初めに着手したのは、ゲームをジャンルに分け、その特徴的な操作姿勢を分析した。当初９つに分類された操作環境は最終的に３つに集約した。短時間の決戦であれば前傾姿勢、シューティング系であれば通常姿勢、ロールプレイング系であれば後傾姿勢でじっくりと。さらに立ち上がった姿勢でもプレイできるので気分転換や着座による疲労の回復にも対応する。前傾姿勢も後傾姿勢もサポートできるチェアと上下昇降デスクの組合せで最適なｅスポーツ環境をサポートする。チェアの機能は長年のユーザーニーズからたどり着いたオフィスシーティングの機能を踏襲することを決めた。
背もたれのリクライニングに連動して座面の角度が変わるシンクロリクライニングメカを装備し、座面の奥行き調整と前傾機能も採用した。（奥行き調整と前傾機能はＥＸタイプのみ）アジャストアームは様々な姿勢に対応できるように、高さの調整とパッドの開き角度、前後調整が可能だ。ヘッドレストは可動式とし体形に合わせた調整ができるようにした。また、着座時に体を広い面積で支え、部分的に強い圧力が掛からないように、体圧分布測定を行い、クッション形状を決めていった。好みのポジションを探りつつ、戦いに挑む気持ちを高揚させる。そんなサポートができたらという思いで開発を進めた。

最終的にシーティングは集中度を高めるためにヘッドレスト両サイドが前に張り出した意匠のＥＸタイプと、肩回りがすっきりしたＳＤタイプの２形状を用意し、プレイスタイルに合わせて選べるようにした。必要なギアをすぐに取り出すためのシェルフと、高さを瞬時に微細に調節できる上下昇降デスクと合わせた環境を提案する。構想段階ではコントラストのはっきりしたカラーリングも検討したが、家庭内に置かれることなどを考慮して、デスクとシェルフは落ち着いたカラーとした。人が体を預けて長時間座るシーティングは、人に寄り添うものでなければならないという考えは、オカムラが一貫してきたものだ。これはｅスポーツ環境においても変わることがないポリシーだ。人の体にフィットして優しくサポートしてくれる形状とサイズ。機能や強度も大事な要素だ。オカムラでは自社で培ってきたノウハウで厳しい試験基準をクリアした物だけを出荷している。健康で快適に最高のパフォーマンスを発揮してもらいたい。開発チームがストライカーを開発した最大の目的である。