするときにこだわっている部分は?
猪熊 みんなで話し合って、細かいところまで徹底して想定する、ということはかなり意識的に行っています。KOILを設計したときのように、「テーブルの大きさがどのくらいで、配置の仕方がどのくらいだと、どういうコミュニケーションが起こりそうか」とか、「こういう温度感でこういう照明だったらどんな感情になりそう?」ということを、もちろんお施主さんとも議論しますが、社内ではさらに詳細に突き詰めてやります。もっとも、すべては出来上がった後の未来の話なので、仮定にすぎないのですが、想像する人が多ければ多いほどイメージの解像度は上がっていくんですよね。みんなで意見の出し合いを繰り返しながら、細かいことを積み上げるということに関してはすごく丁寧にやっている方だと思います。

建築模型を使っての打ち合わせ風景
成瀬 打ち合わせの場では「なんとなくこうだよね」というのは一切通りません。私が「なんとなくこうかなあ」というと、「なんで?」と猪熊がものすごく突っ込んでくるんです。そんなときにその理由がポンポン出てこない場合は、これはたぶん違う、また考え直そうということになるんです。取りあえずみんなで何でも意見を言って、みんなが腑に落ちるまで議論するという感じです。
猪熊 やっぱり設計段階で、建物が完成した後にいずれ起こるであろう問題や使い勝手がよくなさそうな部分をしらみつぶしに探し出して、一つひとつ対処して潰していくことを積み上げることでしか、最終的にいいものにはならないんですよね。
成瀬 完成した建物が、利用者にうまく使われる、違和感なく自然に営みが動き始める状態にもっていくのはかなりたいへんなので、そこはけっこうしつこく突き詰めますね。
猪熊 そこのレベルはすごく高いという自信はあります。
成瀬 だから建物ができてから使いにくいと言われることがまずないんですよね。
猪熊 だいたい想像通りか、それ以上によく使われてますね。このことは、私たちの事務所が一番胸を張れる部分の一つだと思います。
<$MTPageSeparator$>事務所内フリーアドレス
──働き方についてお聞きしたいのですが、仕事と趣味の境目がほぼないというお話でしたよね。特に休日は決めていないという感じですか?

猪熊 一応は土曜日の半分と日曜は休もうということにはしています。
──平日はどのような働き方なのですか?
成瀬 曜日によりますね。私たちは建築設計の仕事の他に大学で建築を教えてもいるので。私は週3回ほどの昼間、大学で講義をして、18時くらいに事務所に戻って打ち合わせをします。講義がないときは1日複数のクライアントと打ち合わせをしていることが多いですね。1日中事務所にいることはまずありません。
猪熊 僕の場合は担当している講義は週に1、2回程度ですが、その他に会議やゼミや論文チェックがあるのでちょこちょこ行かなければならない。1日中事務所にいることはないというのは同じで、建築設計のプロジェクトが大小含めると常時10個ほど同時並行で動いていて、我々はそのすべてに関わっているので、ひとつの打ち合わせが終わると別の打ち合わせ先に向かうというふうに外に出っぱなしなんです。
成瀬 打ち合わせのはしごですね。午前中プロジェクトAの打ち合わせ→午後大学で講義→プロジェクトBの打ち合わせ→事務所に戻ってスタッフと打ち合わせ、というのが普通です。
猪熊 だから僕たちは事務所内に自分の席がないんですよ。事務所の中でフリーアドレス状態なんです(笑)。
成瀬 ノートパソコンがあれば自席がなくてもどこでも仕事ができますからね。
移動時間を有効活用

猪熊 トータルすると移動時間が長いので、移動中によく仕事をしています。設計業務としては図面のチェックが多いですね。
成瀬 スタッフが書いてくれた図面をメールで送ってもらって、電車で移動中に見たり。特に猪熊は新幹線の中でチェックしてくれたりしています。
猪熊 目的地に着くとメールで送ってもらった図面を全部ダウンロードしてその場でチェックして、電話でスタッフに修正指示を出しています。
成瀬 明日までに図面を工務店に送らなければいけないというようなスピードを求められるケースがよくあります。いちいち事務所に来て確認していたら間に合いませんからね。
切り替え自体を楽しむ
──お二人ともいろいろな種類の仕事をお持ちですが、それまでやっていた仕事から全然別の仕事へと移行するとき、切り替えは問題なくできるのですか?
猪熊 僕は切り替えが大変というよりは、今まで取り組んでいた仕事から別の仕事へ移行するとき、それがいい気分転換になる。同じ仕事を延々やらなくて済むので、それが性に合っているんです。だいたいいつもひとつの仕事を2時間くらいやったら別の仕事にシフトする。それを繰り返して、夜中に、朝最初にやってた仕事に戻っているみたいなことが多いんです。なるべく気分転換のスピードが早い方が仕事がはかどりますね。特に執筆系の仕事は電車の中がはかどるので、あえて電車の中でやるようにスケジュールを組みます。前の晩にあらかじめ自宅や大学で資料を全部集めて印刷して準備万端整えて、翌朝起きた時に、移動時間も含めてどのタイミングで何の仕事をやるかというスケジュールを組んでその時間でそれをやってどんどん切り替えていくというやり方ですね。

講師としてイベントに参加することも(写真提供/FabCafe Tokyo)
成瀬 それを見ていてすごく効率的だなと思います。確かに朝、スケジュールをチェックするのは大事ですね。朝起きた時に、今日は何をしなきゃいけない日だっけとチェックすると、ここに空き時間ができるな、なんかやろうかなと考えるから。でも私は猪熊みたいに切り替えが上手にできるタイプじゃなくて、ひとつのことを時間をかけてじっくり考える方が得意なので、1日の間でいろいろな仕事をするのは苦手なんです。文章も電車の中では書けなくて。
猪熊 え、そうなの? 初めて知った!
成瀬 そうなのよ。だから書き仕事は眠い眠いと言いながら夜中や早朝に起きて自宅でやっているんです。アイディアを出すスピードも早い方じゃないので、なんとかやってるという感じです。ただ、場所の移動は気分転換にはなりますね。学校に行くと学生の相手をするうちに先生の顔になるし、事務所に帰ってくる途中でメールをチェックすると段々と建築家の顔になります。移動時間に気持ちを切り替えているというのはありますね。
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カフェであり、ものづくりのコ・ワーキングスペースでもあるFabCafeTokyoの設計を担当(写真提供:FabCafeTokyo)
執筆系の仕事も多い
──自宅でも仕事をすることはあるのですか?
猪熊 平日の終電までに終わらなかった仕事を家に持ち帰ってやったりすることはよくあります。
成瀬 私は文章を書く仕事を家でやっています。その方が集中できるので。
猪熊 確かに執筆系は家になりますね。事務所にいると打ち合わせが入ったり、スタッフが仕事の相談をしてくるのでなかなか集中できないので、日曜日に家でやっています。
──執筆系の仕事にはどのようなものが?
猪熊 自分たちの設計や考えていることについて説明する文章や、コンペのプレゼン資料などを書いていることが多いですね。あとはインタビュー原稿のチェックなど、いろいろあります。少し前だと、我々が編著で作っていた本の原稿の執筆もしていました。
成瀬 他には、いろいろな大学の設計課題の講評会に呼ばれて、賞を選ぶときの選評を書いたりとかもしています。また、以前は建築雑誌で連載をやっていたのでその原稿執筆も。
猪熊 あとメール系が多いですね。大学とクライアントと事務所を合わせて、多いときには1日4〜50件くらいのメールを返しています。そうしないと間に合わない(笑)。
成瀬 私の場合は大学系のメールが特に多いですね。その他にもいろいろなところからメールが来て読まなければならない量が多いのでたいへんです。お施主さんとのやりとりも基本はスタッフに任せるのですが、特に重要なメールは私や猪熊から送ります。
自宅でもフリーアドレス
──自宅にはやっぱり仕事部屋があるのですか?

猪熊 いえ、ありません。実は家は自宅で仕事をしている妻に占拠されていて家でも共用部分のリビングで仕事をしています。ノートパソコンがあればどこでも仕事ができることがバレると、どんどんスペースを減らされるんですよ(笑)。
成瀬 私も自宅に仕事部屋なんてないですよ。夫も建築家で、自分の仕事部屋と専用の書庫までありますが、私はないので猪熊と同じくリビングで仕事をしています。ついテレビを見ちゃって困る、みたいな(笑)。
──おふたりとも自宅でもフリーアドレスなんですね。
猪熊 そうなんです。事務所でもフリーアドレス、自宅でもフリーアドレス。大学にしか席がないという(笑)。
成瀬 一緒一緒(笑)。
未経験のことにチャレンジしたい
──今後の目標、近い将来やってみたいことは?
猪熊 僕は基本的に常にやりたいことがたくさんありすぎて手がつかない状態なんですよね(笑)。その一つに、コ・ワーキングスペースやシェアハウスの経営があります。やっぱりそれらをたくさん設計していると、自分でも持ってみたくなるんですよね。例えば改装自由な小さな一軒家を借りて自分たちの好みで改修・改装して、運営ができる知り合いと一緒にやってみるとか。実験してみたいんですよね。自分が施主なので好きなように設計できるから、普通のシェアハウスではやらないような間取りにチャレンジできるのもおもしろいかなと。
──それは確かにおもしろそうですね。

猪熊 もう一つの大きな目的としては経営的な要素もあります。設計の仕事って建物が完成するまでに長い時間がかかります。例えば設計から完成まで2年なんていうのは普通で、その場合、設計費は2年間で3分割されて入金されます。大きめのプロジェクトの場合は設計料だけで軽く1000万円を超えるのですが、例えばそれが2年間で3回に分けて500万円ずつ入ってくるとしたら、そのクライアントから1度入金されて次の入金までの4ヶ月は無収入なわけです。規模の大きな設計事務所でビッグプロジェクトを常時何件も抱えているような事務所ならそれでもやっていけるんですが、やっぱりうちみたいな小さい事務所はそんなに抱えられないので、年間を通した収入の波がどうしても大きくなります。だから毎月少額でも確実に入ってくる定期収入のようなビジネスがほしい。そういう意味で、定期的にお金が入る賃貸物件をもつことは事務所の経営の安定に寄与するからすごくいいかなと。家賃がそんなに高くなければうちのスタッフが住んでもいいですしね(笑)。基本的なスタンスとしては、いいとこ取りのアイディアを思いついたらやってみたいと常に思っているし、これまでもそういうふうにやってきたんですよね。
──成瀬さんの方は?

成瀬 私は具体的にやってみたいことは特にはありません(笑)。ただ、仕事の幅を広げてみたいとは思っています。現在はシェアハウスやコ・ワーキングスペースなど、コミュニケーションの場を作る仕事が多いですが、それにとどまらず、もっといろんな仕事をしてみたいですね。建物の種類も、例えば保育園や学校などの子どものための施設や、美術館や博物館などの公共建築など、今までやったことのないものを手掛けてみたい。「シェアハウス専門の建築家」ではなく、どんどん自分の領域を広げていければいいなと常に思いながら仕事をしています。