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2017.09.19  取材・文/山下久猛 撮影/林景沢(スタジオアップル)

コスタリカでの暮らし

──丹羽さんは現在コスタリカに住んでいるそうですが、普段はどのような暮らしをしているのですか?

丹羽順子-近影1

今住んでいるのが、コスタリカの首都・サンホセというところから5時間ぐらい離れたノサラという田舎町です。村には信号もないし、スーパーがひとつあるだけでコンビニも当然ありません。私と娘が住んでいる家のすぐそばには恐竜が出てきそうなジャングルが生い茂り、海も近い。本当に何にもない、豊かな自然だけがあるような場所です。


──ノサラの気に入ってるところは?

いっぱいありますが、まずやっぱり大自然かな。日本の、特に都市部のような人口密度が高いところに住んでいる多くの人は、人工音が聞こえなくて、人と喋らなくてよくて、大自然に囲まれてる場所にお金を出して行くじゃないですか。だからそういう意味では、普段暮らしているのがそういう場所なので恵まれた環境だなと思いますね。といっても、人嫌いというわけでもないんですけどね。


──ご近所さんもいないんですか?

ビーチを馬で散歩(写真提供:丹羽さん)

ビーチを馬で散歩(写真提供:丹羽さん)

いないですね。たくさんいるのは馬とか牛とかワニとか。よく動物も遊びに来るんですよ。自分が自然の一部だっていうことが感じられる場所に住んでいるってことだけでも豊かだなって。いつも原点回帰できるというところはいいですよね。

また、今住んでるのはすごくインターナショナルな場所なんですよ。アメリカ、カナダ、ヨーロッパはもちろん、南米のアルゼンチン、ペルー、ウルグアイ、ボリビア、コロンビアなど世界中から人が集まってきているので、本当にミニチュア版の地球に住んでるような感じなんですよね。こういう人的な豊さもあるし、娘もこういう場所で育つことで国際感覚が身に着いたこともすごく大きいですね。

あと、この辺はビジネスで財を成した人たちが新たな生き方を求めて世界中からやってくるような場所なんですね。だからみんなスピリチュアルなことが好きで、ものすごくインナーワークをやってるんですよ。だから「瞑想してる?」と聞くんじゃなくて「いつ瞑想してる?」とか「どこで瞑想してる?」っていう聞き方が当たり前みたいな感じで。

やっぱり余裕があるんでしょうね。現代の物質主義の社会から離れて、本当に心から望むものを何もないとこで見つけよう、っていう人たちが多いんです。そういう人たちに囲まれてると、自分の意識も自然とそうなるじゃないですか。だから日々の生活も朝早く起きて夜は早く寝るみたいな、とても健康的です(笑)。

自宅近くのジャングルにて(写真提供:丹羽さん)

自宅近くのジャングルにて(写真提供:丹羽さん)


──1日のスケジュールはどんな感じですか?

だいたい朝5時半に起きて、30分間瞑想した後、6時に娘が起きてくるのでご飯を食べさせて学校へ送り出すんですね。娘が15時に帰ってくるまでは、仕事をしています。仕事がない時は、サーフィンへ行くこともあれば、友達とランチすることもあったりと日によってさまざまです。ただ、子どもが帰宅したら、仕事は終わりにすると決めています。やっぱり娘との時間を重要視していますね。寝るのは20時とか21時くらい。


──ストレスなさそうですね。

無縁ですね(笑)。


──日本に帰ることは?

年に一回、子どもが夏休みのタイミングで帰国しています。その時に全国各地を回っていろんなワークショップを開催しているんです。

コスタリカでの仕事

──コスタリカではどのような仕事をしているんですか?

今はヨガや瞑想、呼吸法などの講師が中心ですね。日本にいたころはさまざまな仕事をしていましたが、本当に私がやりたいことはなんだろうと考えていたときにヨガに出会って。ヨガや瞑想を通じて、自分の内なる平和を整えていくことがいかに大事か気づいたんです。また、コミュニケーションに関するいろいろなワークショップを主催したり、あとはコーチングのセッションなどオンラインで行っている仕事もいくつかあります。

海岸で瞑想(写真提供:丹羽さん)

海岸で瞑想(写真提供:丹羽さん)


──ワークショップではどのようなことを教えているのですか?

最近は心の時代というべきか、内面にさまざまな問題を抱えている人が多いと思うんです。そこで、現在は、「NVC(Non-violent-communication)」という、非暴力コミュニケーションについてのワークショップを実施しています。これは、相手にわかりやすく伝えるためのコミュニケーションで、問題解決に繋がるものです。現代社会では鬱や自殺する人が増えて、多くの人が心の悲鳴を上げている状態です。だからこそ、人間同士が心を開き合ってつながり合うようなことを求めているのかなと思います。また、スピリチュアルセックスのワークショップにも力を入れています。

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8月18日、京都のmumokutekiで行われた共感コミュニケーション・ワークショップで講師を務める丹羽さん(当日のワークショップについてはこちら

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ワークショップの様子。参加者からは「人生が味わい深くなった」「怒りのエネルギーをプラスのエネルギーに変えられるようになった」「家族との関係や人とのコミュニケーションが変わった」などの感想が

丹羽順子(にわ じゅんこ)

丹羽順子(にわ じゅんこ)
1973年神奈川県生まれ。平和環境活動家

慶應義塾大学卒業後、NHKに入社。報道記者として3年間勤務した後、退職。日本映画学校で講師をしつつ、ドキュメンタリー映像制作にも携わる。2003年、イギリスのミドルセックス大学院に1年間留学。持続可能な開発とリーダーシップコース修了。帰国後、フリーランスのサスティナビリティー活動家としてドキュメンタリー制作やイベントMC、各種講師など様々な分野に携わる。2006年、長女を出産。鎌倉を持続可能にするNPOかまわなどで地域活動を展開ほか、オシャレな古着の交換会xChangeを主催。J-WAVEのLOHAS SUNDAYのナビゲーターも務める。2011年、東日本大震災を機に家族で鎌倉を離れ、西日本を放浪後、香川で半年間ほど暮らす。2012年、タイに移住し1年半ほどの自給自足生活を送る。その後、娘とコスタリカへ移住。現在は10歳になる娘と愛犬チョコ、フランス人のパートナーとともに大自然に囲まれた場所に暮らし、自身の心、みんなの心に平和の芽を育てる活動を続けている。著書に『小さいことは美しい』(扶桑社)、『深い愛に気づく女性のためのヒーリング』(ブルーロータス・パブリッシング)などがある。

初出日:2017.09.19 ※会社名、肩書等はすべて初出時のもの